ぽんこつろぼっとくん
ロボット!無機物でできている。総工費何万円?
博士のつくったロボット。
名前はカール。
おやつじゃないよ。
超合金でできている。
固くて強くて腐りにくい。
ロケットパンチも打てちゃう。
でも博士は納得いかない。
「おい、カール。おまえはなんでもできちゃうね」
「アタリマエダロ、オレハツヨイ」
「ちょっと土星の輪っかを取ってきてくれよ」
「オヤスイゴヨウ」
そうしてカールは光の速さを超えて、土星の輪っかを爆発させてきた。木っ端みじんだ。
「モドッタゾ」
「おい、カール。おまえは取ってきてくれの意味を間違えたな」
「トリサルッテイミカトオモッタゼ」
「サンプルが欲しかったんだけど、仕方ない」
「サァハカセ、ツギハナニヲゴショモウダ」
「あの可愛い人を振り向かせてくれよ」
道端を綺麗なお姉さんが歩いている。
「オヤスイゴヨウ、ラクショーダゼ」
カールはお姉さんがカフェが好きだと聞き、すぐさまラテを作って飲ませた。それがあまりに美味しかったので、お姉さんはカールの製作者を尋ねた。
「ツレテキタゼ」
博士が金持ちであり、どんな発明もお手の物だとすり込まれたお姉さんは博士にメロメロで目がハートになっていた。
「おい、カール。お前は調子に乗りすぎたな。単に物理的に振り向かせれば良かっただけだ」
「マサカノフカヨミッテヤツカ」
「そうだ、振り向いた一瞬見るだけでいいんだ」
「チラリズムッテヤツカ」
「そうだ、しかもワタシには妻がいる」
「フリンッテヤツカ」
「ワタシがやるとでも?」
カールはうすうす自分がズレていることに気が付き始めた。
そして悲しくなって、ロケットパンチを頭に撃った。
超合金のからだに反射して、パンチは博士にぶつかった。
「いってー。おい、バカかカール」
「クハハ、ハカセサンカイモカッテイッタ!」
「正式にはカタカナで二回、ひらがなで一回だ」
「クッソー、オレトシタコトガ」
そこに博士の奥さんであるビクトリヤがやってきた。
「あんた、なにしてんの」
「なにって?」
「なに朝っぱらから一人で喋ってんのって聞いてんのよ」
そう、初めからカールなんてロボットはいなかった。
すべては博士の妄想。
そもそも博士なんていない。
この男はただの中年の飲んだくれ。
昔の夢は研究者、今ではしがない町工場の経営者。
趣味のガレージキットに話しかけ、生きている意味を探している。
(了)
さみしい男はたくさんいる世の中だにょ〜ん




