14.ようやく脱出
ミノタウロスの死体を、アイテムボックスに仕舞った瞬間、背後で『ゴゴゴゴゴ』という音がした。
「な、なんだ?」
慌てて振り返ると、反対側の壁に、頑丈そうな金属製の扉が現れた。
続いて、部屋の真ん中に魔法陣が二つ現れる。
どうなってる?
『鑑定』
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名前:転移魔法陣(一方向用)
指定の魔法陣間を移動できる。
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名前:召喚魔法陣
指定の魔物を召喚できる。
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「なるほど。」
どうやら、向かって左の青色の魔法陣は、転移魔法陣らしい。
よくある、ダンジョンからの脱出用みたい。
そして、右の赤色の魔法陣は、召喚用の魔法陣らしい。
多分だけど、俺がミノタウロスの死体を、アイテムボックスに仕舞ったので、新たなボスを生成(召喚)しようとしているんだろう。
このまま待ってても、俺がいなくならない限り、召喚されないんだろうな。
無限に召喚と討伐を繰り返してレベ上げすることは、出来ないか・・。
「よし、一回出るか。とりあえず、この世界を色々、見てみたいしな。」
このダンジョンには、好きな時にまた戻ってこれるだろう。(長距離転移持ってるし)
俺は、青色の魔法陣に歩み寄っていった。
魔法陣の中に入った瞬間、青い光に包まれた。
「ほ。」
光が消えると、あたりは森の中だった。
目の前には、石造りの神殿のような建物が、朽ちかけた体で佇んでいる。
ツタがからまりついていて、いつかテレビで見た、世界遺産のアンコールワットみたいだ。
高さはそれほどないから、このダンジョンには地下に伸びているバージョンだな。
「とりあえず、武器これでいいかな?」
俺は、プレートアーマーの冒険者(勇者?)から回収した剣を、鑑定してみた。
『鑑定』
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名前:無名 ランクC+
作成年代:現代
種別:ショートソード
材質:鞘,柄(青銅)刀身(合金(鋼95%ミスリル5%)
適正属性:水
効果:水属性魔法の効果を付加した時、物理攻撃力2倍
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あ、ミスリル含んでるんだ。
でも、これだとあのダンジョンボスには、ギリギリだったのかもなあ・・。
「何はともあれ、これをしばらく使うか。」
そういえば!
「長距離転移の、詳細確認しとかないと。」
説明は・・・、『一度訪れた場所であれば、マーキングにより位置を記憶し、何処へでも移動可能。ただし、移動距離はMP残量による。』
「なるほど、大丈夫そうだな。とりあえずここを、マーキングしておこう。」
『位置を記憶シマシタ。』
「よし、と。」
じゃあ、まずはどっちに向かおうかな。