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071 転移門を抜けて

お待たせしました! 第六章スタートです。

何が起こっているのだろう。

どうしてこうなったのだろう。



転移門を抜けて精霊の森へ出た途端、俺達は剣を構えた人型精霊に囲まれてしまった。

相手は5人ほど。

驚き怯える弟妹たちを背に隠し、俺は両手を上げて敵対の意思がないことを伝える。


歓迎されるどころか、まさか剣を向けられるなんて思ってもいなかったよ。

これでも一応ルーヴィッヒ大爺様の曾孫なんですけど!


本当にどうしてこうなった!!?



しばらく無言でこちらをジロジロ見ていた人型精霊が不満そうに言う。


「精霊王様がお会いするそうだ。大人しくついて来い」


「あ……はい」


俺は返事をしたものの、後ろに目をやればアリスとヴィーは真っ青な顔でコクコクと頷いていた。

トールは無口なのはいつものことだが、静かに睨み返している。案外気が強いな。


ついて来いと言うのだから、従うしかない。

小さく息を飲んで俺達は彼の後ろに続いて歩いた。

彼なのか彼女なのか、中性的な姿をしているから判断に迷うけれど声が低いから男性だろう。

緑のオーラを纏っているから植物系の精霊かもしれない。


ーーそれにしても、こんなに怒っているなんて俺は何かやらかしたのだろうか?


特に思い当たることもないから余計に不安が広がっていく。




隠れ里を出た俺とヴィーはエルフの谷に戻って皆と合流した。

エルフの皆は相変わらず近すぎず離れすぎずといった距離感で。

フィン達と食事をして、旅の支度をして。

いろいろと調べたいことがあると父に相談したら、精霊王に聞いてみたほうが良いと言われ。

早く精霊の森に行ってみたいとアリスとヴィーがはしゃいで。


ああ、そうだ。

持って行くようにと手土産も預かったな。


魔力を充填した転移扉にトールが精霊力を流したら扉に魔法陣のような光が走ってゆっくり開いたんだ。

扉の入口は虹色の霧のようなものが覆っていて向こう側は見えなくて……


ヴィーとアリスが「早く行こうぜ」「行ってきまーす!」と騒いで俺を扉の中に押し出したんだよね。


……で、気がついたら剣に囲まれていた。


うん。突然来たのがまずかったのかもしれないけど、はっきりとした怒りの原因はわからない。

せめて説明してくれると助かるんだが……




森の中は木々の隙間から白金の光が降り注いでいた。

深い緑と小川のせせらぎ。

しばらく歩くと真っ白な宮殿が現れた。

宮殿の中は余計なものはなくスッキリしていて、洗練されて上品な造形。

中庭には見事な大樹とバラ園も見える。


案内してくれた人型精霊は、半円アーチ型の大きな扉の前で立ち止まった。


『連れてまいりました』


その一言で扉がゆっくりと開く。

両開きの扉には綺麗な紋様が掘ってある。


『よく来たの』


神々しく響く声に顔を上げれば、金と白の衣をまとったご老人が壇上の椅子に深く座っていた。

圧倒的な存在感。

たっぷり蓄えたまっ白なヒゲ、ゆるくウェーブする長い髪、深く刻まれたシワ。


そして全身が淡く光っている。



一目でわかる、彼が精霊王だ。

いつも読んでいただきありがとうございます!

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夏休みの暇つぶしにでも読んでいただけたら感謝します。

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