表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/135

086 見つけた

『船ですか。ふむ……』


「飛んで降りることもできますが何があるかわかりませんから」


『たしかに、罠がある可能性もありますね。魔力を使うのは控えたほうが良いでしょう』


「それと、先代の光の大精霊と思われる方が、そこの崖から島を見下ろしている姿も視えました」


『先代がーー』


「あの島を見ていたと思うのですが、何が見えていたかは島に行ってみないと……」


『島に行ける方法を考えておきます』



それから俺達は海沿いの崖を少しずつ西に進んだ。

あの島以外にはとくに気になるものは見つからず、このまま森の端に着くのではと思った頃、鳥姿のヴィーがパタパタと羽音を響かせてやってきた。


「おーい!! あっちに洞穴(ほらあな)を見つけたぞ」

「洞穴? 隠れ家にぴったりだね!」

『そんなのがあるなんて話は聞いたことがないな』

「とくかく行ってみましょう。洞穴なんて怪しいです!」


ヴィーの案内で森の緩やかな坂を登っていくと、なるほど、たしかに洞穴があった。

洞穴と言って良いのだろうか、入口は子供がかがんでやっと入れそうなくらいの大きさしかない。


「これは……隠蔽魔法ですね」

『こんな茂みの段差に隠れていたなんて。気づかなかったはずだ』

「大爺様が掘ったのでしょうか」

「この魔法はそうだね。確認してみよう」




時渡りの瞳を発動。

遡っていく遠い時間の中でも、木々のざわめきと小川のせせらぎが耳に届く。

この森は古くから変わりなく精霊達に愛されているらしい。

まわりを漂う精霊達の気配も感じる。


やがて視えたのは、深い緑の大きな葉をどけながら左手を洞穴にかざしている翠玉色の髪の少年。

まだ大精霊になる前だろう、見た目が14歳くらいの大爺様だ。

繊細で儚い雰囲気の空気をまとった、大人になりかけの少年。


ーー2種類の隠蔽魔法を重ねがけしている。

ずいぶんと念入りに隠しているんだな。



それから少しずつ時を遡るが、周りを伺いながらこっそり入っていく姿と、出ていく時に隠蔽魔法を必ずかけている姿ばかり。


しばらく遡りながら様子を見ていたのだが、突然、10歳くらいの少年が洞穴から飛び出してきた。

慌てて南西に走っていく少年。

俺は惹きつけられるように後を追った。


けして目を離してはいけないような気がして、見失わないように、必死に後ろ姿を追いかけた。

いつも読んでいただきありがとうございます!

少しでも面白いと思いましたら、ブクマ登録や評価、リアクションなどよろしくお願いします。

もしポチッと押して頂けたら嬉しくて更新もはかどります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ