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あてにならない差出人  作者: 元々島の人
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沢田との戦い、愛と憎しみとエゴ

その頃福田は警官に呼ばれ、ボウガン事件の犯人が沢田ではないかと自宅に同行することになった。百合子には連絡し、沢田のいない時間帯を選ぶことになった。警官は

「この事は沢田さんには抜き打ちでやります。」

同行した警官はかなり奥まで沢田の部屋を物色した

「違うみたいですね。沢田の家にはボウガンなんて全くありません。」

「えっ別の人物?誰が?」

「じゃあ。」

と行って警官と別れようとすると、外に洋子がいた。

「あれ?」

「ああ、岡田さんも現場にいたと言う事でお呼びしてたんです。」


 その後少しの聞き込みの後、福田と洋子は帰った。しかし洋子は憮然としている。先をすたすたと歩き始めた。

「どうしたの?」

と福田が聞くと振り返り洋子は切り出した。

「ねえ、精神科いこ。」

「は?」

「あなたどうかしてる。前からだけど、手紙が来てから完全に。神崎さんを異常に助けようと親身になったりあげくあの沢田を追ったり。」

「そりゃほっとけなくて・・」

「それがおかしいって言ってるの!精神科いこ!」

「何で!」

「あのねえ!私があの日公園に同行したのはあなたの病状を確認して精神科につれてくためだったのよ!まさかデートだと思った?」


「神崎くん、沢田はB倉庫に現れるわ。」

「わかった。」

神崎は百合子からの電話を受け現地に急行した。

神崎が倉庫の扉を開けるとそこには沢田一人しかいなかった。神崎は驚いた。

「お前1人で何やってるんだ?」

「待ってたぜ神崎。お前が俺を追ってくると思って待ってたんだよ。」

「筒抜け。か」

「お前とこうして1対1でやりあうのも何年振りだろうな。」

「1対1?お前がいつ1対1で戦ったんだ!」

「お前が百合子を奪ったから制裁してやったんだろうが。」

「よくもぬけぬけと。」

さらに神崎の怒りは増した。こんなやつと同じ部で活動したのかというこみ上げる思いだった。

「さっさとはじめようぜ、てめえの処刑をよ。」

沢田は余裕の憎々しい笑みを浮かべ、拳を鳴らした。さながら処刑人の気分の様だった。

神崎は拳を握りしめた。怖くないといえば嘘だった。しかし百合子を守れるのは自分しかいないのはわかりきっていた。それが彼を強くした。同時に福田を巻き込んだ自責の念や染谷へのライバル心もあった。何より沢田を学生時代からおそれ1度も本当に勝ったことのない情けなさからだった。

そして拳を震わせ沢田に食って掛かった。しかしその一撃を沢田は軽くかわして見せた。

「うっ・・」

にやりとわらった沢田の顔に思わず後ずさった。さらに沢田は笑った。

「おら!」

沢田のパンチが神崎を吹っ飛ばした。さらに神崎をつかみ殴りつけた。重いパンチを受けながらも、神崎は食い下がった。さらに沢田は殴った。神崎は倒れた。

「おらたてよ。いつまでも百合子に付きまといやがって。」

「お前だろ・・いつも百合子につきまとったのは!」

神崎は必死で立ち上がった。後がない思いだった。何故か福田の顔が頭に浮かんだ。

「百合子は俺が守るか?おめでたいやつだな!」

「お前なんかに!」

必死だった。ただ必死で神崎は嘲笑う沢田を許せなかった。


福田の家に連絡があった。

「はい!」

「百合子です。徹から連絡ありませんでした?」

「いえ・・」

緊急事態を思わせる言い方だった。緊迫感にひとすじの汗がにじんだ。福田は冷静に次の声を聞いた。

「沢田の事を見つけたら警察に連絡して逮捕してもらうよう言ったのに連絡がないんです。」


 福田はタクシーを百合子から聞いた場所に走らせていた。さっきまで一緒だった洋子の言葉が耳に刺さっていた。

「頭おかしいんじゃないの?なんで神崎さんたちの事に親身になるの?」

福田はいらだっていた。いつも、まわりから変人扱いされ理解されない事に。こんな時すらわかってもらえない事に。

「仕方ないんだ。僕はこういう性格だから。神崎さんを今さら他人扱い出来ない。」

タクシーから降り、急いで倉庫を開けると傷だらけの神崎が倒れていた。

「神崎さん!」


神崎が入院して3日がたった。沢田は近く引っ越しの計画を立てていた。沢田は百合子を責めた。

「何で警官を家に入れた。」

「すみません。」

「お前の愛する神崎は病院だ。お前はもう逃げられん。」


奈保子の家に電話があった。

「百合子?」

「奈保子。」

力なく泣き崩れそうな百合子を奈保子は何とか励まそうとした。慎重に言葉を選ぶ。

「神崎くん、大変だったね。」

ありきたりの言葉しかでてこない、自分のボキャブラリーを嘆いた。

「うう。」

「こんど一度会おう。そこで色々話そう。」

努めて奈保子は百合子を慰めた。


 沢田は百合子を問い詰めた。

「女友達と会う?」

「はい。」

「嘘じゃないな。俺が同席する。」

「それはできません。相手が。」

震えと毅然とした態度が同居していた。

「いつの間にか生意気になったな。まあいい。そいつに俺が家から出さないなんて言われるとこまる。」

常に沢田の威圧は一貫している。もはや百合子は糸が切れそうだった。


二人は離れた駅のレストランで落ちあった。

「百合子。」

「ああ。」

「神崎君が警察をよんでおけばよかった。でもまだ手はある。神崎君に対する傷害罪とか。」

「もう手を回してると思う。」

「こうなったら復讐するしかないよ。これ以外黙っている必要ない。」

「そんなこととても。」

「私の依頼した探偵がかなり沢田の動きを掴んだわ。あいつ、いくつか秘密を抱えてる。」

「そんな事調べたら危険よ。」

沢田の恐怖を知る百合子はぞっとした。

「わかってるけど、あいつは昔から許せなかった。気にいらなければすぐ大声をだし暴れ他人のしあわせを奪った。私、ひとりで色々うごいてみようと思う。」

「そんな危険よ。せめて男の人が1人いないと。」

「ボート部のみんなどうしてる?」

翌日奈保子の勤め先に電話がはいった。

「お世話になっております。探偵の中谷です。」

「中谷さん。」

「沢田親子の政治、財界らとの癒着などについて調べました。また先日の神崎さんが怪我をした場所では武器の密売がはかられていたそうです。」

「尻尾をつかんで警察につきだすわ、それには現場を押さえないと。」

「沢田のいる会社は実は父親のグループではありません。一見関係のない会社でカモフラージュされています。しかし一見彼はへりくだっていても相当な地位が保証されているようです。彼の家に来る人間を調べるのは難しいですが

「無理をなさらないでください。」


 奈保子は百合子に進捗状況を説明した。

「結構進んでる。まだ決定的じゃないけど。」

「ねえ、あまり無茶しないで。」

「あたしだって恐いわ。でも沢田への怒りでカバーしてるの。」

普段弱味を見せない奈保子が珍しくよわげな顔をした。


 洋子は嫌み顔をした。

「あの後神崎さんにあったの?」

「あってないよ。」

「まともな判断ね。」

さらに洋子が頬杖をつき嫌味口調で畳み掛けた。しかし福田は一段上の温厚さで対処してみせた。

「うん、いかに自分がとんでもないことに深入りしたかと後悔してる。」


 その頃奈保子は提案した。怒りと必死さがこもる。それはかつて愛した神崎が襲われた事に対してと何となく気づいていた。

「dvの証拠を突き付けるのよ。監視カメラをしかけるの。」

「うん。」

百合子は乗り気ではなかった。しかしそうもいってられない状況だと百合子は気づいていた。何故奈保子はいつも強くいられるのか憧れの念があった。百合子は友人、同性としての奈保子の強さに頼もしさを感じた。

(私には、徹さんと奈保子がいる。沢田がいくら恐ろしくても。それにあの時福田さんも来てくれた。)

しかし百合子は気づいていなかったが、奈保子は沢田の話をする時恐怖の震えで体や足を揺らしていた事には気づかなかった。奈保子は思っていた。

(私は、沢田と顔を合わせなくてもこれだけ恐怖を感じる。でも百合子は一緒に暮らして耐えている。すごいな。)


 最近百合子の様子がおかしい事を沢田はきづいていた。奈保子は再度提案した。

「沢田を家庭内暴力で告訴する方向で行きましょう。弁護士にあうのよ。探偵が色々あいつの身辺をしらべたんだけど、何故か警察の捜査が後手にまわってるらしいの。」

奈保子はさらに沢田への恐怖が増していたが、努めて毅然と振る舞った。

「でも、ばれずに弁護士に会うことなんて。」

百合子は下を向いた。もはやあきらめの様相が表情、いや座り方などの全身から漂う。体が震えているのを隠している奈保子とは違い魂の抜けた人形の様だった。

「そんなに監視が厳しいの。」

「それだけじゃなくて戦うの怖い。」

百合子は下を向き顔を覆った。もはや自分は病気だと、何故沢田に従うのかわからなくなっていた。恐怖に当たり前のように支配され好きでもない男に従う事が当然の事となっていた。


「俺をボウガンで撃ったのはだれなんだ。沢田たちかもしれない。でももし別人だったら。誰なんだ。俺狙われてるのかそれがわかるまでは。」

神崎がリハビリをはじめた。

福田の元に電話がはいった。それは腰が抜けるような報だった。

「神崎さんがボウガンでうたれた?犯人は逃走中?」

「あなたのなかまが。」

沢田の家に警官が来たが、沢田は机をたたいた。

「ふざけるな。この件は一切しらん!」



 その時神崎のもとに警官から連絡が入った。

「つかまりました。橋本という神崎さんの元同級生です。」

この事件はニュースで報道された。

「橋本容疑者のバッグからボウガンを押収しました。大学の合宿所で生活しながら作っていたと言う事です。」



「えっ!あのボート部の?」

洋子はテレビを見た

「犯人の供述では昔からにくかったということです。慶団公園では別の人を撃つふりをして神崎さんをねらったと供述しています。」

警官は病室で神崎と福田に説明した。

「ええ、犯人の供述では、神崎さんたちとの同居生活の際にこっそりと昼間ボウガンを作成していたらしいんです。」

「あいつは昼間アルバイトに行ってたんじゃ。」

「何故神崎さんを憎むんですか・」

警官は説明した。

「最初は沢田と言う男が憎かったそうです。ところが彼にはっきり文句をいったり皆に尊敬されている神崎さんに憎しみの対象がうつり、百合子さんとの交際が始まってから憎しみが決定的になったそうです。」

「そんな。」

「何故2発違う材質の矢を撃ったのか、それは確実に神崎さんが福田さんをかばうように1発目を福田さんにねらいすれすれに撃つ。しかしそこで万一福田さんにあたる事を恐れ1発目はゴム製のおもちゃにして後ろにいる神崎さんに福田さんが狙われていると認識させ、人をかばう神崎さんの性格を利用し2発目は福田さんをかばった神崎さんに当たるように狙ったのです。神崎さんの性格を知っているからです。ところが2人は伏せてよけた為神崎さんは傷つかず計算が狂ったのです。」



 洋子はふいに言った。

「ありがと。」

「えっ。」

「慶団公園で待ち合わせするとき、危ないから待ってろって言ったでしょ。もし言ってくれなかったら私が当たってた。」

「ああ、別に。」

「ごめん。」


 福田は見舞いに来た。

「神崎さん。」

「福田君・・」

「大変、でしたね。」

「俺は裏切られた。俺が馬鹿だったのかもしれない。ボート部時代から皆に持ち上げられて嫉妬されてるなんて知らなかったんだ。のぼせやすい人間だよな。」

「僕が言うのもなんですが、貴方は命がけで沢田と戦ったじゃないですか。」

「まあ、負けたけど。」

「あなたは僕を救ってくれた。恩人です。僕は嘘に見える手紙を信じる馬鹿だけど、来てよかったです。」

「ありがとう。」

「神崎さん、僕が沢田を・・」

「えっ、おい!」

福田は病院を出た。

福田は百合子に電話した。

「えっ!沢田の秘密ですか?」

「はい。」

「どうする気なんですか?」

「いえ何でも・・」

「ただ、最近家に戻らないんです。そういえば奈保子からもしばらく連絡ないし。」

「えっ大丈夫ですか?」


沢田は倉庫で言った。

「お前はここに監禁させてもらう。」

そこには縛られた奈保子の姿があった。

「貴様よくも探偵を使って俺の身辺を調べたな。お前にこれ以上いられると困るのでな。」


 「奈保子さん、連絡取れないんですか?」

「ええ、勤務先にも電話したんですが、最近無断欠勤が続いていると。」

「それ絶対何かあったとしか。」

「沢田は夜遅くなっても家を空ける事はほとんどありません。奈保子がこんな状態で、彼女は沢田の事を調べていましたからまさか何かのトラブルに・・」

「何か手がかりはないんですか。」


(奈保子さんの事、警察に言って捜査してもらおう。)

福田はそう考えていた。しかし洋子の言葉が頭にひびいた。

「何ですぐ人を信じたり世話焼いたりするの?」

「沢田がもし奈保子さんと関わってたら、今度こそ本当にまずいかもしれない。俺の身が。ここは助けに行こうなんて思わない様にしよう。恋人でも友人でもなければ、ほんの少し前に知り合った関係だ。俺がどうこうする問題じゃない。いままでのおれがおかしかったんだ・・」

福田はふいに百合子に連絡した。

「奈保子さんが依頼していた探偵の連絡先は?」


「まてっ!」

監禁場所の都内の倉庫に突然福田が現れた。疲れと恐怖で息を切らしている。

「ああ?てめえ神崎と一緒にいた。」

「奈保子さんを返せ・・」

 別に福田は奈保子が好きではなかった。しかし、それは義務感に近かった。そして神崎がぼろぼろになったのを見た時の怒りと悲しみ、百合子が泣いたのを見た時の怒りがいつしか沢田に対する恐怖を覆った。そして息をきらし勝とうとした。

「そうはいかねえ。こいつは口封じの為死んでもらう。」

「うう・・」

「何だあ?」

福田の胸に激しい感情が込み上げた。それは誰も見た事がない彼の怒りだった。

 「女を言いなりにし、恋敵をなぐり、今度は秘密を知った人を殺すだとこの人間のクズめ!」

顔の汗が飛ぶ程に叫んだ。」

「お前?ボート部のやつじゃないよな。神崎の何なんだお前。」

 「ゆるさない・・」

そういって走りだしついに踏み込みと同時に殴りかかった。しかし悲しいかな相手が悪すぎる、通用するはずはなかった。潜った修羅場が違いすぎた。福田は軽く拳を受け止められた。しかし怒りは捨てなかった。

「絶対に負けない!」

受け止められながらも激しく睨んで見せた。激しく叫んだ福田は錯乱するように沢田の腹を殴った。しかし効き目はあまりなかった。そこへ顔面にもう一発パンチが飛び、倒れた所に蹴りが飛んだ。さらに蹴りを入れて見せた。これはさすがに苦しくもはや力がない状態だった。最後の力を振り絞り沢田の足をつかんだが蹴られ飛ばされた。立ち上がろうとするもさらに蹴りが飛んだ。もはや体力も気力もつきかけていた。勝てない相手はいるのかという絶望的心情だった。ふと、自転車を直した子供の顔が浮かんだ。福田は意識を失いかけたその時だった。

「待て!」

それは脱獄した橋本だった。ボウガンを持っている。目が血走り、自分はもう人生終わったんだという、全てを捨てた目だった。

「て、てめえ!」

橋本は無言でボウガンを撃ち沢田の左足に命中した。沢田は悲鳴を上げ倒れた。橋本は叫んだ。

「おれはいつのまにか神崎を恨んでいた。だが、もとはといえばお前が全部悪いんだ!お前さえいなければ!」

橋本はもう一発今度は右腕に打ち込んだ。福田は止めようとしたがもう動けなかった。

そこへ後ろから声が聞こえた。

「警察だ!」

それは仙谷刑事だった。

「傷害容疑の現行犯で逮捕する。」


 福田は神崎と病院で話した。

「何でそんな無茶を・・」

「神崎さんの仇と百合子さんの恨みですよ。」

「まさか、君と会ってからここまでの事になるとは・・」

「いえ。僕も橋本が現れなければ殺されてました。」

「しかし沢田しかり橋本しかり、何で自分の事しか考えない人間ているんだろうな。悲しくなってくるよ。本当に。」

神崎は珍しく涙を流した。



 大けがをした福田の病室に洋子がいた。

「あなたの事病気だと思ってて、ごめん。」

「いや、多分病気だ。」

「うん、多分人柄なんだと思う。持って生まれた。」

「うん、俺神崎さんや百合子さんの事を勝手に友達だと思ったり自分でもよくわからなかった。おかしくなってたんじゃないかと思う。だから今度精神科に行くよ。」

「でも福田君の性格でなくしちゃいけない物もあるんだと思う。だから、今度からは無理をしすぎないで。」

「うん。」

「はやく退院して。」

「うん。病院へいかなきゃな。」

「そうじゃなくて慶団公園よ。今度は本物のデートで。」



話は終わりですが、あまりの、修正箇所の多さにまずはおわびさせて下さい。沢田と神崎を間違えたり、奈保子と洋子を間違えたりもう文意不明になっています。僕自身もぼろぼろです。焦ってる部分はありますが何故か焦ってしまうのも、障害なのでしょう。


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