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【完結】刻の檻刀シリーズ②偽りのsânge ー赤き薔薇が示すものー  作者: 慧依琉:えいる


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第2話:まだ見ぬ敵!静かに侵略が始まる…。



真夜中の高層ビルの屋上に二つの影が降り立った─────






サッツ───────




────タン!


────ストッ…!






一人は女性のようだ。もう一人は……小さな男の子だった。二人は洋服…というよりは中世のドレスのようだ。女性は豪華な深紅のドレスに身を包み、揺れる灰色の髪は肩までと短く、瞳は髪と同じ色をしていた。






「陛下。この町はどうでしょうか。」




女性が男の子に対してそう言った。彼は金髪で碧眼だ。見た目8~10歳くらいに見えるが、きっと成人すれば凛々しくハンサムになるだろうと思われる顔立ちをしていた。女性の問いに男の子が答えた。






「うむ、この町にいる…。感じるのだ…。我を元の姿に戻す力を宿す者の存在を…!我らと同じ異種族の匂いがする!」




「それはどちらの方角から…?」




陛下と呼ばれていた男の子が街中ではなく外れの山の方を指さした。






「────あっちだ。あの方角から感じる…。強い力だ。」




「承知しました。我らの眷属を遣わしましょう。」




男の子は頷いた。女性はニッツと不気味に笑う。その口元からは鋭い牙が見えていた。








「ココシア!バモアス!いるか?」




女性は大声でそう叫んだ。






すると!






夜の闇に紛れてどこからともなくコウモリがやってきて女性のそばに来ると〝bomb!〟と煙が出たかと思うと男女の双子の子供が現れた。




「お呼びですか?ご主人さま。」




そう言って双子は女性に跪いた。






「ええ。早速任務を命じるわ。あっちの方角から対象者の匂いを陛下が感知した。お前たち、早速行ってそれらしき者を捉えてまいれ!」




「はっ!ご主人様。」




ーーーーバサバサバサッツ・・・


双子はまたコウモリの姿になって女性が指さした方角へと飛んで行った。




その場には陛下と呼ばれていた子供と女性だけが残っていた。

女性が男の子をウットリとした顔で見つめる…。




「喉が渇いてきたな…。」




「では私めが調達して参ります。」




「いや、いい。自分で行く。その方がワクワクするのだ。お前はここで待機しておれ。」




「ハッ。」




そう言って男の子は瞬時に姿を消した。












***






暗闇に一人の女性が歩いていた。


柳川かおり16歳。高1で塾の帰りのようだ。




〝やっぱりお母さんに送迎お願いすればよかった…。こんなに暗いと先生たちが言ってた事件のこともあるし、やっぱり怖い…。〟




いつもの不気味な雰囲気を醸し出している公園が近くなるにつれ、最近のニュースの件もあり、かおりはいつも以上に警戒しつつ、彼女は足早に家路へと向かっていた。








家まであの角を曲がってあと少し、という地点で彼女の目の前に小さな男の子が現れた。




〝え?さっきまでそこに誰もいなかったように思ったのに……………。外国の小さな男の子がひとり…。どうかしたのかしら…。〟




彼女はその子が心配になり、恐る恐る男の子に近付いた。




「ねぇ君。こんな夜に一人?お母さんは?………………あ、日本語…………。」




「うん、お母さんとはぐれちゃったの……………。」




男の子が答えると彼女は〝日本語が通じてよかった。〟と胸をなでおろした。




「そっか。どっちから来たの?家わかる?」




男の子はブンブンと首を横に振った。ーわからないのか……。かおりは困り果てた。






彼女は少し戻れば交番があったと思い出した。〝またさっきの公園のそばを通らないといけないのか…。〟と彼女は少し憂鬱になたものの、こんな場所にこの子を放っておけず、家に向かわずに行くことにした。




「じゃあ、交番に連れてってあげる。行こう。」




そう言って彼の手を取ってから二人で歩きだした。




交番に行くにはさっきの公園のそばを通る。だがそこはとても暗くて雰囲気が最悪だ。だが、






「あ。公園だね」




そう言って男の子が彼女の手を振り払ってその公園へと入って行った。




「あ、待って。そっちは暗いから離れちゃだめよ!」




彼女はそう言って男の子を追いかけて行った。男の子は無邪気に走って行く。彼女は迷子の子を自分のせいで見失うわけにいかず、恐々と不気味な公園の中に足を踏み入れた。とても怖かったが勇気を振り絞って追いかける。






「捕まえた!もう、だめよ?」




彼女はそう言って男の子の顔をパッと見たとき




〝ボワンッ────!〟






瞬間的に彼女の頭の中を何かが駆け抜けていくような感覚に捉われた!




「………………え!な…に…?」




同時に彼女は自分の力が抜けていくのを感じた。何か考えたくても頭が痺れるようにボーッとして考えられず、ただただその場にしゃがみ込んでしまった。




────ペタッ……………。






その様子を男の子は立ったまま冷酷な眼差しで見ていた。




「効いてきたな。」




彼女が身動き出来なくなったところで




「では頂こうか。」




そう呟いて口を大きく開けた。その口元には大きな牙があった。男の子が少しだけ屈むとちょうど女の子の首元の高さになる。彼女の首筋にその大きな牙を立ててそのまま〝ザクッツ〟と牙を突き刺した。


彼女は朦朧としていたので痛みも感じていないのだろう、刺されたときに身体が〝ピクリ〟と跳ねたが、悲鳴は上がらなかった。




最近話題になっている〝全身の血が抜かれた死体〟は彼が原因なのだろうか…。

静かな夜の公園に血をすする音が僅かに聴こえ、辺りには血の匂いが漂っていた。それは公園の奥深くまで来て初めて気付く程度の音と匂いだ。








どれだけの時間が過ぎたのだろうか…。


この公園は特に暗くて不気味な雰囲気を醸し出していることで普段から誰も近付かないのだ。






しばらくして男の子は彼女の首筋をペロリと舐めて彼女から離れた。




「ふぅ、この姿だと全部頂かなくても済みそうだな。」




そうして目の前の彼女に対してジッツと見つめて「忘れろ。」と言って彼女を正気に戻した。






────ハッツ!




彼女は何故自分がそこに居るのかわからなかった。そこには既に男の子の姿はなく、彼女だけがいたのだ。


そして彼女は無意識に男の子が牙を立てた首筋を押さえた。




〝……………ん、何だかここに違和感がある……………。何かしら…。〟




だが、そこには何の形跡もなかった。




「それよりも、早く帰らないと!私、何でこんな不気味な公園のど真ん中にいるのよ?」




彼女は慌てて公園から離れて自宅へと帰って行った。








その背後、まだ公園の中にあの男の子がいた。




〝うむ…。中々悪くない味だったな。〟




そう言って舌をペロリとしながらニヤリと笑って彼女を見ていた。






ご覧下さりありがとうございます。今回輝夜たちの登場はなかったですが、新たな敵の存在が明らかになってきましたね。

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