28.ご説明をば
俺が頭を下げると、お姉さんは数枚のA4サイズの粘土板を取り出した。
「まず、冒険者です。」
一枚目を俺に見せながら、説明を始めた。
どうやら、パンフレットみたいなもののようだ。
「冒険者とは、自分のスキル、この場合剣や槍などといった武具を使ったり、体術、魔術等を使ったりして、
植物採取や魔物討伐、護衛任務など、さまざまな依頼を遂行し、達成することによって、報酬を得て、生活の糧とする職業の事を言います。」
「はい。」
粘土板には、各種の依頼の種類や分類が列記されており、冒険者としての心構えなども書かれていた。
俺が、一枚目の粘土板を読み終えると、お姉さんは二枚目の粘土板を取り出した。
「つぎに、冒険者ギルドについてです。」
「お願いします。」
「冒険者ギルドとは、国とは独立した機関で、登録冒険者相互の協力のもと運営されています。無論、その冒険者ギルドが置かれている国において、何らかの要請が国からあった場合には、優先して協力をすることになっていますから、一定の便宜を当該国から受けています。」
「冒険者は基本的に、どこかの冒険者ギルドに登録して初めて、冒険者として認められますが、その立場を保証する権限と義務が冒険者ギルドにはあるともいえます。」
「冒険者ギルドの業務としては、冒険者の登録・管理業務、各種依頼の受注・斡旋・依頼達成の確認業務、達成報酬の受取・引き渡し等の管理業務、冒険者の財産管理業務、冒険者のランク認定・管理業務、冒険者の育成業務、冒険者用施設の運営業務など、多岐にわたります。」
説明なげ~~~。
俺は、いっぺんに大量の情報を浴びせられて、頭がクラクラしてきた。
「最後に、ギルドカードの説明です。」
「よ、よろしくお願いします・・・。」
ようやく最後か。
俺は、なんとか気力を振り絞って、お姉さんの説明に耳を傾けた。
「ギルドカードとは、冒険者ギルドが発行する、冒険者の身分を証明する登録証です。このカードには古代の特殊な魔法が施されるようになっていて、カード表面には、先程記入していただいた、基本情報とランクが表示されるだけですが、内部には冒険者本人のステータスが記録されています。このステータスは、他人には確認することはできませんが、依頼の達成状況や魔物を討伐したときの情報が自動的に記録集計され、カード表面のランクに反映されます。」
「ですから、依頼達成時にギルドの専用窓口で、このカードをご提示していただければ、カードに記録されている、依頼の達成状況や魔物を討伐したときの情報を確認し、報酬をお支払する仕組みとなっております。なお、登録前に討伐された魔物の情報については反映されないのでご注意ください。ただし、冒険者の方の場合、報酬とは別に討伐部位や素材等の買い取りも別途受け付けておりますので、ご利用ください。」
よかった、買い取りはしてもらえそうだ。
「それから、あらかじめお知らせしておらず、大変申し訳ありませんが、登録時の登録料として10000シケル、カード発行手数料として1000シケルお支払いください。なお、登録料には3ヶ月間の基本税も含まれております。ですので、カード紛失時の再発行には、5000シケルの手数料を、また3ヶ月間依頼を受けなかった場合には、基本税分として6000シケルをお支払いください。」
「ちなみに、冒険者以外は各種ギルド経由で基本税を支払うか、ギルドに登録していないものは、倍の12000シケルもしくは20日間の労役による支払いとなっております。」
ギルドに所属するほうが、お得ということか。
「以上で説明は終わりますが、なにかご質問はありますか?このパンフレットを、差し上げることもできます。」
「いえ、大丈夫です。」
「では、申し訳ございませんが、11000シケルをお支払いください。」
「分かりました、これでよろしくお願いします。」
俺は、エルから借りた、大きな銀貨1枚と、金貨1枚を、お姉さんに渡した。
「ありがとうございます。あ、そういえば、ランクの説明をしていませんでした。」
まだあったのか!
え~い、ついでだ。
「お願いします。」
「はい!」




