深まる矢の謎
福田は百合子に電話した。
「沢田は何か犯罪と関わっていると思います。だからその手がかりをつかむんです。そういう奴はたとえばカレンダーだったり書斎だったり、メモ用紙に何か書き残しているはずです。」
「わかりました。」
福田はボウガンで撃たれそうになった場所へ行ってみた。すると立ち入り禁止になっており、周囲には警官が警備している。福田は警官に聞いた。
「あのお巡りさん、ここで撃たれたの私なんです。まだ届出してないんですけど。」
「そうなんですか?では署でお話を伺いましょう。」
福田は警官と署に移動し、事件の詳細について話を聞いた。
「一発目はおもちゃで、二発目は木でできた本物です。」
「えっじゃあ別の人物が撃ったんですか。」
「うーん、同一犯の可能性もありますね。例えば一発目は殺すつもりはなかった。でも2発目は殺すつもりで撃ったとか。」
「僕が誰かに狙われてるんですか?」
「わかりません。もし、不安でしたら警護をつける事も考えます。」
結局その夜は警官がアパートの前に警備をした。
福田の家に警官が来た。
「福田礼二さんですね。実は、先日慶団公園であなたが矢で撃たれたと言う事件の届けが目撃者と神崎さんの両方からありまして、話をお聞きしたいのです。」
福田は慶団公園の神崎と初めて会った、矢で撃たれそうになった場所まで警官と行った。
「ははあ、すると、ここで神崎さんを待っていた際に当たりそうになり、2発目を神崎さんがかばってくれたわけですね。」
そして福田、警官はたちは署に移動し神崎と合流した。、刑事たちが話を聞くことになった。
「はい、近くで彼に1発目が当たりそうになったのが見えたんです。それで驚いて・・」
「なるほど。それで神崎さんは福田さんが誰かに狙われて撃たれそうになっているのではと思い駆け寄ったわけですね。」
「あれ、そういう状況って、矢が飛んできた方を見て、狙っている人間を確認してからかばいますよね。撃とうとしている人間を確認しないで福田さんをかばったんですか?」
神崎が青くかつかっとした。
「刑事さん!まさか僕が何か知ってるか共犯者だと思ってるんですか?」
(えっまさか?)
福田はまさかと思いぎょっとした。刑事は続ける。
「いえ、そうは言っていません。まだ仮説の段階です。」
「何故僕が福田さんを狙わなければならないんですか?」
「もともとお二人が初めてお会いしたのは何か差出人不明の手紙が原因とか言うはなしでしたよね。」
「そんな手紙僕は出していません。」
「いえ、ですからまだ仮説の段階です。」
「実はあの矢は市販のものではないらしく犯人が自分で作成したもののようなんです。」
「自分で作成?」
福田は聞いた。
「ええ、かなり手間がかかってますね。」
「それってかなり時間に余裕のある人物?」
神崎は仮住宅に帰ってきた
「ひどい目にあったよ。」
「災難だったな。」
橋本は同情した。
「あの日、沢田はいきなりここに来たのか?」
「そうだけど。」
橋本は何の事かと言う顔だった。
「沢田が福田君を狙う理由なんてもちろんない。もしかして僕を狙ったのかもしれないが、沢田なら正面から文句を言いに来そうだろう。あんな矢で狙い撃ちなんてするだろうか。」
「・・・」
皆考え込んでしまった。神崎は福田に言った。
「ごめん福田君、嫌な気持ちにさせて。」
「あっ、いえ・・」
(別に疑ってないけど、さっき少しだけ神崎さんの事を疑った。嫌だな俺って)