30.おっ金持ち~
中庭は、石畳で出来ており、所々にベンチが置いてある程度のシンプルなものだった。
「ここは、簡単な模擬戦なども出来るスペースでもあるんです。」
黒髪イケメンが、説明する。
「実は、アイテムボックス持ちの方は、非常に珍しいんですよ。」
「そうなんですか?」
窓口じゃないせいか、少しくだけた口調になっている。
「ええ、私も長いことギルドに勤めていますが、セイヤさまで2人目ですね。」
「まっ、マジですか?」
やべえ、またヤラカシタみたいだ。
でも、イナンナさまがくれた能力だし、使わにゃ損だよな。
「おそらく、このことが知れ渡ったら、パーティーに誘われまくりですよ。」
「まあ、ぶっちゃけ荷物持ちに最適ですもんね。」
「そういうことです。さア、ではここに、討伐した魔物を出してください。」
そう言って、手のひらで石畳を指し示した。
「わかりました、じゃあ、出します。」
俺は、最初に討伐したスライムから順番に、ゴブリン、ウルフと出して行った。
ウルフを出したとき、少し驚いていたようだったが、すぐに表情は元に戻った。
「えっ!し、シルバー・ウルフ?」
「どうかしましたか?」
常に営業スマイルを、顔に保ち続けていた黒髪イケメン・・いい加減名前聞いた方がいいかな?・・が、驚愕の表情に変わった。
「シルバー・ウルフは、Cランクの魔物ですよ?しかも、他にこれだけウルフがいるということは、群だったということですよね?」
「確かに、群でした。」
「シルバー・ウルフが率いた群ということは、Cランク上位から下手したらBランク下位に相当します。」
「はあ。」
「それを、冒険者登録もしていないセイヤさまが、討伐したということは、大変なことなんです。普通はこれだけで、すぐにDランクに昇格してもいいくらいです。」
なんか、喋りながら興奮してきているみたいだ。
「残念ながら、今回は反映されませんが。」
「大丈夫です、つぎ頑張ります。」
今度は、眉を下げている黒髪イケメンに、一応そう言っておいた。
「楽しみにしています。では、査定をいたします。スライムが6にゴブリンが10、ウルフが10でシルバー・ウルフが1と・・・そうですね、解体料を差し引いて、50万シケルお支払いいたします。」
「ありがとうございます。」
正直、それが日本円にしてどれ程の価値があるのかわからず、俺は素直にお礼を言った。
「カウンターの方で、お支払いしますので、そちらへお戻りいただいてよろしいですか?」
「わかりました。」
俺たちは、中庭から建物内に戻った。
途中、黒髪イケメンが、誰かを呼び止めて、話しをしていた。
その人は、ヤケに背が低いのにガッチリした人だなと思っていたら、ドワーフだった。
「あの者は、ギルド職員で、解体担当です。」
俺が、驚いて立ち止って見ていたら、そう教えてくれた。
「ではこれで、50万シケルになります。」
そう言って、お金が入った皮袋を渡してくれた。
「こ、こんなに!」
俺は、中身を確認して思わず叫んでしまった。
その中には、金貨が50枚も入っていたのだ。
本物の金貨なんて見たことなかったし、こっちのお金の価値を知らない俺でも、これが大金であることは分かる。
「シルバー・ウルフの毛皮や牙は、高く売れるんです。」
「そ、そうなんですか。ありがとうございます。」
俺は、なぜかお礼を言ったあと、ちょっと恥ずかしくなって、すぐに窓口を後にすることにした。
「またのお越しを、お待ちお待ちしております。」
黒髪イケメンが、カウンターの向こうで、深々と頭を下げていた。




