打ち上げ花火 なんで僕には音が聞こえない?
皆さんは、打ち上げ花火を見て、音が聞こえなかった事がありますか?恐らく、そんな事はないでしょう。あれだけ迫力のある大きな音なのですから。しかし、この物語の主人公は、確かに、音が聞こえませんでした。実に不思議です。打ち上げ花火は、夜空に花開く美しさと、迫力のある音で楽しむものですが、音が無いと、どのような感じになるのでしょう。何故、主人公は、打ち上げ花火の音が聞こえなかったのか。どんな結末が、主人公を待っているのでしょうか。
いよいよ、この謎を解き明かす物語が、幕を開けます。
ある夏の日。僕は、特に何もすることが無く、家でのんびり寛いでいた。時間の流れがゆっくりと感じ、心地良い気分。
―あ~、今日は、何だかのんびりしていて、いい日だな~。このままず~っとのんびり過ごして、そのまま寝ちゃうか~―
外に出る気は全く無く、引き続き、ぼ~っとしながら過ごす。
そんな時、ふと、以前、好きでよく聞いていた歌の歌詞が、頭の中に思い浮かんできた。
―な、なんでこの歌の歌詞が、突然、頭の中に出て来たんだろう。これは、何かのお告げかもしれない!この歌といえば、時々、あの女の子と一緒に聞いてたよな。もしかして、あの場所で、今夜、花火大会があるのかもしれないぞ!―
慌ててスマホを手に取り、検索してみると、本当にお目当ての花火大会が、今夜行われる事が分かった。天気を調べてみると、雨の心配は無い。
―今夜、あの花火大会が開催される!これは、本当に何かのお告げだぞ!行くしかない!今から向かえば間に合う!あの女の子の電話番号、まだスマホに残ってるかな。早速、調べてみよう!―
長い間、連絡していなかったが、電話番号を検索してみると、まだ電話番号が残っている。
―お~!消してなかった~!良かった~!めっちゃドキドキするけど、久し振りに電話してみるか~。よ~し!電話のアイコンをタップするぞ~!―
少し手が震えながら、電話のアイコンをタップした。何回もコールが鳴る。ドキドキしながら待つ。更にコールが鳴るが、まだ電話に出ない。
―う~ん。あの女の子、電話に出ないなぁ。気付いてないのかな~。それとも、気付いてるけど、僕の事なんて覚えてなくて、電話を無視してるのかな~。そろそろ諦めて電話を切って、またのんびりダラダラ過ごすか~―
電話を切ろうとした、その時、女の子が電話に出てくれた。
「はい。もしもし。どのようなご用件でしょうか?」
―うわっ!あの女の子が、電話に出てくれた!心臓がバクバクして、口から飛び出そうだ~!あ!黙ってたらダメだ!何かしゃべらないと!―
名前を名乗り、言葉を続ける。
「久し振りだね。突然電話しちゃったけど、僕の事、覚えてるかな?」
「え!ちょっと待って下さいね。え~と、ん~と、あ!思い出した!前にちょっとお話したり、一緒にお出掛けしたりした人だね。久し振り過ぎて、思い出すのに時間がかかっちゃった~!突然電話してくれて、びっくりしたよ~!どうしたの?」
「僕の事を思い出してくれて、良かった~!そりゃ、ちょっとしか一緒に過ごしてないんだから、仕方ないよね~。実はね、今、家でのんびり過ごしてるんだけど、さっき、急に、あの歌のあの歌詞が、頭にポ~ンと浮かんできて、もしかして、あの場所であの花火大会が、今夜行われるのかな~と思って、スマホで検索してみたら、ほんとに行われるのが分かって、天気も大丈夫そうだし、今から新幹線に乗って、そっちに行って、一緒に花火大会で打ち上げ花火を見たいな~なんて思ったんだよ。どうかな?」
「え~!今から新幹線に乗って、こっちに来るの~!私は大丈夫だけど、そっちは、新幹線代、高いよ~!泊まる場所はどうするの?」
「ありがと~!新幹線代は大丈夫だし、出来れば日帰りにしようと思うけど、帰れなくなったら、適当にホテルを探すよ~」
「そっか~。分かった。久し振りに会えるの、何だかドキドキするよ~!」
「うん。僕もすっごくドキドキするよ!お互い、どんな風になってるのかを見るの、楽しみだね~!じゃあ、用意するよ!待ち合わせ場所と時間を決めよう」
「うん!私もすっごく楽しみだよ~!」
待ち合わせ場所と時間を決め、電話を切った。
―お~!久し振りに、あの女の子に会える~!僕の事を覚えていてくれて、良かった~!どんな感じになってるのかな~。久し振りに僕の姿を見て、ガッカリしないかな~。あ、早く用意しなきゃ!遅れたら申し訳ないし―
大急ぎで外出の準備をして、家を出発。電車に乗り、新幹線に乗って、席に座って暫く待っていると、新幹線が動き出した。
―あ~、久し振りに新幹線に乗ったな~。やっぱ、速いな~。花火大会に間に合うように、行けるんだもんな~。もしかしたら、長い夜になるかもしれないし、今のうちに寝ておくか~―
目を閉じると、思ったよりも早く眠りについた。
社内アナウンスにより、目が覚めると、もうすぐ目的地の駅に着くところ。
―うわっ!もうこんな所に来てるのか~!さすが新幹線!降りる準備をしなきゃいけないぞ~!―
慌てて新幹線から降りる準備を整え、駅に着き、新幹線から降りた。在来線に乗り、待ち合わせ場所の駅の改札口前に到着。早速、周りを見回してみる。
―う~ん。久し振りだし、すぐには分からなさそうだな~。あの女の子なんて、僕の姿を見て、僕って分かるのかな~。僕がしっかりしなきゃいけないぞ!―
じ~っと周りを見回すが、それらしき女の子はいない。待ち合わせ時間になったが、まだ見つけられない。徐々に焦り始める。
―やばい!もしかして、僕もあの女の子も、お互いを見つけられず、会えずにお別れなんて事、あるのかな~。うぉ~!折角こんな所まで来たのに、それは無いよ~!―
そんな事を考えていると、突然、女性が目の前にやって来て、僕を見て、ニッコリ笑った。
「あはは。久し振りだね~!結構前から気付いてたけど、君の動きや表情を見てるのが面白くて、暫く観察してたよ~!前に会った時の姿と、あんまり変わってないね~」
「あ~!久し振り~!とっくに僕に気付いてたなんて、恥ずかしい~!前に会った時の姿は、可愛らしいって感じだったのに、今は、すっごく綺麗になったね~!見ただけじゃ分からなかったよ~!会えてすっごく嬉しいよ~!」
「ウフフ、ありがと~!私も会えてとっても嬉しいよ!さぁ、花火大会に行こう!早く行かないと、いい場所で見れないよ~!」
「うん!そうだね!すっごく楽しみだよ~!」
二人で並んで、思い出話や近況の話をしながら、多くの人達と共に、花火大会の会場に向かって歩く。久し振りに見る姿は、とても綺麗で大人っぽく、思わず見とれてしまう。そんな僕の様子を見て、ニコニコと笑ってきた。
「ねぇ、そんなに私、綺麗になったかな~。さっきから、見とれまくってるね~」
「うん。予想よりもはるかに綺麗になっていて、ドキドキしまくって、見とれてたよ~」
「ウフフ、ありがと~!ほんと、正直でいいね~!あ、もうすぐ着くよ~」
前に会った時は、お互いの友達から紹介されて、少し話して、何となく連絡先を教え合って、たまたま花火大会があるから一緒に行ったという感じだった。その後、少しだけしゃべったが、長い間、連絡を取らなくなっていた。ただ、二人共、好きな歌があって、その歌の事で話が盛り上がったのは覚えている。
更にどんどん歩き進み、花火大会の会場に着いた。
「お~!着いたね~!めちゃくちゃ人が多いよ~!」
「ほんと、すっごく人が多いね~!花火大会は無料だし、綺麗な打ち上げ花火を見れるんだから、そりゃ、人が集まるよね~!あ、あの場所いいんじゃない?行こうよ!」
「うん!そうだね!行こう!すっごく楽しみだよ~!」
花火を見るのに良さそうな場所に移動し、暫くの間、楽しくおしゃべりしながら待っていると、ヒュルルル~という、打ち上げ花火が上がる音が聞こえた。
「わぁ~!すっごく綺麗~!音も迫力あるね~!凄~い!感動~!」
「ほんとに綺麗だね~!やっぱり、花火はいいね~!」
―あれ?確かに花火は綺麗だけど、音が聞こえないな。音が迫力あるって言ってるし、音が鳴ってるはずなんだけどな~。なんでだろ~―
耳を凝らしてみるが、やはり打ち上げ花火の音が聞こえない。花火は綺麗なのだが、音が聞こえないのが気になって、花火に集中できない。
―なんで、花火の音が聞こえないんだ~!僕の耳、おかしくなってるのかな~。でも、他の音や声は聞こえるし、耳が聞こえなくなった訳ではないよな~。なんでだよ~!―
そんな僕の様子を見て、女の子が声を掛けてきた。
「ねぇ、さっきからソワソワしてる感じだけど、どうしたの?こんなに花火が綺麗なんだから、もっと楽しもうよ!」
―うわっ!僕の様子を見て、おかしいと感じたんだな。鋭い!何とかして切り抜けなきゃいけないぞ~!―
「いや~、花火は綺麗なんだけど、チラチラと横目ですっごく綺麗な姿を見てるから、花火に集中できないんだよね~」
「あはは。そんなに褒められると、照れちゃうよ~。ありがとうね~。でも、花火もちゃんと見てね!この花火は、この瞬間しか打ち上がらないんだからね~」
「うん!分かった!花火をちゃんと見るよ!」
引き続き、どんどん花火が打ち上がる。見ている人は歓声を上げ、打ち上げ花火の大きくて迫力のある音が鳴り響いているが、やはり、僕には花火の音が聞こえない。
―なんで、花火の音が聞こえないのか、気になって仕方がないけど、ここは、気持ちを切り替えて、ひたすら花火の美しさを楽しもう!―
花火の音は聞こえないが、打ち上がる花火はとても綺麗で、花火をじ~っと見る。花火大会が順調に進行し、いよいよクライマックス。たくさんの打ち上げ花火が一気に上がり、大きくて迫力のある音と共に、夜空で一斉に花が咲いた。ただ、僕には花火の音は聞こえない。
その時、僕の目の前に、打ち上がった花火が降りかかってきた!
―な、何だ?花火が僕に向かって降りかかってきたぞ!物凄い数だ!避けられない!―
しかも、その花火が集まって来て、顔の表情のような形になった。更に、僕に向かって、言葉を投げてきた。
「おい!お前!俺達の音が聞こえないんだろう」
―え!花火が話し掛けてきた!どういう事だ?何か返す方がいいのかな―
恐怖に震えながら、必死の思いで言葉を返す。
「うん。聞こえない。なんでなの?教えてよ」
「はっはっは。教えないよ。よ~く考えてみろよ。さぁ、一斉にお前に降りかかってやるぜ!覚悟しろ!」
「え!止めてくれ!そんな事をされたら、僕、死んじゃうかも」
僕の言葉も虚しく、一斉に花火が僕に降りかかってきた。
「熱い!熱い!熱い~!止めてくれ~!誰か、助けて~!」
花火大会が終了した時、声が聞こえた。
「ねぇ、茫然としてるけど、大丈夫?花火大会は終わったし、そろそろ行こうよ」
横を見ると、不思議そうな表情で、僕を見つめている。
―あ、花火大会、終わったんだ。あれは、何だったんだろう。結局、花火の音は聞こえなかったし、化け物みたいな花火に話し掛けられて、降りかかられて、めちゃくちゃ熱い思いをしたけど、幻想の世界だったのかな。でも、花火の音は聞こえなかった。ほんとに不思議だけど、折角、一緒に綺麗な花火を見たんだし、雰囲気を壊さないようにしなきゃな~!―
「うん。大丈夫だよ。花火が綺麗で、迫力があって、暫くの間、茫然となっちゃったんだよ。そろそろ行こう」
「そうだったんだね。ほんとに綺麗で迫力あったもんね~。一緒に綺麗な花火を見れて、すっごく楽しかったよ!」
「うん!僕も、すっごく楽しかったよ!今日、頑張ってここまで来て、ほんとに良かった!」
二人でどんどん歩き進み、駅の近くの店で晩御飯を食べ、それぞれの家路についた。何とか最終の新幹線に乗る事ができ、家に着いた。
あれから、暫く時が過ぎ、僕は相変わらずの生活を送っているが、変化があったのは、花火を一緒に見た女の子と、連絡を取るようになった事だ。お互い、いい印象を持っている感じがして、心地良い日々を送っているが、やはり気になるのは、打ち上げ花火の音が聞こえなかった事と、花火のお化けが出て来て、僕に話し掛けてきた事だ。いろいろな事を考えるが、何故なのかさっぱり分からず、謎が深まるばかり。
―くっそ~!打ち上げ花火の音が聞こえなかったのと、花火のお化けの事が、頭から離れないよ~!どうしたらいいんだ~!―
そんな時、ふと、思い付いた。
―そうだ!この近くでも花火大会は行われるし、一人で行ってみよう。前にあの女の子と一緒に見た時と、何か変わった事があるかもしれないぞ!―
調べて見ると、丁度、その日の夜に花火大会が行われるのが分かり、早速、出掛ける準備を済ませ、その花火大会に行く。暫くの間、スマホをいじりながら待っていると、花火が打ち上がり始めた。
―あれ?今回は、しっかりと花火の音が聞こえるぞ!大きくて迫力ある音だな~。あの時の花火大会の花火も、こんな感じの音が鳴ってたんだろうな~。なんで、あの時は聞こえなくて、今回は聞こえるんだろう。不思議だな~。花火のお化けは、また出て来るのかな~―
引き続き、打ち上げ花火をじ~っと見る。どんどん花火が打ち上がり、クライマックス。たくさんの花火が夜空で一斉に花が咲き、花火大会が終了した。
―あれ?今回は、花火のお化けが出て来なかったな~。あの時は、すっごく怖かったけど、今回は出て来なかったのが、何だか不思議だな~。あ~、謎が謎を呼ぶ~!どうなってるんだ~!―
花火大会の会場を出て、家に到着し、いろいろな事を考える。
―今回、一人で見に行った花火大会では、打ち上げ花火の音が聞こえたし、花火のお化けが出なかった。前にあの女の子と見に行った時と、何が違うんだろう。まず違うのは、前はあの女の子と見に行ったけど、今回は一人で見に行った事だ。後、違う事って、何だろうな~。あ、そうだ!これは、確かめなきゃいけないな。またあの女の子と一緒に、打ち上げ花火を見に行きたい!―花火大会を検索してみよう!―
スマホを手に取り、花火大会が行われるかどうかを検索してみると、運良く、次の土曜日に行われる花火大会を見つけた。早速、電話をかけると、数回コールが鳴った後、電話に出てくれた。
「もしもし。どうしたの?」
「また一緒に花火大会に行きたくなったんだよ。今度の土曜日なんだけど、どうかな?」
「え~!別にいいけど、随分、花火好きなんだね~」
「この際だから、正直に言うよ。前に一緒に打ち上げ花火を見た時、何故なのかは分からないけど、花火の音が聞こえなかったんだよ。しかも、花火のお化けが出て来て、僕にいろんな事を言ってきて、降りかかってきたんだよ。めちゃくちゃ熱い思いをしたけど、気が付いたら、花火大会が終わっていて、茫然となってた。で、今日、一人で近くの花火大会に行って、打ち上げ花火を見たら、花火の音が聞こえたし、花火のお化けが出て来なかったんだよ。僕なりにいろいろ考えて、ちょっと試したい事を思い付いたから、一緒に花火大会に行って、打ち上げ花火を見て欲しい。途中、して欲しい事があるんだ。どうかな?」
「そんな事があったんだね~。その時、言ってくれたら良かったのに~。勿論いいよ。そんな話を聞いて、私も気になるよ~!」
「お~!ありがと~!すっごく楽しみだよ~!」
待ち合わせ場所と時間を決め、電話を切った。
それから、花火大会に行くのを楽しみにしながら過ごし、土曜日になった。
テキパキと準備を整え、家を出発し、新幹線に乗って移動し、待ち合わせ場所に到着。周りを見回すと、まだ来ていない。今度は自信がある。ワクワクしながら暫く待っていると、小走りで笑顔を浮かべながら、こっちにやって来た。
「お待たせ~!天気が良くて良かったね~!花火、楽しみだね~!」
「うん!すっごく楽しみだよ~!試したい事もあるし」」
「ねぇ、試したい事って何なの?教えてよ~!」
「うん。そろそろ教えなきゃね~。実はね~」
僕がして欲しい事を言うと、驚きの表情を見せてきた。
「え~!そんな事、本当にあるのかな~。何だか、信じられないよ~!」
「僕も、まだ自信がある訳じゃないけど、試してみたいんだよ」
「うん。分かった。やってみるよ。じゃあ、花火大会の会場に行くよ~!」
二人で楽しくおしゃべりしながら、どんどん歩き進み、花火大会の会場に到着。暫く待っていると、打ち上がり始めた花火が見えた。
―今だ!早速、試してみようー
「じゃあ、あの歌を歌うよ」
「うん。分かった」
二人で一緒に、思い出の好きな歌の、好きな歌詞の部分を歌う。歌っている最中、打ち上げ花火が「ド~ン」と大きくて迫力のある音を立てて、夜空で花を開いた。その時、花火の音が、はっきりと聞こえた。
―やっぱりそうだったんだ!あの時、僕は、この歌を、無意識のうちに頭の中で流してた。会えてない時でも、同じ幸せを見たい。夜空に花火がぱっと開いて、君のところに行きたいと願う内容の歌詞。この歌詞の部分の歌と、隣にいる大好きな女の子に、意識が集中し過ぎて、花火の音が聞こえなかったんだ。今は、花火にも意識が向いてる状態で、一緒に歌ってる事により、今回は、花火の音が聞こえたんだ!―
僕の様子を見て、ニッコリ笑顔で言葉を掛けてきた。
「お!その様子だと、今回は花火の音が聞こえて、なんで前は花火の音が聞こえなかったのか、分かったようだね」
「うん!その通りだよ!今回は、花火の音が聞こえたし、前に花火の音が聞こえなかった理由が分かったよ。協力してくれて、ありがと~!」
僕が理由を説明すると、更にニッコリとした笑顔になった。
「へぇ~!そんな事で、花火の音が聞こえなくなるもんなんだね~!相当、集中して、この歌を頭の中で流して、私の事を考えてたんだね~!何だか、嬉しくなっちゃった~!」
「うん。でも、それだけで、花火の音が聞こえなくなった訳じゃないと思う。この事に、あの花火のお化けが関係してるんだよ。まだ花火大会は続くし、何処かのタイミングで、花火のお化けが出て来ると思う。引き続き、花火を見よう!」
「うん!分かった!花火はすっごく綺麗だし、楽しみながら見るよ~!」
引き続き、二人で打ち上げ花火をじ~っと見る。綺麗で迫力のある花火がどんどん打ち上がり、人々が歓声を上げ、僕達も花火に魅了される。更にどんどん花火が打ち上がり、クライマックスを迎え、たくさんの花火が、大きくて迫力のある音と共に、一斉に夜空で花開いた時、遂に出て来た。花火のお化け。僕の背筋がぞ~っとなり、身体が硬直する。
―うわっ!とうとう出て来たぞ!花火のお化け。めちゃくちゃ怖いけど、今回は逃げないぞ!何を考えてるのか、真相を確かめるぞ!―
「はっはっは。花火の音が聞こえなかった理由が分かったようだな。だが、完全に謎を解き明かした訳ではないぞ!どうだ?お前の答えを聞かせてくれよ!」
「花火のお化け!やっぱりこのタイミングで出て来たな!お前、本当は、僕とこの女の子の事を、応援してくれてるんだろ!ずっと前、初めて一緒に打ち上げ花火を見た時、お前は、僕達の様子を見て、よそよそしい雰囲気がじれったいと感じて、僕の頭の中に、あの歌のあの歌詞の部分を流して、僕を意識づけさせて、この前の花火大会で、花火よりも、この女の子の事を考えて、この女の子に告白しろ~っていうメッセージのつもりで、僕に花火の音を聞かせなくして、ウジウジしてる僕に対し、渇を入れる目的で、降りかかってきたんだろ!今回、僕が気付いて、一緒に歌の思い出の歌詞の部分を歌う事で、いい感じになったという事だな!」
「ほほぉ。お前、よくそこまで辿り着いたな。その通りだよ。上から見ていて、お前達の様子を見て、イライラして、さっきお前が言った事を実行したんだよ。もう俺の手助けは必要なさそうだな。もう花火大会が終わるし、ちゃんと告白するんだぞ!」
「うん!分かった!ありがとうな!花火に背中を押されるなんて、僕、まだまだだな」
「はっはっは。最初の頃よりは、成長してるぞ!じゃあな!頑張れよ!」
クライマックスの花火が消え、花火大会が終了。
「あ~、花火、すっごく綺麗だったね~!特に、最後の花火は圧巻だったね~!で、謎は全て解き明かせたの?」
「うん!すっごく綺麗だったし、謎を解き明かせたよ。また花火のお化けが出て来て、背中を押されたよ。僕の話を真剣に聞いて欲しい」
「うん。分かった。何?」
「君の事が好きだ!僕と付き合って欲しい!」
「え!謎を解き明かして、言う事が、告白なんだね。ありがとう。すっごく嬉しい。私も、君の事が大好き!勿論、返事はオッケーだよ!」
「やった~!ありがと~!めっちゃ嬉しい~!これからいっぱい楽しもうね~!」
「うん!私もすっごく嬉しいよ!これからの楽しい時間が、すっごく楽しみだよ~!」
僕が手を握り、彼女が僕の手を握り返す。二人で幸せな気分で、手を繋いで歩く。
そんな僕達の姿を、花火のお化けが、微笑みながら見守っていた。
打ち上げ花火のお化けは、怖い存在ではあったけど、結果として、主人公と女の子を結び付けてくれた、根は温かいお化けでした。
皆さんも、大切な思い出があると思います。たまには、頭の中を巡らせ、かけがえのない思い出を、引き出しから引っ張り出すのも、いいのではないでしょうか。
そうする事で、何かいい事があるかもしれませんよ。もしかしたら、お化けが出て来るかもしれませんが・・・。




