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27.登録しましょ



 建物の中に入ると、大きな空間が広がっていた。


 天井はかなり高い。


 入り口を入って正面には、カウンターがあって、窓口らしきものがいくつか並んでいる。


 日当たりの良い、東南の角にある大通りに面した一角は、パブのようなスペースになっているみたいだ。


 そこでは、すでに仕事を終えた冒険者らしき人たちがビールのような飲み物を飲んでいた。


 エルが、窓口の一つに歩み寄っていった。



「買取をお願い。」



 窓口に立っていた人は、30代くらいの黒髪で口ひげを生やし、彫りの深い顔立ちのイケメン男性だった。



「エルさま、お疲れ様でございます。ウルフの魔石と尻尾ですね、50頭分で5万シケルになります。それと、討伐報酬もございますので、合計で10万シケルをお支払いたします。」



 エルが渡した名刺大の板を受け取って、それに魔力のようなものを流すと、浮かび上がった文字を確認し、代金を渡してきた。


 どういう仕組になっているのかは分からないが、あの板で瞬時に確認できるらしい。


 お金を受け取ったエルは、俺たちの所に戻ってきた。



「セイヤ、あんた冒険者登録してあるの?」


「いや、俺のいた国にはギルドがまだなくて、登録はしていないんだ。」


「いまどきギルドが無いなんて、どこの国よ。」



 日本ですとも言えないしな。



「いいわ、じゃあまず、あっちの一番左端の窓口に行って、登録してきなさい。登録しないと、買取もしてもらえないわよ。」



 そうだったのか、あぶなくイキナリ買取を申請するところだった。



「わかった、ありがとう。行ってくるよ。」


「あ、ちょと待って。登録料がいるわ、これも貸しとくから。」



 口調はキツイけど、色々と親切だ。



「お、おう。いろいろありがとな。」


「ちゃんと返してもらうから、いいわよ。」



 俺は、エルに渡された、大きな銀貨1枚と金貨1枚を持って、一番左端の窓口へ向かった。



「あの~、登録したいんですけど。」



 そこにいたのは、20代前半くらいの黒に近い茶髪の、緑色と金色の中間のような色の瞳をした、綺麗なお姉さんが座っていた。



「あら、こんばんわ。新規登録ね。」



 俺が声をかけると、うつむいていた顔を上げて、にっこり微笑んできた。


 ん?耳が尖っている。


 え、エルフだ!


 スゲー、本物始めてみた!


 獣人のコリンにもびっくりしたけど、改めて、ザッツ異世界だな~。



「どうしたの?」



 エルフのお姉さんが、小首をかしげて聞いてくる。



「あ!すいません。そ、そうです、新規登録です!」


「フフ、じゃあこの粘土板に、名前と年齢、種族、適正属性を書いて。もしあれば、職業の欄に冒険者意外の職業を書いてね。」


「分かりました。」



 名刺大より一回り大きな粘土板と、竹のような素材で鉛筆くらいの長さの棒を手渡された。


 俺は、全言語スキルを使って、必要事項を書き~刻み込んで~いく。



「はい、出来ました。」



 俺は言われたことを書き終えると、お姉さんに粘土板を返した。



「は~い。え~と、セイヤさまですね。17歳・・もっと若いのかと思ったわ。職業はなしと・・え?全属性?」



 お姉さんが、粘土板を確認しながら、何か声を上げた。


 やべ、俺、なんかやらかしたか?



「セイヤさま、適正属性が全属性となっておりますが、これでお間違いないですか?」


「そ、そうですけど。なんかまずかったですか?」


「いえ、通常多くても、適正属性は2つか3つまでですので、全属性というのは非常に珍しいんです。」


「そ、そうなんですか。知りませんでした。」



 ん~正直に書いて失敗したかな?


 俺が転移者だとバレちゃうかな?



「そうですか、一般常識だと思うんですが・・・。」



 お姉さんが、人差し指を顎に当てて、考え込んでいる。


 どうしよう。



「あの~。」


「あっ、失礼しました。登録を進めますね。じゃあ、そのまま1分ほどお待ち下さい。」



 俺が心配して声をかけると、お姉さんは、考え込むのを止めて、手続きを再開してくれた。


 ひとまずは、切り抜けたか?



「はい、お待たせしました、セイヤさま。こちらがセイヤさまのギルドカードになります。」



 渡されたのは、先ほど返却した粘土板だったが、それが一回り小さくなって名刺大となり、色も真っ白で透明感のあるものとなっていた。


 一番の違いはその手触りで、表面はガラスのように滑らかで、先ほど刻んだ文字が、それこそガラスでコーティングされたようになっている。


 重さもはるかに軽くなっており、非常に硬くなっているのが分かる。


 前の世界で言えば、セラミックだ。


 それもとびきり硬質なセラミック。


 この短時間でどうやって処理したのかは分からないが、元は確かにさっき俺が文字を記入した粘土板だ。



「それでは、それに本登録しますので、ここにそのギルドカードを差し込んで、この上のところに手のひらを載せたら、魔力を流してください。」



 お姉さんが、カウンターの上にある、スロットが切られた小型の機器のようなものを指し示した。



「は、はい。」



 俺は、言われるままに、カードをスロットに差し込み、手を載せると、魔力を流した。


 すると、差し込んだカードが、ボワッと青白く光った。



「では、これで登録終了です。」



 光が消えると、お姉さんがカードをスロットから抜いて、俺に渡してくれた。



「これから、カードの説明と、冒険者ギルドの説明、あわせて冒険者という職業についての説明を致しますがよろしいですか?」


「あ、お願いします。」



 長くなりそうだけど、何も知らないから聞いとかないとな。


 マヌケな俺は、世界知識を使えば瞬時で分かることを、生真面目にも聞くことにしたのだった。




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