35.探しものはなんですか~
朝食後、一旦部屋に戻り、身支度を整えたあと3人で出かけた。
大通りを少し戻り、昨日夕飯を食べた店の向かいにあった、服屋に向かった。
店の前には、色とりどりの布が、うず高く積み上げられている。
素材は、木綿やウール、絹、亜麻、麻など様々だ。
「ごめんくださ~い。」
商品の山の間を縫って、店の中に入り、声をかけた。
「はいよ~。」
奥の方から、猫人の店員が出てきた。
20代後半の、ナイスバディなお姉さんだ。
猫というより、豹だな。
「服を買いたいんですけど、適当に見繕ってもらえませんか?」
俺がそう言ってみると、店員のお姉さんは、頭からつま先まで舐めるように見たあと、ふっと奥に消えた。
「これなんかどお?」
しばらくすると、手に持ってきたものを、俺の体にあてて聞いてきた。
木綿でできたそれは、チュニックというやつで、古代ギリシャとかの壁画によく描かれているような、ワンピースみたいなやつだ。
袖の縁飾りに、チョトだけ房飾りがついている。
「ん、いいと思う。」
「そだね。これください!」
エルとコリンが勝手に決めている。
「お、俺の意見は?」
「男がグダグダ言わない。」
「セイヤお兄ちゃんのコーデはあたしが決める。」
「ハイ・・・。」
革製のサンダルも勝手に選ばれて、あっという間に俺の服装は決定してしまった。
「コリンもなんか買ったらどうだ?」
オーバーオールもかわいいが、少々くたびれているのがかわいそうだと思い、そう言ってみた。
「もう決まってる。これ。」
コリンの姿が、いつの間にかその場から消えており、その言葉と共に奥から出てきた。
「どう?」
「おまっ、その格好!」
その姿を見て、俺は絶句した。
ベリーダンスの衣装そのままじゃんか。
確かにピンク色の透け素材の衣装は、コリンにピッタリだったが、露出がやばいだろ。
だいたい、お前まだ5歳だぞ!
「だめ?」
上目使いをしてきやがった。
どこでおぼえた?
「だめじゃないが・・・。」
「じゃ、いいんだね。ヤッター!」
んー、買い物はやっぱり女子にはかなわん・・・。
「全部で、25000シケルになります。」
「じゃあ、次は武具屋ね。」
支払いを済ますと、エルが、さっさと店を出ていく。
「お願いします・・・。」
何かに負けた気持ちの俺は、スキップしながらそのあとをついて行く、コリンのそのまたうしろを、トボトボとついて行った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
残高31万8000シケル




