プロローグ
…ここは何処だろう。
何処かの小説で読んだ様な薄暗く、
途方もないくらい広い空間に、
“なにか”はいた。
そして気づく。
私はあいつらのせいで電車にはねられ
死んだのではなかったのか。
なぜ生きているのか。
考えても答えへはたどり着かない。
ただ無為に、ただ長く。
私は考える。
なにかを眺めながら。
…やがて、“なにか”は小さくなっていった。
私が、不安を感じるたび。
私が、恐怖を感じるたび。
私が、苦痛を感じるたび。
小さく、濃縮されていった。
そして小さな人の形をとった。
それは親しげに私に話しかけてきた。
『聞こえますか?親愛なる我が君よ』
「…ここは何処なの?」
人形は器用にも驚いてみせた。本当に器用だな。
『いきなり核心ですか。こいつは魂消ました。
新たな我が君は真実をご所望ですか』
「…いいから答えて」
実は私は、正直まともに話せて安心していた。
だって考えてもみてよ。
こんな何の暇つぶしも無いくだらない
所に放り出され早十数年。
誰とも話さずやってきたんだよ?
そりゃただの会話も楽しいに決まっているじゃん。
...待って。なぜ十数年間も
飲まず食わずでいられるんだろう?
『…やっとお気づきですか。そうですよ、貴方は人を辞めたんですよ』
「...本当に!?」
うすうす感づいてはいたけど...!
『そうですよ。貴方のその障k「やったぁ!」
きたよこれは!ザ、主人公!
ここから先どうなるんだろう⁉︎
…その期待は数分後に破られるのだが。
『どうしました?突然叫ばれましたが』
器用にも人形が変な物を見る様にこちらを覗き込んできた。あいかわらず芸が細かいな、コイツ。
まあいい、今の私は寛大だからな。失礼を許してやろう。
「前の世界の話は知ってる?」
人形は首を傾げてから。
『...あのくだらない世界のことですか?』
…言い切りやがったよ。
初投稿です!
よろしくお願いします!