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118.ばれちゃちゃあ~、しょうがあんめえ


 最上級の絹糸の様な白銀色の長い髪、透き通るように白い肌で彫像のように整った顔立ち。



 ・・・俺、こんなに綺麗な人始めて見た。


 イナンナは美人だけど、どちらかというと美少女っていう感じだし。


 ニンフルサグ神さまも美少女系統だよな・・。



「ええ、やめちゃったわ。ギルマスなんて忙しいだけでつまんないし、そろそろ現役に戻るのも良いかなと思って。」



 そう言って、スザンヌさんは俺の方をちらっと見る。



 そんな俺たちのことをその女性は、琥珀色の瞳をしたその大きな目で、慈愛に満ちた表情を浮かべて見ている。


 身長は高くもなく低くもなく、155センチくらいだろうか?


 豊かな胸と、折れてしまいそうなほど細い腰に長い脚。


 着ている衣装は、司祭長さまのものと似ているが、どこか少し雰囲気が違った。 

 


「こんにちは、あなたたちがセイヤくんにコリンちゃんね。」



 女性が俺と、コリンの顔を見て言った。



「「は、はい(うん!)。ど、どうして俺たちの名前を?」」



「あー、ごめんなさいね。イシュタル神さまの御神託で、教えてもらったの。もうすぐ、あなたたちが訪れるって。」 



 俺が戸惑っていると、そう言ってふわりと微笑った。



「そ、そうなんですか?そ、それであの・・貴方さまは・・・?」


「この娘は、サーシャよ。『サーシャ・フェローズ・イシュタリア』、現ハルバト国王妃よ。」



 意外なほど軽い調子にさらに面食らっていると、横からスザンヌさんが言ってくる。



「え?じゃあ、この方が・・。」


「そう、元Sランク冒険者にして『慈愛の聖女』と称された方。サーシャさま、お初にお目にかかります。Aランク冒険者のエルと申します。」



 スザンヌさんとサーシャさまの顔を交互に見ていた俺に、今度はエルが横から入ってきて、片膝をついて一礼している。



「御機嫌よう、エルさん。ここはお城の中ではないのだから、そのような儀礼はいらないのよ。」



 緊張した面持ちでこうべを垂れているエルに、サーシャさまが優しく声をかけた。




 そして、跪くエルの後ろを見やって、一瞬ふわりとまた微笑った。

 


「アイリスさん・・・いえ、・・アイリス殿、ご無沙汰しておりました。貴国があのような事になって、本当に何と申してよいやら・・・。隣国として、何もして差し上げることもできず、大変申し訳なく・・・心よりお詫び申し上げます。」



 そう言いながらアイリスに向かって下げた横顔には、はじめの微笑から一変した表情があった。



 ん?


 さっきからどうも様子がおかしいと思っていたけど、この言い方って・・・?



 司祭長さまが、#依頼__クエスト__#で訪れたことのある、エルのことを知っているみたいだったのとか、王妃様のプロフィールを知っているエルが、司祭長さまとスザンヌさんの言動から、王妃様がこの神殿内にいらっしゃるのを予想して緊張していたのとかは、今になってよく分かったけど、アイリスが緊張していたのって・・。



「わたくしのような者には、勿体ないお言葉。ありがとうございます。」



 アイリスは、慌てて跪いた。



「そのように跪かれては困ります!貴女もわたくしも、同じ聖女。ましてや、貴女は一国の王女殿ではありませんか。どうぞ、お立ちください。」



 サーシャさまが進み出て、アイリスの手を取って立ち上がらせる。



 え?



「「「お、王女さまーーーぁ!!?」」」


「ほよ?」



 俺たちが一斉に驚く中、コリンはキョトンと首をかしげる。



「亡国の王女など、もはやみなと同じ1人の民にすぎません。・・・サーシャさまと並ぶ者ではないのです。」



 アイリスが、サーシャさまに手を取られながら、顔を伏せる。



 なんか、いつものボクっ娘じゃなくなってるぞ?


 --んなことは、どうでもいいか。



 サーシャさまが、アイリスの手を引き寄せてそのまま抱きしめた。



「あの・・。」



 ピンクに近いアイリスの赤い髪を、優しく撫でるサーシャさまに、俺は声をかけようとした。



「何年か前に、ヒタト国の国王様が我国にいらっしゃいました。その時にアイリス殿とはお会いしていたのです。」



 サーシャさまは、慈しむように目の前のアイリスの頭に視線を落とした。



「そうだったんですか・・。」



 でもそうなると、昨日の夜に聞いたアイリスの話は、微妙に違ってくるよな?






「ありがとうございます。」



 しばらくして、ようやく落ち着いたアイリスが、サーシャさまから離れた。



 すると、サーシャさまは居住まいを正して、俺たちを見渡した。


 その隣に、司祭長さまも並んでいる。



「それでは、イシュタル神さまもお待ちです。みな、お祈りを捧げてください。」


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