第13話:生け捕り命令に従う双子と歯向かうバモアス!
〝確かにこうして触れ合っているとキスしたい衝動に駆られるが、たまにはこうして手を繋いで歩いているってのもいいかもしんねぇな…。〟
満流はそう思って心が満たされていた。公園を通り過ぎて少し歩いたところで、「このまま何事もなければいいが」と思いながら歩いていた。
そんな時だった
「ああ、君たちのことだね。」
そう言って目の前に急に華奢な男が現れた。ひらひらのフリルがついたシャツ…。輝夜と満流は目をパチクリとさせていた。こんな夜にしかもこのような田舎にそんな恰好をするような人間はこの辺りにはいない。二人は警戒心を抱く…。
「あら、イケメンじゃないか。」
今度は後ろから聞こえてきた…!満流と輝夜は振り向いたが
「同じ顔?え!双子?!」
といった反応だった。驚き戸惑う二人に対して突如現れた男性は
「パドリス、浮気は許さんぞ!」
「ふはっ、ケドリス、安心してよ。僕は美しい男は好きだけど愛しているのは君だけだから。」
「ああ、そうだな。パドリス。」
双子はそう会話をしながらパドリスがケドリスの方へと歩んで行き、二人が並んだ。その一部始終を見ていた輝夜と満流。
「うげぇ…。お前たちってそういう仲なわけ?!」
あからさまに拒否反応を示す満流。しかもさっき色目を使われたこともその言葉に含まれているのだろう。
「み…。満流、駄目だよ。好きになる気持ちを否定しちゃ…。色んな人も色んな愛もあるんだから…。」
輝夜は容認派なのだろうか…。それとも…。そう想った時の満流の反応は
「は?お前は気持ち悪くないのか?」
「別に。そりゃ…現場見ちゃったらダメかもだけどそうじゃなければそんなには…?」
「女ってわっかんねぇ~~~。」
満流はずっとその調子だった。が、輝夜はキリッツと気を引き締めた。
その場に緊張が走るー
「本題に入りましょう。私達に用があるってこと?」
輝夜は真剣な眼差しでそう言った。
「あははっ!女の方が凄いね!陛下からの指示だ。お前たちを生け捕りにしてこいってな。」
「はあ?陛下って誰だ!?」
満流がそう問うが
「おもちゃが何言ってんの?」
と、ケドリスが冷たい表情でそう言った。
「は?誰がおもちゃだって?」
「我らの陛下がお前の事をおもちゃだと言っていたよ。弱気人間の男よ。」
「ハンッ!俺が弱いかどうか勝負しろ!」
満流は霊札をサッと構えて体制を取った。しかし双子は満流よりも輝夜の方へと向かって行った。
「おもちゃに構ってる暇はない!俺たちの目的はコッチだ!」
そう言って二人がかりで輝夜にとびかかろうとした!
「────チッツ、卑怯だぞっ!」
満流が慌てて輝夜の方へと向きを変える。だが、双子からの攻撃に対して何もせずにただ立っているだけの輝夜ではなかった。
「────なっ?!」
輝夜は咄嗟に退けたのだ。
「ほほぉ、反射神経はいいみたいだな。これは楽しめそうだ。」
輝夜の額から汗がじわりと滲んだ。
満流はすかさず二人に対して霊札を放つ!
二人の背中に刺さるがどうやら吸血族には効果がないようだ。
「なんだ。やっぱりお前はこんな物しか戦う手段がないのか。やっぱり弱い男だ。」
「────チッ!」
満流はすごく悔しそうな顔をしている。1番辛い部分を敵に突かれたからだ。
輝夜はこのまま戦いに突入していくことを懸念して急いで結界を展開した。結界を張らないと他の人間を巻き込んでしまうこと。そして結界内では物が壊れたとしても外への影響がないこと。これらの利点から戦闘態勢に入る時には結界を展開することにしているのだ。
だがその時、黒い何かが結界内に飛び込んできた。
「……………?!」
輝夜は一瞬の事で何が入ったのかわからなかったが、どこを見てもそれらしき物がなかったので気にしないで結界を完了させ、自身を覚醒させることにした。
「出でよ!神刀!影切!」
そう叫んで自分の左手の平から影切刀を取り出した。
「な、なんと!」
双子は揃って驚きの声をあげた。
「ハハッツ、どうやらコッチの女の方が強そうだ。」
ケドリスはどうやら興奮を抑えきれないようにそう言った。その様子はまるで極上のおもちゃを与えられた犬のようで、目もランランと輝いていた。
輝夜は両手で刀を構えた。だが、この刀では攻撃をかわすだけで精一杯だということも頭で理解している。
〝影切に霊力を注入すればまた変化するかしら…。〟
輝夜は試しに影切にキスをして霊力を送り込んでみた。
影切は反応しなかった。
「どうして…?」
輝夜が戸惑っている時だった。さっきの黒い物体が輝夜に向かって飛んできたのだ。
────ヒュンッツ…!!
──────────ゔっ・グッツ…!!
油断していた輝夜はその物体を身体で受け止めてしまったのでかなり飛ばされた。
その衝撃で輝夜は起き上がろうとした時に
「グハッツ…!」
その場で血を吐いた。そしてその場で動けずにお腹に手をあてたまま蹲っている。口からは血が溢れている。受け止めた衝撃で口の中も切ったのだろうか…。
ポタタタ……………。
それを見ていた満流は目の前で起こった一瞬の出来事に驚愕し叫ぶしか出来なかった。
「輝夜────っ!」
慌てて輝夜の元へと駆け寄る。
輝夜に突撃し、輝夜のそばに立っていた思いがけない人物…!
「お前はっ…!」
そう、ケルドアの眷属、バモアスだった。
ココシアを失った恨みで輝夜を攻撃したのだろう。確かに油断していた輝夜に打撃を与えることに成功したようだ。
彼の顔は憎しみで歪んでいた。
「ハハハ!ココシアの敵!俺がお前を倒してやる!!」
バモアスの目には怒りの炎が灯っていた。
輝夜は流れ出てくる血を吐き出しながら上体を起こしてバモアスを睨みながら言った。
「あなたね…。さっき結界内に入りこんだのは…。」
輝夜の状態を見てニヤリと笑いながらバモアスが答える。
「ああ、お前を殺すためにこのチャンスを狙ってきたんだ。」
「……………。残念だけど、私はこれしきの事では死なないわよ。」
輝夜は口元の血を手の甲で拭い、サッと立ち上がった。
「は?あれだけの衝撃を受けたんだ。立ち上がる事も難しいはずだ。」
輝夜はふっと笑って
「普通の人間ならね。」
「何だと?!お前っ、やっぱり人間じゃないな。」
「さあね。そこの双子!アンタたちの相手はコッチが済んでからでいいかしら?」
輝夜は二人に指さして告げた。
双子は不服そうにしながらバモアスに向かって言った。
「チェ、仕方ないな。俺たち見学しててやるからさ、バモアス。その女は陛下から生け捕りにしてこいって言われてるんだ。殺すなよ?!」
「はぁ?知らねえ。俺にとっちゃココシアの敵なんだ、絶対殺す!」
「ふぅ、仕方ないな。そうなると俺たちがお前を殺すことになるけど?」
双子はバモアスにそう言ったがバモアスは
「それでもコイツを倒せるなら本望だ。」
そう言って輝夜に向かって行く!
ご覧下さりありがとうございます。とうとうバモアスから復讐のために輝夜へ攻撃が始まります。満流はただ見てるしか出来ないのでしょうか…。




