表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/123

103.信託ではありません・・念のため


「そこが、わからないのよ。どうして、『11の魔物』や邪神と戦うことと、神殿巡りがつながるのよ?」



 スザンヌさんは、こめかみを押さえながら聞いてきた。



「あたしも、そこは聞いてないわ。なんとなくは、分かるけど。」


「コリンも~!」


「みゃお~ん!」



 お前ら、遊んでるだろ?



「?」



 俺たちと同じように、ベッドに腰を掛けたアイリスは、小首を傾げている。




「もう一つ、別な神さまからの神託があったんです。」


「「「「えぇっ!?」」」」



 みんなが一斉に俺の顔を見る。


 ライアンは、アクビをしているけど(あたりまえか)。




「その前に・・・エア神さまからはこうも言われたんです。『国々を巡れば自ずと実力も付くし、やるべき事が見えてくる。』って。」


「なるほど・・・で?」



「そして、もう一柱・・・ニンフルサグ神さまからも、神託がありました。『それぞれの国の町に行ったら、必ずその町の神殿を尋ねなさい。』っていう・・・。」


「もしかしてあの時?」



 エルが聞いてくる。



「ああ。」


「アイリスちゃんを助けたときね。」



 うなずく俺に、スザンヌさんが納得する。






「・・・でもね、もうひとつ、しっくりこないのよね。」



 しばらくの沈黙の後、スザンヌさんが口を開いた。



「諸国を巡るのはいいわ、確かに実力も付くし、経験も積める。どんな敵と対決するにせよ必要なことよ。でも・・・なんで神殿なの?」


「それは・・・。」



 やっぱり、そこですよね・・・。




「・・・・神託だけじゃないんです。」


「セイヤ!」



 俺が話そうとすると、エルが声を上げる。


 俺は、エルに頷いた。



「加護も頂いているんです。」


()()?そんなの、みんな持っているわよ。みんな、生まれ育った町の神殿に最初に参詣した時に、貰うものだもの。」


「あたしもおんなじこと言った。」



 困惑するスザンヌさんに、エルがボソリと言った。


 怒ってる?



「普通の加護じゃないんです、邪神を倒しうる特別な加護を貰ったんです。」


「どういうこと?」


「あたしもおんなじこと言われた。」



 ん~~怒ってるね。



「ステータスは明かさないって言いましたけど、頂いた加護のお陰で、たぶんスザンヌさんの想像の遥か斜め上をいくステータスになっているんです、オレ。」


「ちょ、ちょっと待って。じゃあ、神殿を巡るというのはもしかして・・・。」


「足りないんです・・・これでも。多分ですけど、邪神たちと対等に渡り合うには、全然足りないんです・・・実力が。」



 両隣に座っているコリンとエルが、いつの間にか俺の手を握っている。



「・・・だから、ニンフルサグ神さまはおっしゃったんだと思います。神殿を巡れと。」


「更なる加護を得るために?」


「・・はい。」







「・・・・分かったわ。神託のことも、加護のことも、本当のことっていう前提でなんか話が進んできてしまったけど。その話・・・・信じるわ。」


「ありがとうございます。ただ、このことは・・。」


「それも解ってる、口外はしない。・・・ただし。」



 スザンヌさんが、妖艶な(きもちわるい)笑顔で言ってきた。



「とことん、付き合わせてもらうからね。」


「ヤッター!」



 俺は能天気に喜ぶコリンの横で、エルと一度顔を見合わせ、ガックリと肩を落としたのだった。






「あのう・・・・。」




 そのとき、アイリスがオズオズといった感じで、言ってきた。



「どうした?」



 俺は、アイリスの方を見て言った。



「ボクも・・・御神託を頂きました。・・二度ほど。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ