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38.待つわ~、まつわ~、いつまでも、ま~つ~わ



「司祭様、お久しぶりでございます。その節は、お世話になりました。」


 

 エルが、その女性の前で片膝を曲げて、頭を下げた。


 すげえ、なんか女王様と貴族のお姫様みたいだ。


 その光景は、映画の中のワンシーンのようえ、俺は思わず見とれてしまった。



「今日はどうしました?」


「はい、友人を連れてきました。」


「ほう・・・、この方が。」



 司祭様が、こちらを見た。


 長い金色の髪、陶磁器のような透明な白い肌、金色を含んだアクアマリンの瞳、そして先の尖った耳。


 いわゆる、ハイエルフというやつだ。



「司祭様・・。」


「エリスでいいですよ。」


「エリス様、彼がエア神様にお祈りを捧げてもよろしいでしょうか?」



 耳にかかった髪を、白く細い作り物のような指でかき上げて、エリス様は俺の顔をじっと見つめた。



「・・・よろしいでしょう、お入りなさい。」



 神殿の中は薄暗かったが、入り口の上に空いた小さな窓から、一筋の陽の光が真っ直ぐに奥へと差し込んでいた。


 そしてその光の線の先には、大理石で造られた、長い髭を蓄え、威厳のある姿のエア神の像が立っていた。



「さあ、神の前で両膝をつき、祈りなさい。」



 エリス様が、優しく低い声で言った。


 三人で神像の前で跪き、両手を合わせた。



********



 そこは見覚えのある、白い空間だった。



「いや~、よく来たな。待っておったぞ。」



 またもや、おんなじパターン。


 うしろから声がした。



「あなただれ?」



 振り返ると、さっき見た像にそっくりな爺さんが立っていた。


 ただし、髪と髭の色は、白に近い銀色で、瞳の色は金色だ。



「分かっているくせに、ワザとじゃろ。」


「分かりました?あまりにも、同じパターンなもんで、つい。」



 拗ねる爺さんに、俺は頭に手をやった。



「待ってたって、どういうことですか?俺がここに来ることを知っていたんですか?」


「そりゃあ、神じゃからな。大抵のことは、知っておる。」


「はあ、まあ、そうなんでしょうけど。」


「立ち話もなんじゃて、お茶でも飲みながらにしようかの?それとも、ビールが良いか?」


「いや、お茶でいいです。」



 エア神様が、腕を一振りする。


 テーブルと椅子が出現する・・・・ソファじゃないのかい!


 

「さ、座りなされ。」



 テーブルの上には、ティーセット。


 エア神様が、紅茶をカップに注いでくれる。



「ありがとうございます。」



 お礼を言って、一口すする。


 うまい。



「そうか、良かった。ではそろそろ、本題に入っても良いかな?」


「はい、ぜひ。」


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