19.出発!
『ヒール&クリーン』
改めてコリンの全身を確かめると、いたるところにすり傷があるものの、大きな怪我はなさそうだった。
俺は、ヒールとクリーンをかけてやることにした。
「すごーい、ピカピカ!セイヤお兄ちゃんありがとう!」
服が新品のようにキレイになり、血がにじんでいた肌もすべすべの状態になった自分を見て、コリンがとびっきりの笑顔でお礼を言ってきた。
めちゃくちゃカワイイな、この子。
「どういたしまして。」
俺は、ツヤツヤサラサラになった、きつね色の髪のコリンの頭をまた撫でてあげた。
コリンも気持ちよさそうに目を細める。
「さ、じゃあ出発しよう。」
「うん!」
俺は足を伸ばすと、あたりを見まわし、ふとコリンの方を見て言った。
「ところでコリンは、どっちから来たんだ?」
「遠いとこ。」
「遠いとこ?」
なんか、斜め上の方を指差すコリンに、俺は首をひねった。
「そこは村かなんかか?」
「ううん、おっきな町だよ。」
「そうか、町の名前は?」
「ん~~・・よくわかんない。」
コリンが、首を振る。
まだ小さいからな、しょうがないか?
「そういえば、コリンは何歳だい?」
「んとね、5歳!もうすぐ6歳!」
5歳でこんな森の中に1人で来るなんて、何か余程の理由があるのかな?
しかも、親も家族もいないなんて・・・。
「セイヤお兄ちゃんは、何歳?」
「ん、俺か?俺は、17歳だ。」
「おっとな~!」
「ははは、そうか?まだ子どもだと思うけどな。」
コリンのいた集落が一番近いのかと思っていたが、どうも違うらしい。
どうすっかな・・・さっきの探査の時に、もう少し東よりの方に、川があったな。
川沿いに下れば、何らかの集落があるだろう。
よし、そうしよう。
「コリン、こっちへ行こう。」
俺が東へ向けて歩きだすと、コリンが右手で俺の左手を握ってきた。
とっても小さくて、可愛い手だ。
「うん、行こう、いこう。」
成り行きで、二人連れになった俺たちは、ようやくその場をあとにした。
・・・あ、いい忘れてたけど、倒したスライムとゴブリンの討伐部位は、ちゃんと回収してアイテムボックスにしまいました・・・て、ダレに言ってんだ?