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036 エルフの里の転移扉

第三章ラストまであと少しです。最後までお付き合いいただけると嬉しいです。

模擬戦から数日。連日朝から軍議が行われていた。

今日はおおまかな配置が決まり、戦い方とそれぞれの役割を共有して解散となった。

今は必要と思われる武器や魔道具などの最終チェックをしている。


俺はこちらの動きを伝えるためにパデボルンへ戻ろうと思ったのだが、族長に呼び止められた。




「お前が谷に来たら見せておきたかったんだ」


そう言って連れてこられたのは、谷の端っこにある滝の裏側。

そこには小さな洞窟があり、奥には隠れるように漆黒の扉がどっしりと構えていた。


「……族長、これは?」

「ルーヴィッヒ様が大精霊だった頃、とある人族と契約していたのは知っているか?」

「!! なんとなく、心当たりはあります」


族長は頷くと「この扉はその人族が設置したものだ」と言った。


俺の"心当たりがある人族"とは、異世界から召喚されたモノ作り職人だ。

錬金術村で受け取った本を思い出す。

もしかして、これは転移扉……!?

心臓がドクンと脈打つ。



■■■


大陸の北東へ向かったらエルフの里がありました。

北側にでっかくそそり立つ聖山の麓、岩山と原森林に隠されたところに住んでいました。

エルフ族は気難しいと聞いていたので心配していたのですが意気投合して一ヶ月もお世話になってしまいました。

また遊びに行きたいけど来訪するのが大変そうなので転移扉を設置しました。

次回はテオドールも一緒に遊びに行きましょう。


■■■


「異世界創造伝記」にあった記述を思い出す。

モノ作り職人ショウが、世話係だったテオドールに宛てた手紙のうちのひとつだ。

たしか、精霊の森と聖山にも転移扉を設置したようなことが書いてあった。


「おそらくレオンハルトなら扉に認められると思うのだが、どうだ、動かせそうか?」


族長の声で我に返り、扉に手をかけて魔力を流してみる……が、ピクリとも反応しない。

だが拒否されているかんじもしない。

モノ作り職人が作った魔道具は登録した者やその系譜の者しか使えない物も多いらしい。

大爺様は彼の契約者。子孫である俺にも使えるのだろうか?

扉を覆うように魔力で包んで調べてみると、扉本体の魔力が空っぽだった。

これなら……もしかしたら魔力を充填すれば使えるかもしれない!


「扉の魔力が空っぽなので充填しないといけないようです」

「そうか。しかし転移なんて高度な魔法、どのくらいの魔力が必要になるのか」

「それは……想像したら怖いですね。とりあえず今可能な分の魔力を充填しておきますよ」


俺は扉に手のひらを当てて充填しながら少し興奮していた。

転移扉の存在にわくわくしているのもあるが、精霊の森に出れば魔族領までの近道にもなる。

ヴィックやアリスにも手伝ってもらえば早く魔力が貯まるかもしれない。

父上と一緒にここへ戻ったらみんなで充填しよう……!




洞窟を出るとすっかり夜になっており、フィンが待っていてくれていた。


「良かった、会えて。もう行ってしまったのかと思ったわ」

「フィンに何も言わずにいなくなるわけないだろ」


フィンとは宴の後にふたりで話をすることができたけれど。

隠れ里を出る時はもう会えないかもしれないと覚悟していたから、こんなにすぐ会えるとは思っていなくて。嬉しいような恥ずかしいような気まずいような……おかげで何を話せば良いのか分からなくて、あの日はフィンの言葉に相槌を打つのが精一杯だった。

その後も軍議や連携訓練などで忙しくてゆっくり話せていない。


「フィンに会えて嬉しかったよ。父上を救出したら、もう一度谷に来ようと思ってる」

「本当? なら、待っているわ。私も突撃隊の補助に参加したかったのだけど、みんなに止められてしまったの」

「うん。俺もフィンはここに残ってくれた方が安心できるよ」

「……残念だけど、仕方ないわね」


フィンは溜め息をついていたけど、俺はほっとしてクスリと笑った。


「そういえば、ヘンリにやたらと泣き虫だと言われるんだけど。俺って子供の頃、そんなに泣き虫だった?」


「ん〜〜。泣き虫というか、ヘンリがちょっかい出して泣かせてたというのが正しいのかしら?」

「やっぱり」

「ふふ。ヘンリはあなたのことが気になって仕方なかったんだと思うわ」

「嫌われてたってこと?」

「逆よ。仲良くしたいのに空回りして泣かせてたんだと思う。里のみんなが一目置いているルーヴィッヒ様の孫だから、必要以上に気にしていたのは間違いないわね」


「そうなのか。実はあまり覚えていないんだ」

「レオンは子供の頃に魔力暴走を起こしたことがあるから、その前の記憶があやふやなのかもね」


子供の頃の記憶なんて皆あまり覚えていないものだと思っていたのだが、フィンもヘンリも覚えているらしい。

俺だけが忘れているのか? なんか嫌だな。


……そうだ、覚えていないなら視てみようか。

せっかく時渡りの瞳を使えるようになったのだから。


子供の頃の記憶がないなら、視れば良い。

そう思ったものの。


どうやって視れば良いのだろう?



時渡りの瞳は今のところ、その場所や物に一番強く残っている記憶の残滓を視ることができるようだ。

だが大爺様は自分の知りたい過去を視ることが出来ていたと記憶している。

俺も練習すれば時間軸を選べるようになるだろうか。


とりあえず子供の頃の残滓が残っていそうなものは……

考えを巡らせるが思いつかない。

頭に浮かんだのはヘンリとフィンだけだった。

でも他者の記憶を除くのは流石にどうかと思う。

それに、時渡りの瞳を使えるようになった事はあまり大ぴらに言ってはいけない気がする。

いつも読んでいただきありがとうございます! ブックマーク登録や評価、リアクションなど頂けると執筆の励みになりますので、少しでも面白いと思ったらよろしくお願いします。


☆別連載「異世界創造伝記」ではモノ作り職人ショウが活躍しています。

一応完結してますが、番外編を時々書いておりますので、こちらもよろしくお願いします。

https://ncode.syosetu.com/n7983jn/

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