表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

【聖女】と少女


「【聖女】様ー!」


「万歳!【聖女】様、ばんっざああああああい!」


「キャー!こっち見て、微笑んでくれたわ!」


「好きだー!俺と結婚しヘンブラッ!!」


「平民が!不敬だぞ!」


「ならば私トンゼニンッ!!」


「貴族様!礼儀がなっておりませんぞ!」


城下町は人でごった返している。


人の波の中心にできた、一本の道。

豪奢な馬車が、一台。ゆったりと進んでいく。


馬車の中には女性と、少女の二人。


「リリン。凄いわねぇ、暇なのかしら?」


「【聖女】様……。呆れるのは分かりますが、それは皆様に酷いですよ?」


「でも~。そうとしか思えないわ」


「確かに、そうですが……」


「ほら、ね?私はこんな出迎えされるなら、ハストール伯爵家での歓迎が良いわ。静かなのに、とても楽しかったわ」


「ハストール伯爵……ですか。あまり、良い思いではありません」


「ふふ。そうねぇ。貴女はあの太い子息から、言い寄られていたわね……ふふ」


「ブルディス子爵を、太いなどと……」


「あら、事実じゃない。それよりも、私は貴女のことをじっと見つめてた子が良いわぁ」


「……」


「あら?あらあら?リリン、貴女……顔が赤いわよ?ぷっ……」


「トールディン様……」


「あらら……。自分の世界に旅立っちゃった」


女性は動かない少女の頬をつつく。


「はっ」


「戻ってきた?」


「はい……申し訳ありません……」


「良いのよぉ。恋を知らない貴女が、そこまでお熱になれるのだから。やっぱりハストール伯爵のところへ行って、正解だったわね」


「でも……あの……」


「ああ、魔物さんのこと?あれは驚きねぇ。いきなり出てくるもんだから、騎士団の方々も魔術師団の方々も、思いっきり攻撃してたわね」


「泣いて、ました……」


「そうね……。今まで、お世話をしてくれた人達から、攻撃されたら……ね」


「えっ?」


「……ブツブツブツ(そうよ……何故、魔力量が高い豚が選ばれないで、格好いい青年が選ばれるのよ。終わってるわ、あの老害共……)」


「【聖女】様、あの……」


「ブツブツブツ………(ぁああ……!私があのまま魔術師だったら、木っ端微塵)……にしてやるのに……!」


「そろそろ、神殿に着きますよ……?」


「決めた。娘にしっかり教育しなきゃ。絶対に神殿には関わらないようにって」


「はぁ……無理ですよ……」


馬車は、ゆったりと進んでいく。


人々に絶望を施す光を乗せて。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ