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刻の檻刀シリーズ②偽りのsânge ー赤き薔薇が示すものー  作者: 慧依琉:えいる


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第32話:輝夜を取り戻す!決意の満流!



洞窟の中で奴らの妖力によって造られた中世貴族風の部屋…。

その中でベッドに座って人形のように過ごしていた輝夜に再会した満流は、その姿を見て愕然とした。



「か…ぐ…や…?ーっ、俺のせいで…!!」


自分を責める満流はその場に崩れるようにしゃがみ込んでしまった。

だが、満流は立ち上がり、彼女のそばにゆっくりと近寄って彼女の前に再び膝をついてしゃがんだ。そして彼女が一人で戦っていたことを思うと彼女の手を取って手の甲に思わずキスをしてしまった。



〝輝夜……………!こんなになってしまって…!〟


満流は悔しさから彼女の手を握り続けて自分の頬で撫でるようにした。

するとほんのりと変化を感じた。彼女の体温が戻りつつあったのだ。そのことで満流は一つの賭けに出た。



〝────もしかしたら!!〟



そして今、その賭けであるが満流は輝夜への想いを、ありったけ思い出しながら輝夜が反応を示すまでずっと輝夜の唇へのキスを続ける。深く、喰い尽くすかのように…。



〝戻ってこい、戻ってくるんだ、輝夜!もう一人で戦わなくても大丈夫だから!〟


満流はひたすら願っていた。








その頃輝夜の意識は深い闇の底にあった─────




その中で輝夜は膝を抱えて蹲っていた。真っ暗で何も見えない、何も聞こえない。自分の手すら動かしたとしてどこに触れているのかすらわからなかった。

─────そう。感覚すら既に遠い記憶の向こうに忘れ去られたかのようだった。



〝……………こい……………。……………こい…。〟


なにをするのも気力のない輝夜。

遠くに何か聞こえる…


〝……………?ナニカキコエル……………?キノセイ?……………〟





〝……………こい…。……………こい…。〟


〝ヤッパリ、ナニカキコエルー。ダケドモウ、ツカレタノ……………。〟


声がするという事を認識はしたが〝見えない、聞こえない世界〟で長くいたせいか〝見よう、聞こうとすること〟がとてつもなく労力を使う気がしたのだ。



〝……………こい。─────来い!〟


〝──────────!〟


どんどん強く聞こえる声に輝夜は段々思い出してきた。



〝……………この声は…。〟


〝……………戻ってこい!輝夜!!〟


〝────満流っ!!〟


意識がハッキリしてきた輝夜。だが、周りは真っ暗で何も見えないのは変わらない……………。


〝満流、満流…!私はここよ!だけど真っ暗でどこに行けばいいのかわからないの……………。〟


輝夜はそう声にならない声を上げ続けるが満流からの返事はなく、ただひたすら「戻ってこい」だった。意識がハッキリしてきた輝夜だが流石にこの暗闇の中をどうやったらいいのかわからなかった。



〝満流っ!私はここよ!どこに行けばいいの?満流っ!〟


叫ぶ輝夜。すると身体の中から温かい気が満ちてくるのがわかった。


〝─────これは…!〟


満流の気が輝夜の身体を癒しながら輝夜の心を探し求めていた。その事に気付いた輝夜は手を胸にあててその温もりを感じていた。


〝満流…。一緒にいてくれてるのね。〟


そう認識した時、輝夜の両手が光り、その先から光がふわりふわりと舞って形を作っていく。

その形は満流の姿だった。


〝……………満流!〟


輝夜が満流の名前を呼ぶとその光の姿の満流はにっこりと笑って輝夜の手を取った。





その頃、現実世界では満流がずっと輝夜への願いを込めて輝夜の手を握り締めながらキスをしていた。




ピクリ……………。



輝夜の指先が動いた。だが満流はやめない。


まだ……………足りない。反応が薄すぎる…。



そのまま輝夜の頭を支えながらベッドに静かに押し倒した。

まだ意識が元に戻らない輝夜はなされるがままだ。


満流はそれでもかまわずキスを続ける。

輝夜の反応が戻るまで、ずっと……………。




すると冷たかった彼女の身体がどんどん温かみを増してきた。それでもまだ感情は戻っていないようだが、身体の方から戻ってきていると実感していく満流。


────このまま、もう少しだ。



そしてふと、顔を上げて輝夜を見るがその瞳はまだゆらゆらとして焦点が合っていない。そして輝夜の首筋にある薔薇の痣に気付いた。



〝そう言えば……………柳川かおりに吸血されたあとにこの痣が出来たんだっけ。……………ホント、輝夜って無茶するよな。〟


ふふっと笑って満流はその痣にもチュッツとキスをした。


すると輝夜の身体が〝ピクン!〟と少し跳ねた。



「────ん?」


満流は今のでその反応なら、と、今度はその薔薇の跡全体にペロリと舐めてからもう一度キスをした。



「────ッハッ!」



声が漏れた…。この声は満流の声ではなく輝夜の声だ。


満流は輝夜の顔を覗き込んで


「輝夜?」


と声を掛けた。



すると視線がこっちに向いた。


「──────────!!」


「輝夜っ!戻ったんだな!」


満流は輝夜に抱き着いた。



「み…つ…る?なんで?…嘘ッ?」


輝夜の目からは涙が溢れてきた。



「遅くなってごめん、やっと迎えにこれたよ。早くここから出よう!」


「満流、ここはとても危険よ?私にはこの聖痕があるから死ぬことはないけど、あなたは…。」


「何を言ってるんだ。あんなの死んでるのと同じじゃないか。それに俺、輝夜が隣にいないこと、もう許せないから。」


「………………。満流…。」



そして二人は自分たちの意思で今度はキスを交わした。






ご覧下さりありがとうございます。輝夜にとっては満流はいて当たり前の存在でそれは満流にとっても同じでした。やっと再びお互いの隣を手に入れたふたり。これから反撃開始出来るのか?

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