第四話 勇者の仲間と炎の双拳
リョーヘイの案内で、私はセントウェスティアにある彼の家にやってきた。
中世ヨーロッパの一軒家の如く、石が敷き詰められた古そうな建物。
扉も木材で出来ており、輪っか――即ちノッカー付きの本格的なヨーロッパ風のものだ。
まあここがファンタジー世界である以上、ヨーロッパ風の建物なのは当たり前なのだが。
リョーヘイが鍵を開けてドアを前に押すと、扉が内側に向かって開いた。
こういう内開きのドアも、ファンタジー風のゲームではよくある構造だ。
「帰ったぞー」
リョーヘイが欠伸をしながら、建物の中に入っていくに続いて、私も入室する。
「わー・・・・・・」
リョーヘイの家は、地下に向かう階段や、上に昇る階段もある三階建ての、何というか基地という言葉が似合う構造だ。
ドアから入ってすぐの所には、白いボードのようなものがあり、三つの部屋がある。
今は彼の仲間らしき三人の人物もおり、作業を中断した後、リョーヘイに近付いた。
「リョーヘイさん、おかえりなさい!
あれ、そこにいるお美しい女性はどちら様ですか?」
彼の仲間の一人――――桃色の髪に、青い魔女のような服を身に纏う少女が問う。
「こいつは、さっき森で知り合ったんだ。
大丈夫だ。何も変なことはしていない」
あのね、そういうことを言うと余計怪しまれるよと言いたくなりそうな台詞。
半目でリョーヘイを凝視し続けた後、私に近付いて口を開いた。
「ところで、貴女お名前は?」
首を傾げて質問する魔法使いに、私は笑顔で答える。
「アサミだよ、北条朝美」
「アサミさんですか・・・・・・。何というか、ここら辺では聞かない名前ですよね」
「あー、私異世界から来たんだよ。
この世界の女神と名乗っている人に召喚されて、私はここにいるんだよ。
ところで、君は?」
魔法使いは、元気に自分の名前を答えた。
「マリー。私はマリーですッ!
魔法使いをしています」
「マリーちゃんか~。可愛い名前だねぇ。
ところでさマリーちゃん。さっきからずっと気になっていたんだけど、どうして私の胸ばっかり見てるのかな?」
私がそう言うと、マリーは顔を手で伏せて答えた。
「き、気にしないでくださいッ!」
と、私とマリーが話していると、
「はははッ! マリーちゃん、貧乳なの気にしているから、巨乳のお前が羨ましいんだと思うぜ?」
と豪快に笑いながら、机に座っていた白い服を羽織るワイルドな男が立ち上がって言う。
「そ、そうなんだ・・・・・・。ところで、君は?」
「ん、俺か?
俺はフェリック。格闘家だぜ」
格闘家――――フェリックは前歯を見せながらそう名乗った。
すると、奥の方で何か難しそうな本を読んでいた緑髪の男が椅子に座りながら顔だけを向けた。
「ん、最後は私ですね。
私はジョーっす」
「あ、どうもよろしく」
全員の自己紹介が終わった所で、いよいよ部屋の真ん中で作戦会議が始まった。
「彼女に似た敵?」
フェリックが眉を潜めて、そうリョーヘイに質問する。
「そうだ。俺がさっき外に出たら、謎の塔があるのが見えてな。
そこに近付いたら、アサミの偽物が俺に殺しにかかったんだ。
勿論返り討ちにはしたんだがな・・・・・・。
そこでお前達の出番だ。あの塔にアサミと共に行こうと思う。
ついてきてくれるな?」
◇◇◇
勿論全員が承諾し、私達は塔へ行くことになった。
セントウェスティアの近くの森を抜けた先にあるその塔は、四階建ての構造である。
門番は既に倒してある故、あとはここを駆け抜ければ入れるのだが・・・・・・。
「なんだか嫌な予感がするな。闇の気が・・・・・・闇の気が随分近くにある気がするんだ」
彼曰く、嫌な気配がここら辺に漂っているらしい。
まさか誰かが待ち伏せているのだろうか。
気にせず向かおう、と言おうとする前に、謎の声が聞こえた。
「よく当てたな勇者よ」
その声は、私にとって聞き覚えのある声だ。
だが長い間聞いていない為か、凄く懐かしい声。
そんな声の後、ピシュンという音と共に人が現れた。
少年だ。
大人しい茶髪に、中性的な青い瞳の顔。
茶色のロングコートに身を包み、中には赤いシャツを着ている。下は黒いズボンだ。
頭上には、何故か金色の光輪がある。
見覚えのある顔だ。
というより、私と彼は家族だったのだから。
「天夜・・・・・・、どうしてここにいるのッ!?」
「やあ、二年ぶりだね。姉さん」




