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25.ザッツ、異世界



 だがよく見ると、日干しレンガで出来た城壁は、ところどころ崩れかけており、元々の厚さのおかげてどうにかその役割を果たしているようだった。


 アーチ状にレンガを積んで作られた立派な城門は、かつては青色のタイルが貼られて装飾されていたようだが、今は、ほとんどが剥がれ落ちて、下地のレンガの褐色がむき出しになっていた。



「やあ、エルおかえり。今日は遅かったな。」



 門の上の見晴台から、門番に声をかけられた。



「ん、ただいま。途中で、連れができたから。」


「そうか、この辺じゃ見かけない顔だな。旅人か?」



 門番が、俺の顔を見て言った。



「あ、セイヤと言います。こっちは、コリン。東の果ての国から来ました。」



 俺は、この世界が、元いた地球と地理的関係が似ているのかは分からなかったが、城壁とかの様子から、ここがヨーロッパ方面と仮定して、適当に東から来たことにして、自己紹介してみた。



「そうか、そんな小さな子を連れて旅とは大変だな。もしかして、その子は奴隷か?」


「え?いや、違います。え~と、妹です。」



 やっぱり、奴隷とかいるんだ。


 俺は、奴隷という言葉に一瞬動揺して、思わずコリンのことを妹にしてしまった。


 だが、コリンは相変わらずニコニコしているだけで、何も言わす、エルも黙っていてくれた。



「こいつらのことは、あたしが保証する。入ってもいいか?」



 エルが、門番に確認すると、彼は笑ってうなずいて、門を開けてくれた。


 魔物が入ってこないように、普段から門は閉じているみたいだ。



「「ありがとう!」」



 俺とコリンが、お礼をいうと、門番が右手を上げた。




 門をくぐって中に入ると、石畳の大通りが真っすぐのびており、左右には日干しレンガづくりの家や商家が立ち並んでいた。


 家々は、木でできた簡単な屋根がかかっている。


 夕闇がせまる時刻でも、大通りにはたくさんの人が行きかっていた。



「わーーー!」


「ザッツ、異世界・・・。」



 コリンが歓声を上げ、俺は小さくつぶやいていた。



「行くよ。」



 エルが、石畳の道を歩き出した。


 俺とコリンは、慌ててその後を追った。



 大通りに交わる小道をいくつか通り過ぎたが、どの小道の先にも、あまり建物がないようだった。


 どうも、ほとんどの家が大通り沿いにしかないみたいだ。



 あのスペースに全部、家があったとしたら、かなりな人口になるよな。


 エルの言った通り、昔は結構繁栄していたんだろう。



「ここよ。」



 俺が、キョロキョロと周りを見ながら歩いていると、エルが一つの建物の前で立ち止まった。



 

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