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051 無邪気な悪魔と魅惑の悪魔

ジドラルの話から考えると、1200年前、魔界からこの世界へと入り込んだ悪魔は二体。

魔界で暴れてお尋ね者になった彼らは次元の亀裂からこちらの世界に入り込んだ。

追ってきた魔族から逃げながら、しばらくは帝国に潜伏していたようだ。

帝国は常に戦争をしているような国だから互いに利点があったのだろう。


最初は別々の悪魔だったが、ジドラルがラキエルを取り込んだため同一個体となった。

この二体に共通しているのは、自由で利己的。

自分中心なのは魔族に多い傾向だ。


悪魔の中でも明確に悪意を持って行動している者は悪魔と呼ばれる。

人族にも「悪人」と呼ばれる者達がいるが、それと一緒である。


少年姿のジドラルは魔道具好き。

無邪気に笑っていたが、好きなこと以外は興味がないかんじだった。


麗人姿のラキエルは攻撃的な思考だった。

魅惑で唆し、人を操る術を持っている。


これまで闇に身を潜めながらも問題を起こしていた彼らは、再び現れて王国を混乱させた。


なぜ今、このタイミングなのか?


……おそらく大爺様の魔力が薄まったせいだろう。


『おまえら、あの大精霊とどういう関係?』

悪魔はそう言った。



異世界人の魂が欲しいと言っていた。

大爺様のせいで救世主の魂を逃したと。

どこかの山の中で、黒い門があった気がするーーとも。



異世界創造伝記の最後の方にあったテオドールの記述を思い出す。

〜〜〜

あいつらは聖山に行くと言っていた。

最後に5つ目の転移扉を聖山に設置すれば五芒星ができるとかなんとか。

俺には良くわからないけど、五芒星ってのは魔除けとか、魔法の効果を高めたり、そんな効果があるようだ。

〜〜〜


救世主ショウが消息を絶ったのは、聖山。

黒い門はおそらく転移扉。

そこでショウと悪魔は会っている。


ー救世主の魂は過去へ飛んだー


大精霊だった大爺様からの伝言。

救世主を召喚した王国と、ショウと契約した大精霊。

そしてショウの魂を欲する悪魔。


なぜ伝言を国王陛下に託したのだろう。


大爺様はなぜこんな回りくどいことをしたのだろう。

ただ伝えるだけなら里で暮らしていたときに言ってくれればそれで済んだはずだ。


父も大爺様から伝言があったことを知らないようだった。

なぜ父じゃダメだったのだろう?




「レオンハルト殿?」


声をかけられて意識が浮上する。


「すみません、つい考え込んでいました」

「無理もない。分からないことが多すぎますからな」


ローゼンドルフ辺境伯とご嫡男も悪魔について一緒に考えてくれている。


「俺の考えでは、悪魔ラキエルは……魔力や魂に干渉できるのではないかと思います。おそらくですが、洗脳もその一部ではないかと」


「「魔力や魂に!?」」


「王城で索敵をしていたエルフは魔力に同調されて気を失いました。その後、王族が襲撃されたのは魔力を通して居場所が見えたのかもしれません。それに陛下に向かって『嘘か本当かはおまえ達を食べれば分かる』とも言っていました。つまり、魂を食べれば思考が分かるのではないでしょうか。思考が見えるなら干渉できる可能性もあります」


「魂を食べると思考が分かる……ねぇ。救世主の魂を手に入れて何をしようとしているのか」


「それは分かりません。ジドラルは純粋に興味があって欲しているようにも見えました。でも一つだけ言えるのは、ショウの魂を守らないといけないと言うことです」


「そうは言っても1200年前に亡くなってる御方だろう。なぜ今更?」


「魔族は長寿ですから。異世界人の魂をずっと探していたのでしょう。大爺様の魔法が薄れてきたため王国でも動きやすくなったのかと……召喚術を知りたがっていたようですし」


「なるほどな、それなら納得だ。ショウ様の件は、もしかしたら結界の家に手がかりがあることも考えられるね」


ご嫡男の言葉にハッとする。


結界の家、そこには今ヴィーがいる。

なぜ気づかなかったのだろう。

救世主に関係する場所なら悪魔が現れてもおかしくはない。


「あの、申し訳ないが父上のことを頼めるだろうか! 結界の家に行かなくては……!!」


慌てて天幕を飛び出し、馬に跨がりながら強化魔法をかけ、土煙を上げて爆走する。



ーーヴィー、無事でいてくれ……!!!

いつも読んでいただきありがとうございます!

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