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082 精霊王の告白3

あの子(ルーヴィッヒ)が森を出てしばらくしてから魔王が訪ねてきたが』


はっとして顔を上げる。

精霊王は相変わらず淡々と語るだけだ。


『すでにあの2人は出て行ってしまったし、行方も分からなかった』


『その後に王位を継いだ魔王アモンも来て、何故保護しなかったと怒って暴れておったな』


「……身内の者が申し訳ありません」


『なに、悪魔に比べれば可愛いもんじゃよ』


「まさか悪魔が来たんですか!?」


『結界があるから森の中には入ってはおらぬ。しかし、以前からこちらの様子を伺っておったのじゃろう……先代の光の大精霊(リュシー)と接触してしまったのじゃ』


ーーリュシー……大爺様を敵視していた彼と、悪魔が……。



『先ほど、光の大精霊(リュシー)の補助属性が蜃気楼だと言ったのを覚えておるか?』

「はい」

『蜃気楼は周りの影響を受けやすい。本人は負けん気の強い性格じゃったから余計に惑わされてしまったんじゃろうな』

「それは……悪魔と手を組んだということでしょうか?」

『そうじゃな。徐々に思考を誘導されたのじゃろう、知らぬうちに悪魔に取り込まれておった』


「……そんなっ……」


『儂の力が足りんばかりに……可愛そうなことをした』


ーーそういうことなら精霊達から憎悪を向けられるのもわかる。

けれど惑わされたのは大精霊自身の問題だし、本当に悪いのは悪魔の方なのに……!


『まぁ、そんなわけでの。詳しいことを知らぬ者達の中には全てあの子(ルーヴィッヒ)のせいだと恨む者もおる。じゃが精霊が悪魔に取り込まれたなどと知られるわけにはいかんのじゃ』


「状況はわかりました。森に来た時の反応も理解できます」


『今代の光の大精霊(シエル)にも苦労をかけるのぉ。急な代替わりだったのに良くやってくれておる』


『そんな、もったいないお言葉です』



『そなたのおかげで山の大精霊(ベルク)の怒りも収まったのだ。感謝しておるぞ』

『私だけの力ではありませんので』

山の大精霊(ベルク)って……渡り廊下にいた大きな大精霊でしょうか?」

『ええ。ご存知かと思いますが、魔王アモンが聖山近くの山を吹っ飛ばしたことがあったでしょう』


シエルの言葉に思わず固まってしまう。

俺はぎこちなく頷くしかできなかった。


『そのせいで、ベルク様が怒り狂いまして』


……そういえば岩が飛んできたり、嵐が起こって土石流があったと聞いた。

魔王アモンのせいで多くの人が迷惑したのだ。


『放っておくと山が噴火しそうだったので、水の大精霊と協力してえぐれた部分を湖にしたのですよ』

『ふぉっふぉっ、あやつも綺麗な虹がかかるようになったことで怒りが収まったようじゃ』


「……ご迷惑をおかけして本当に申し訳、ございま、せん……」


俺はうなだれて再び謝罪した。

ヴィーは俺に抱っこされて心地良かったのか夢の中である。



山の大精霊(ベルク)あの子(ルーヴィッヒ)が幼い頃から知っておるし魔族との事情も把握しとる。今はそんなに怒ってはおるまい』


いいえ、精霊王様。

トールから聞いた話から察するに、けっこうお怒りだと思います。

ずっと我慢させていたのかもしれません。

本当に、重ね重ね申し訳ございません……

いつも読んでいただきありがとうございます!

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