2.
辺境伯の娘さんは辺境伯に似ずに、可愛らしい少女だった。
成長すれば、美しい女性になるんだろうなぁ。などと他人事のような感想を持ってしまったが、自分の婚約者になると思うとなんとも緊張してしまう。
「初めまして。ルミス辺境伯家が長女フローラ=ルミスと申します」
ご丁寧に、ありがとうございます。
「俺は、アンドリュート=ラルラ。長い付き合いになりそうだからよろしくな」
そう手を差し出したところで、
「でんくぁあああああぁああああぁあぁ‼」
と、鬼の形相をしたルミス辺境伯のラリアットをくらった。一瞬あの世を見た。
「お父様、どうしたのですか?」
「可愛いお前に触れようとする輩がいるのを察知してな」
どういう能力ですか?
そんなことがありつつも俺は17才になり、フローラも16才かな?になった。
フローラは予想通り、美しい女性へと成長している。
そんな彼女が俺の婚約者だというのだから感無量というものだ。
俺はキチンと毎朝腹筋・背筋・腕立て伏せ・剣の素振りを続けたので、今では1000回できるのではないかな?腹筋だってちゃんと割れているし。
不満があるといえば、成長期に筋肉を付けたせいだろうか?あまり身長が伸びなかったことだ。俺としてはもっと背が高くなるのが理想的だった。とはいえ、まだ17才だしまだ成長するかな?など淡い期待をしているのです。
俺が辺境に来てからというもの、何故か平和。何故?辺境伯の私兵は屈強な男達という事はわかっているけど、活躍の場が全くないのが悩みの種というか……。平和なのはいいことなんだけど。
俺は俺なりに知力を用いて辺境伯の領地経営を改革することにした。
なんだか錆びついた農機を使うのだったら、今まさに平和で暇を持て余している辺境伯の私兵の皆様に耕してもらうというのはどうだろう?
鍬を振り回す動作は素振りに似ている。しかも負荷がかかるので、体力勝負なところのある。彼らにとってはやりがいがある仕事となるのではないか?
その後も農地改革や作物を変えるなどしたところ、辺境伯の収入は大幅増となった。
「いやぁ、殿下はできる男だと思ってたんだよ!」
等と辺境伯に言われるが、まぁ嘘だろう。
そんな中でも俺はキチンと毎朝の鍛錬は続けていた。
そんな生活が数年も続くと辺境伯の収入と言うか資産が国の収入(資産)を上回るようになった。王城には辺境伯の収入増の立役者が俺だという事もついでに伝わったようで、王家は俺を呼び戻そうと動き出した。
数日後に王家からの使者が王からの書状を持って辺境にやって来た。書状の中身は『王都に戻ってきてその知力を大いに国のために役立ててほしい』というものだ。
「国王に「私は辺境に幽閉されているので王都に行くことはできません」と、伝えて下さい」というように伝言を頼んだ。
また数日後、「幽閉という処罰はなかった事にしてほしい。だから、王都に来てほしい」という書状がやって来た。
そんな事言っても、10年近く辺境で過ごさせておいて、利益があるからと手元に置きたがるのは、都合のいい話だ。俺はそんなのお断りだ。第一、フローラと結婚したい!
思うことはただ一つ!『本音と建前』ですね…。




