表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/123

102.みさき~巡りの~~


「目的は・・・・いろんな国、いろんな町を巡って、その町の神殿を訪れることです。」



 俺は、なおも抵抗して言ってみる。



「理由って言ったでしょう。」



 スザンヌさんの真剣な眼差しは変わらない。


 ダメか・・・。



「どこから・・・なにを、言えばいいのか・・。」



 言い淀む俺のことを、みんなが見ている。






「10年前の災厄のことは、覚えていますよね?」



 ようやく絞り出した俺の言葉に、一瞬エルの表情が強張った。



「もちろん覚えているわ、この王都も酷い有様だった・・・今はこの通り、すっかり綺麗になっているけど。」


「ええ、それには俺も驚いていたんですけど・・・・また・・『11の魔物』が現れるんです。」



 スザンヌさんが目を見開いて固まる。



「でも、クサリクは神々の軍が封印して、邪神アプスも倒したはず。」



 スザンヌさんは、自分に言い聞かせるように呟いた。





「邪神ティアマトが、息子キングウに命じて『11の魔物』を復活させるんです。」



 ふいに、部屋の入口の方から、声が割り込んでくる。



「「「「アイリス(ちゃん)!」」」」



 そこには、風呂上がりの上気した顔のアイリスが立っていた。


 その赤い顔は、風呂上がりのせいばかりではないみたいだ。



「どうして、そのことを知っているんだ?」



 俺は困惑して、上ずった声を出してしまう。



「それは・・・。」



 俺の勢いに、アイリスは途端にうつむいて黙り込んだ。




「どうやら出どころは違うみたいだけど、そういう噂があるというのは確かのようね。」



 スザンヌさんは、俺とアイリスを交互に見て顎に指を当てた。



「『11の魔物』が復活するかどうかは置いといて、それでセイヤくんが神殿巡りをすることと、どう関係があるのかな?」



 ふたたび俺の顔を見つめ、聞いてくる。


 どう言えばいいんだろう?


 俺が転移者であることは、話を聞くとエア神さまは、エルにさえ言っていないみたいだしな。





「・・・スザンヌさんは、神託ってどう思います?」


「『神託』?宮廷の大神官様や、どっかの国の聖女様が授かるっていう?」



 スザンヌさんが、一瞬キョトンとした目をして言った。


 ああ、この世界ではそうゆうこともあるんだ、ヤッパリ。



「ええまあ・・・その神託を授かったんです。エア神さまに。」


「・・・・。」



 スザンヌさんが、目をパチクリする。



「・・・セイヤくん、本気で言ってんの?」


「ハイ。」


「あたしも神託を授かったわ。」


「コリンも~!」


「みゃお~ん!」



 エルが肯定すると、コリンも勢い良く右手を挙げる。


 ・・・ライアン、おまえは違うだろう!



「ちょ、ちょっと待って。どういうこと?」



 スザンヌさんが、俺たちの顔を見回して狼狽する。





「俺はエア神さまに、こう言われたんです。『キングウに打ち勝って、『天命の粘土版』を奪い、『11の魔物』を倒し、邪神ティアマトを葬って、世界を救ってほしい。』と。」


「あたしは、セイヤのことを助けてやってほしいって言われた。」


「コリンも~!!」


「みゃお~ん!!」



 だから、ライアンは違うだろ!!




「だから、神殿巡りなんです。」



 スザンヌさんは、こめかみを押さえ始めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ