4.チートがほしいの?
「ちーと?」
イナンナが、小首をかしげてキョトンとする。
カワイイし!
「ああ、あなたの世界のラノベってやつにあるやつね。ほしいの?」
手を握って、顔を近づけてくる。
何やってんねん!
・・嬉しいけど。
「その前に・・・・、俺が行く世界って、魔法とかあるの?」
「あるわよ。」
イナンナがニッコリ微笑む。
あるんだ・・。
俺の居た世界の、複製っていうわけでもないのか。
「今度の世界はね、わたしたちがあなたの世界にいた頃の世界にね、そのラノベっていうやつ?の世界を混ぜて創ってみたの。」
世界、世界ってややこしいな。
「つまりは、剣と魔法の世界ということ?」
「そうね、だから普通の人には生きづらい世界かもしれないわ。」
「当然、魔物や魔獣もいるってことだよね?」
「魔物はいるけど、魔獣はいないわ。あなたの世界と同じ、獣がいるだけよ。」
魔獣はいないのか、『魔獣の肉、ウメエ!』は出来ないわけか。
「大事なこと聞くの忘れてた!亜人は、いるの?獣人とか、エルフとか、ドワーフとか・・・それから魔人とか!」
「いるにはいるけど、少ないわよ。種族によっては、めったに会うことはないわ。」
魔人もいるのかあ。
「魔人がいるということは、魔王もいるの?・・・まさか、俺に魔王を倒せとか?」
「魔人と言っても、別に悪しきものという訳ではないわ。闇属性に長けているというだけよ。だから魔王はいないわ。強いて言えば、魔人の王が魔王ね。」
良かった、魔王討伐とかあんまりやりたくないし・・。
「でも、邪神はいるわ。もしかしたら、邪神の討伐を頼まれるかもね。」
「えーー!邪神って神だろ?そんなの無理に決まってんじゃん!!」
「フフフ。・・・そうでもないかもよ?」
なんだその笑いは?
気になるじゃんか!
「さて、もうそろそろ、紅茶も無くなるわね。お待ちかねのチートでも授けましょうか?」
お!遂に来たか!!
「じゃあ、目をつむってちょうだい。」
イナンナが、ずっと握っていた手を離して、右手を俺の額へ当ててきた。
そこから膨大な魔力?暖かい何かが、俺の身体に流れ込んでくるのがわかった。
額から全身へと、暖かい光に包まれていくのを感じる。