123.籠?・・加護
「おっけ~!みんな目を開けてもいいわよ~」
体の内側から何かを放射して、ほんのりと暖かい感覚。
久しぶりの感覚だ。
目を開けると、全身を包む光は消えている。
『にヘラ~』と笑っているコリン以外が自分の身体をキョロキョロ見ている。
「ステータスは、地上に戻ってから各自で確認してね」
イナンナ神さまがニッコリ微笑んで言った。
「あら、神界で見ちゃいけないの?」
スザンヌさんが当然のように聞いている。
「え?ええ。もうそろそろ戻ってもらわなきゃいけない時間だから・・」
「「「「ほんとにーーー?」」」」
「コリンは帰りたくな~い。だって、ここ居心地いいも~ん!」
約1名を除き、ジト目でイナンナ神さまを見る。
「これ以上余計なことを聞かれるのが、イヤなだけじゃないんですか?」:俺
「イヤっていうよりかは、マズイって感じ?」:スザンヌさん
「マズイというのは、都合が悪いということね」:エル
「都合が悪いのは、後ろめたいのかな・・?」:アイリス
「ニゃハハあ~」:以下略
「そ、そんなことはないわよ。ほんとに時間がないんだから」
「わかりました」
「あ! そ、それからね。エレシュキガルの町には、しばらくはまだ行かないほうが良いと思うわ。できれば、もう少し他の国を見てまわった方が良いと思うの」
狼狽えるイナンナ神さまに諦めて、俺が立ち上がろうとしたところで、今度は遠慮がちに言ってきた。
「それはアレですか?まだまだ俺の実力では、邪神たちには敵わないということですか?それとも、そこに行っちゃうと、都合の悪いこととかがバレちゃうからですか?」
俺は、少し意地の悪い言い方をしてみた。
「も、もちろん、万が一ということがないように、まだまだ力をつけて貰う必要があるからよ。それに、あなたに会いたがっている神々は他にもたくさんいるし」
「ほ~そうですか、ワカリマシタ。そういうことにしときましょう・・・でも、成り行きでどうなるか分かりませんけどね」
イナンナ神さまの顔が、一瞬明るくなってすぐに固まる。
「あ、あの・・」
「さあ~!じゃあ戻してください。みんなもいいよねー?」
「「「「はーい!」」」」
一斉に、イナンナ神さまの顔を見る。
「ハアー・・・。じゃあいきます」
イナンナ神さまが右腕を一振りすると、俺たちは光に包まれた。