プロローグ
始まりの記憶……その光景は周りと同じものだった。
村にはたくさんの自然があってその中を友だちと駆けている。
大切な大切な友だちの女の子がいたのを今でも『わたし』は覚えている。
『わたし』は拾われた子供で村にある誰も住んでいなかった家で『ひとりぼっち』。
それでも『わたし』はさみしくなんかなかった。
だってその女の子は毎日あそびに来てくれて、村に住んでる大人の人も親切だった。
『わたし』はしあわせだった。
毎日が楽しくて勉強もきらいじゃなかった。
大好きな友だちがいて、いろんな人が『わたし』に夜のごはんを作ってくれた。
けど……血に染まった日はいきなり来たんだ。
周りはうるさくて、みんな毎日笑顔だったのにその時は涙を流したり怒った顔をしている人がたくさんいた。
『わたし』もそうだった、目の前には大切な友だちが血を流して倒れていて今にも死んでしまいそうになっている。
『わたし』は「ティアリー!!」とその女の子の名前を叫んで近づこうとする。
けど周りの人たちは『わたし』に剣を向けた。
「なんで、なんで?」と『わたし』は掠れた声で言った。
「化物」そう声が聞こえてきた。
『わたし』に向けられた言葉なんだってすぐにわかった。
だって後ろには誰もいなくてみんなは前に居てこっちを見ていたから。
否定したかった……けど『わたし』のては変わっていて人の形をしていなかった。
鋭く尖った爪には血が付いていて……そこで気付く『わたし』は化物なんだって。
『わたし』はしあわせなんだって……。
でも違うって想いたくて『わたし』は逃げ出した。
十年が経って『私』はどんどん化物になっていった。
古びた塔に逃げた『私』を何人もの人たちが襲いに来る。
その度「やめて、これ以上何もしないで」そう涙を流しながら言う。
けど誰も解ってくれない、皆人語を話す化物としてしか見てくれない。
そして『私』は夢を見るようになった。
人間だったあの頃に戻る夢を……。
いつか『私』を理解してくれる人が現れるって。
そうして『私』は誰も殺さないようしてただ追い返すだけ。
いつか夢が叶う日が来るのを夢見て。