27.いつも強さに正直を
(Side:清浄院琴子)
きちんと話せましたから私は紅茶を飲みます、もうひんやりっと冷めてますけどだからこそ飲みやすいです、
まろやかさがじんわりしとやかに、するする通って美味しいです♪
カップをまた置いて皆さんを見るに全体的な空気はピシズシッと硬くて重め、かなり深刻、真剣な感じです。
セネットさんは生真面目なお顔に緊張と、少しの戸惑いをふるり、と浮かべてらして、
今メインの相手なケネスさんはガチリッとした睨みの真顔に警戒と敵意を示してます。
立場に責任あるお二人ですし納得できる反応です、
あと別に演技の冷静沈着でも狡猾なムードでもなくて、とても素の心っぽい熱めに揺らめく雰囲気がします、
おかげで話し合いもどんどん進みそうですね♪
また、他方ではマシューさんが気持ちマイナス大氷原、かなり引いちゃってる風な怖がり、困惑、
左の遥さんがキュッと口を閉じて顔を引き締めた、純で静かのあたたかい真摯さ――欲ある希望かもですが、きっと私を受け入れようとしてくれています、心がじんと潤みますっ、
右の玲衣さんがスマートきりりやかなまま纏う空気と瞳をめらめら、覚悟の気迫を見せてくれています、
お隣二人の優しさが、もうとっても♪ ほかほか嬉しいですっ♪
それにとりあえず、今ここで喧嘩とかはナシっぽくて、話し合いぶん投げとかにはならなさそうでほっとしました、
ケネスさんも彼の警戒心のおかげか、もしくは私と恋人同士なセネットさんへの気遣いからか、
殺意や攻撃の気配までは無いですし。
私のわるい経験、夢で殺し合う経験をお話してもなお、
皆さん落ち着いてくださっていてほんとありがたい限りです。
あ、ケネスさんが薄リップを開いて、キリキリ鋭いお声を発してくれました、
多分怒られそうですけどまあ、聞きましょう。
「いや、よく理解できたよ。危険で非道にもホドがある。
技術もだし、他ならないお前本人もこれ以上なく悪辣だ。
だがな、武器だってスキルだってそうだが、危険なモンだって使い方次第だ。
お前よりずっと優れた正義のために、俺と魔王国のために役立ててやるから、持ってる技術を残らずよこせ。
命令だ、拒否は許さない」
私の闘い方や技術が、危なくて怖くてわるいって伝えてもまだ、
他のひとに渡せ、授けろ、と来ましたか。でも私の心も変わりません、絶対に嫌です。
私にも危なさ、怖さを身に付けている責任があります、
私自身と、私自身が闘う相手から離れたところまで、広く悲惨を招きそうな提案は決して容認できませんし、
それに何より私こその強さと、私の身と心に正直でありたいです、私の強さは全部私のです!
闘い方だって技術だって私のは、私が強くありたいから身に付けたんです、
私に一番合うかたちにずっと鍛錬して、成長させてきた強さに技術なんですから他のひとにはcan'tでNOですっ、
私自身にあるものですっ! 決して渡せませんし、渡しませんっ!
思うは一瞬、さぁーっと巡らせながら外には言葉で、いいえ、を即答します。
声と表情は穏やかに真っ直ぐ、と、やわくすらぁり保つのに、
ちょっとだけ燃えちゃってて頑張りが必要、ですっ。
「お断り致します。先ほども申し上げましたように、私の技術は私自身のものです。
怖くて危険で、わるく在る技術をどこにでも無責任に、無思慮に広めれば、ひどく痛ましい不幸を招きかねませんし、
また、責任という観点を越えた根本において、
一格闘家、一武術家の技術とはそのひとこそが身に付けた、そのひとだけのものだからです。
勿論、私という格闘家かつ武術家には徹底的に当てはまることですよ。
私の身に付けた技術は全て、
他のかたにはろくに使えないという意味でも、私の矜持と我欲においても、
私にこそぴったり、綺麗に合うんです。
私だから力いっぱいに、万全に、いつもすいすいふわきゅわーっ!♪ て格好可愛く使いこなせちゃうんです。
私が一番強いから、技術も一番強くなるんです、
そうして技術を使っていけば私もさらに成長できます、一番だって次々と越えられます。
なので私が身に付けた技術は、よっぽどのことがない限り、他のかたにはお渡しできません。
そしてケネスさんのご提案は、大変申し訳ないですが、〝よっぽどのこと〟には該当しません。
私の技術も、強さも、私自身にこそあるものですから。今のところは、セネットさんにだって渡すのは、嫌です」
んー、ケネスさんの眉がぴくぴくって怒気に震えてますね。
目つきもさらにキツくなってます、大きなツリ目ですから迫力もありますが、それでもイケメン整い顔なのは流石です。
今話してるのはストレートな気持ちなのですが、ここは考えてた妥協点も示しましょう、
だってもう私はいくつかの技術を、今日先ほどの試合とか訓練とかでサラッと見せちゃってますからね。
この経験を活用させていただきます。
「――ただ、本日既に私は、訓練場でいくつかの技術を披露致しましたから、
当事実をもってお互いの妥協点とさせていただきたく思います。
私から技術の説明をしたり、追加で公開することは基本ございませんが、
先に披露したいくつかの技術をそちらで研究されるのは全くの自由だと言うことです。
この案をもちまして、ケネス陛下にはどうかご納得いただければ幸いです」




