差出人の正体とダンスパーティ
後日、また警官が福田の所へ来た。
「実はあれから現場を色々検証したのですが、お話を伺いたく今度は福田さんお一人で来てください。」
福田は署に行き警官と状況について話をする事になった。
「撃った人間を目撃した人はおらずかなり遠くから狙い撃ったみたいですね。心当たりはないんですか。」
「沢田という男がもしかして・・」
「もしかして沢田さん。」
「あっはいそうです。」
「あの家からはよくない噂が以前からあったようです。先日すごい怒鳴り声が聞こえたと通報がありまして、その通報した人が最近行方不明になったとか。」
「私実はこの前仙谷さんと言う刑事に会いました。」
福田はばったり柏田と会った。
「あの福田さん、最近、お巡りさんが家に来られてませんでしたか?」
「あ、いえ事件とかではないです。この近くで何かあったわけじゃないんです。ただちょっと事故の様な者に巻き込まれまして。」
「そうですか。安心してよさそうですね。」
「ええ、でもやっぱり人を信用すると色々災難に会うんですかね。ほらこの前変な手紙が来たとか。」
「そうですね。僕はあまり人を信用しない主義です。合理性で物事を判断します。」
「そうですか。」
また洋子は医者に来ていた。
「実は、嘘だとわかるような手紙を信じた彼があるきっかけで全く赤の他人と親しくなって。彼を友達みたいに見ていろいろお節介を焼いてるんです。」
「その世話を焼かれている人は迷惑がっているんですか?」
「あっ、そういえばあてにしてる。」
「とすればその相手の方も少し変わっているのでは?」
洋子は電話で友人と話した。
「だから言ったでしょあんなやつかかわるなって。今日課長も怒ってたし、いよいよ居場所なくなるわよあいつ。」
「退職するかなあ。でも自分で原因わからなそうよねあいつ。」
福田の家に神崎から電話があった。
「迷ったけど会わせたい人がいる。実は君に手紙を出した事を知ってるって人が
「えっ誰なんですか?」
「彼女の名は岬奈保子。俺たちのボート部の同期だった女性だ。百合子と二人マネージャーだった。彼女が、百合子から助けを受けたんだ。」
「でも何故僕に?」
「それがこれから説明したいってお詫びもしたいそうだ。すごく込み入った事情かあったんだ。彼女の知り合いの子供がきみの郵便受けに投函したらしい。その子供は君に以前会ったことがあるらしい。」
「え?」
「なんでも自転車を治してもらったとか。だから彼女から謝りたいらしい。俺達も同席する。」
そこには奈保子らしき女性がいた。ショートヘアとびっしりしたビジネススーツ。自信に満ちた目。仕事が出来そうで男性的イメージが強い百合子と対照的なタイプだ。福田は神崎に聞いた。
「どういうつもりなんですか。」
奈保子は答えた。
「はじめまして、福田さん。そして本当にご迷惑をおかけしました。あなたに手紙を出したのは私の依頼した探偵の子供なんです。」
「ええ?」
「あたしが沢田の調査を探偵に依頼したんです。そうしたら、その子供がそれを知ったんです。その探偵の子供は、僕を前に助けてくれた人がいます。その人に頼みます。って言って来たの。で、神崎君のところにも同じものをだしたの。」
「そうか!前に道で自転車が壊れて治してあげた子だ。挨拶に探偵の親が来てました。」
神崎はいう。
「俺も最初わけわからなかったけど、実際に公園まで行ったのは俺も相当なお人好しだよ。」
福田はフォローするように
「いえ、神崎さんのおかげで助かったんですよ。」
神崎は福田に子供の事を聞いた。
「でもその後は会ってないんですか?」
「会っていません。」
「ちょっと待った。正式な知り合いじゃないんだろう?家を知ってるとはいえ、それってまずくないか。」
「まあ、子供のやったことですからね。」
「神崎君を助けるためこの件に関わって。あたしは昔から沢田の恐ろしさを知っていた。だから神崎君を助けたかった。」
福田は胸をなでおろした。
「良かった、あの手紙を出したのは悪人じゃなかったんですね。矢が飛んだ時、自分は騙されたんじゃと思いました。でも差出人が善人で良かった。」
奈保子は
「私からも言いましたが、探偵からもきつく子供に怒っておくそうです。」
「あれ?じゃ矢を撃ったのは誰なんだ?沢田達?」
「いや、そうじゃなかったら誰になるんだ。おいおい気味が悪いな。」
場が何となくきまずくなり神崎は奈保子に言った。
「ありがとう。俺を心配して探偵に依頼してくれた事は。」
「それだけ?」
「えっ!」
「福田さんが来てくれなかったら今頃手をこまねいたままだったんじゃないの?福田さんが助けてくれたんでしょ」
「じゃあ、君はどうしてほしいんだ?」
「私と交際して。」
「それはできない。」
「何でよ。」
「感謝はしてるよ。お礼は俺から何回でもする。福田さんと君のおかげだ。」
「いやよ。」
「おいおい、困るよ。」
「嘘よ、冗談、あたしはとっくに神崎君に振られてるから、今は百合子を助けるのが先よね。」
福田は考えていた。
(うまくいけば沢田を捕まえられるけど、でもあのボウガンの矢の件は沢田なんだろうか。)
奈保子は帰り道福田と話した。
「福田さんはあの手紙信じたの?」
「ええ。」
「いたずらと思わなかった。」
「何となく真実味が。」
「ふーん。世の中にはあなたみたいな人いるんだ。」
「でも騙される事もあります。」
染谷は提案を持ってきた。
「近々沢田が参加するダンスパーティがある。そこで変な人間とあって話してるのを探って暴くんだ。ダンスパーティで沢田が悪い人間とあってる場面の証拠をつかみ、写真に撮るか録音して警察にいう。百合子さんの情報は確かだ。拳銃や麻薬を密売して取り引きしてるらしい。」
「でもどうやって?」
「猫の首に鈴をつけるのさ。百合子さんに服に盗聴機をつけてもらう。やつが、動いて悪い人間に接触したら動くんだ。」
「よし、やってやる。」
神崎を染谷は制した。
「お前はだめだよ。」
「何で」
「顔みられてるから会場にはいれないだろ!」
「しかしおれは自分の手で百合子を助けたいんだ。」
神崎は食い下がった。
「そこを我慢しろこの方法が一番有効なんだ。」
「しかし。」
「神崎さん。安心して下さい。僕たちが必ず。」
「福田君は駄目だよ。」
「えっ!」
「顔見られたじゃないか。」
「あたしいきます。」
「洋子さん。」
「じゃあそういうことで。」
ダンスパーティには染谷、洋子、阿部、橋本、奈保子で行く事になった。
ダンスパーティは都内のホテルで行われた。予想通り沢田の父親のつての来客が何人も来た。その中で百合子のドレス姿はひときわ美しく見えた。
「沢田さまの奥さまは大層な美人ですな。」
橋本は辛かった。
「百合子、ドレスとは裏腹になんて辛いかおを、おっと神崎のやつきてないだろうな。」
阿部は気がついた。
「見ろ、政治家の池内だ。あっちには財閥の田辺がいる。あいつら沢田の親の会社に不正な金を渡してるらしい。」
奈保子が気づいた。
「あれみて。」
胡散臭い犯罪者のような男だった。染谷は気づいた。
「なんだあいつ麻薬の密売人みたいだ。」
しかしなかなか沢田は隙を見せない。
「二面性の強いやつだな。」
そこへ沢田の部下らしき男が耳打ちした。
「どこかいくきだ。」
染谷たちは追いかけドアを開けてみた。
「ここにこれだけあります。」
銃と麻薬らしきものがあった。
橋本たちはのぞき写真を撮ろうとした。
「決定的証拠だ、カメラとレコーダーセットだ。」
「これで完璧だ。沢田はこれで終わりだ。」
神崎は写真を警察とマスコミに送った。ところが神崎の元に警察から電話が来た。
「神崎さん、この写真だけでは沢田の事を立件するのに証拠不十分と言う判定が出ました。
「証拠不十分?」
「ええ。トランクの中身がわかりません。」
「残る方法は現場をつかむしかない。」
ここまでお読みいただきありがとうございます。この話はもう少しで終わりです。色々迷いましたがアップして良いかなとも思いました。消すと負荷が増して迷惑がかかる事は存じています。賞に出すかとかこのまま掲載かとかまだそこまで考えてはいません。ちなみに話はいじりません。表現などは変えるかもしれませんが。