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081 精霊王の告白2

『あの子は……ルーヴィッヒは、異世界人の魔法で生まれた精霊なのじゃ』


精霊王は淡々と、静かに話し始めた。

シエルは動揺しつつも真剣な顔で耳を傾けている。

俺はヴィーが大人しくなるように両腕で抱えて聞いていた。


『精霊によっては本来の属性の他に、関連する補助属性を持つ者もおる。そこの光の大精霊(シエル)は虹、先代の光の大精霊(リュシー)は蜃気楼だったのぉ』


白い髭を撫でながら、時々迷ったように指を動かしている。


『あの子が生まれたのは異世界人が作ったマジックバックが鍵であった』


マジックバック……大爺様の荷物の中に沢山あった、今では身近な魔道具。

中の空間が広げられていて時間が止まってる。


「もしかして、空間……」

『そうじゃ。あの子は秘密にしていたが、時々空間魔法を使っている気配を感じた』


やはりと納得して頷く。


『それまで空間魔法というのは存在しなかった。新しい道が拓けたと、当時は心が踊ったものじゃ』


『時の精霊が空間に干渉すればそこには未知の可能性が広がる。期待もしたが、同時に恐怖も感じるほどの力であった』


未知のものは吉と出るか凶と出るかわからない。

恐怖を感じるのは当然だ。


『お主達が探している隠し部屋も、おそらく空間魔法で隠蔽されているじゃろうな』

『探しているのをご存知でしたか』


精霊王とシエルは眉を下げて視線を交わす。


「隠し部屋の場所に心当たりがあれば教えていただけますか?」

『いや……宮殿の中にはない、としかわからぬ』

「となると外、森の中か……」

『お主達ならきっと見つけられるじゃろうて』


「あの、大爺様の部屋に古い魔法陣の痕跡があったのですが、ご存知でしょうか?」


魔法陣の模写を渡して確認してもらう。


『おそらく転移魔法だとは思うが……出口まではわからんのぉ。隠し部屋が見つかればヒントが見つかるかもしれん』


ーーなるほど、隠し部屋を探すのが最優先事項ですね。




『あの子は全てを隠したまま森を出ていってしまった』

「その時のことを私も知りたいです」

『そうじゃな……あの日、あの子は人族の国の舞踏会に出席しておった。知り合いの婚約発表を兼ねていると言うての。それが突然、この部屋に転移してきて森を出ていくと宣言したのじゃ。数人の大精霊もこの場におったが、何が起こっているのか誰も把握できておらんかった。』


ーー舞踏会で婚約発表……それって、巫女様が言っていた……


『詳しく聞いてみると、大切な娘を守りたいけれど魔族に追われてしまうだろうから大精霊の地位を捨てて森も出ると言うての』

「それは大婆様のことですよね。以前から知り合いだったのでしょうか?」

『儂も、あの子が魔族の姫君と交流があったなどその時に初めて聞いたんじゃよ』



『それで怒ったのが先代の光の大精霊・リュシーじゃ。森を危険に晒すとは何事かと叫んでのぉ』


ーー怒るのは最もだ。仕方がない……


『アレはルーヴィッヒに対して当たりが強いことが度々あった。儂があの子に目をかけているのが気に入らないのかと思っていたが』


『今思えば、次代の精霊王の座を奪われそうだと敵視していたんじゃろうな』

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