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友だちの詩  作者: 詩とかいてウタです


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ののののり

ののちゃんとユカちゃんのやりかた

保育園のころのお話をしよう。


ののちゃんは五才になったばかりであった。

公園の砂場がお気に入りの場所で、ひび割れたバケツにくんだ水を砂のお城のてっぺんからかける。


泥団子はつくったら、砂場の四方を囲む板の上に並べる。

大きさはまちまちだけれど、間隔は均等にするのがののちゃん流なのだ。


葉っぱや枝をつけてあげることで、祖母とお茶をするときの和菓子に生まれ変わる。


ただの泥団子は、上等なねりきりになった。


パクパクパク。


口をもぐもぐさせてユカちゃんと頬張る。


「これ、うまいわ」


ユカちゃんが声を弾ませるから、ののちゃんも愉快になる。

心が踊り、手足がそわそわしてくる。


みどり色の鳥をうぐいすと呼ぶのだと祖母は教えてくれる。

ホーホケキョと鳴くのだと。

鳴かないと殺されてしまうのだという。


ののちゃんはみどり色が大好き。だからうぐいすの命が脅かされるのは、みどり色が危ない気がして大嫌い。


涙が出てくる。ふいに思い出して泣く。


保育園児のののちゃんが頬を濡らすとき、隣でユカちゃんがせっせとバケツの水をこぼす。


アリを足元に集めて、穴から出られないように堰をつくる。

そうしてアリを溺死させることをユカちゃんは得意としていた。


「どこで習ったのん」


「おにいがやってた」


ノリアキというユカちゃんの実兄は、アリを一網打尽にする技を極めているらしかった。


水にまみれても平気で息を吹き返すアリたちを片っ端からバケツに入れて、何匹かはひび割れの隙間から逃げ出していくのを途中で補充しながら公衆便所へ向かう。


便所の建物の周りには蟻地獄の巣がたくさんある。


そこに一匹ずつ落とす。


「あ、出た」


アリがさらさらさらさらすり鉢の真ん中へ吸い込まれていく。

一気にではなくて、少しずつ中央へと滑っていくのが面白い。


待ち構えていた蟻地獄が牙を剥く。


二つの顎でガチッとアリをホールドすると、触角をびくつかせるアリを穴のなかへ引き摺ってゆく。


「食べたわ」


「うん、食べた」


ユカちゃんはダンゴムシを落としたり、大量の水を流し込むことに精を出していた。

額には汗が浮かび光っている。


ののちゃんがハンカチを渡すと泥だらけの手で掴んだ。

額をこするとユカちゃんのおでこは泥の筋が幾重にもついた。


「ありがと」


「いいえ」


ののちゃんもユカちゃんの楽しい遊びに負けないように、ダンゴムシを足でたくさん潰せたほうが勝ちのゲームを作った。

するとユカちゃんは「それはかわいそうだよ」と言って注意してくれた。

だからダンゴムシ殺し競争はやめにした。


ママたちはベンチでずっとお話しに夢中だ。


「次はなにする?」


ののちゃんが問いかけたときにはもうユカちゃんは消えていた。


公衆便所のなかにも、砂場にもいない。


砂場に並べていた泥団子は乾いて割れていた。

しばらくしてママが来た。


ねえ、ユカちゃんはどこ?

ママに聞いても目を細めて笑うだけだった。


次に公園に来るときにはユカちゃんとなにして遊ぼうか。

そんなことを考えていたらいつの間にか大人になっていた。




(了)

糊を出そうと思ったら忘れてた、この小説に糊を出そうと思ってたのに

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