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032 模擬戦

エルフの谷に着いた翌日。

俺は警邏隊の訓練に参加しているのだが……周りからの視線がつらい。

容姿はエルフとあまり変わらないから少しは受け入れてもらえるかと思ってたんだけどなぁ。

昨日も思ったが、まるで珍獣にでもなった気分だ。

興味津々の目を向ける者、不機嫌そうにじろじろ見てくる者、ヒソヒソ話している者、反応はいろいろだが話しかけてくれる者はいない。


「とりあえず、実力が分からねぇと連携も取れんから儂と模擬戦をしてもらおうか」

ヒゲを蓄えた隊長が直々にお相手をしてくれるらしい。

まいったなぁ。

自分がどこまで通用するのか、不安がよぎる。


エルフは自分たちが最高の種族だと思っているだけあって、容姿、頭脳、剣術、魔法、全てが優れている種族だ。残念なのは世俗から離れていて外の情報に疎いことくらいじゃないかな。




互いに木剣を構えて向かい合い、深く呼吸して身体強化とスピードアップの魔法を展開。

隊長も自身に魔法をかけて風をまとっている。スピード系だろうか?


相手の実力は分からないが、隊長なのだから腕前も相当だろう。


「……胸をお借りします!」


覚悟を決めて前を見据え、足を踏み出す。

風を切る速さで隊長の前に切り込んだが、斜めに振り下ろした木剣は簡単に受け止められてしまった。

力が強い。俺は弾かれた木剣と一緒に後方へ飛ばされた。

土煙を上げる地面になんとか足を踏ん張ると、再び木剣をかまえる。


ーーなるほど、パワー系剣士ってところか。


父上の剣筋に少し似ている。

それなら。


俺は勢いよく走り出し隊長から距離を取ったままぐるりと後ろへ回り込んで思いっきりジャンプした。

太陽に隠れて炎魔法で攻撃をするつもりだったのだが。

眩しそうに目を細めた隊長は腕を突き出し水の壁で俺を弾いた。


ーー魔法の展開も早い。


弾かれた俺は木剣に雷魔法をまとわせながら着地し、走り込んで横に振り抜こうとした。

だが隊長はあっさりと木剣で受け止める。


ーー状況判断も早い。


そのまま数回、角度を変えタイミングを変えて切り込んでみたが、木剣がぶつかる音だけが谷に響いた。

たぶん剣ではかなわない。

俺は数歩下がって水魔法を展開し、渦を巻く水のドームで隊長を包みこんだ。

そこに雷魔法を射って麻痺させれば試合終了だと思った所で、ドームを内側から木剣で切り裂かれる。

形を失った水は、ただの雨のように水音を立てて崩れ落ちてしまった。


びしょ濡れになりながら半ドームから出てきた隊長は難しい顔をしていた。




「おまえ、対人戦の経験がないだろう」


隊長にはお見通しのようだ。

俺は無言で頷いた。


そう、俺は狩りや稽古で剣をふるうことはあったが「戦い」というものはしたことがない。

ずっと隠れ里で暮らしていたから諍いらしいものはなかったし、揉めたとしても言葉を交わせるのだから話し合えばいい。それに争うのは怖い。傷つける必要がないならそれで良いじゃないかと思うんだ。

……甘いと言われてしまうだろうか。




隊長はしばし考えたあと、ラウリを呼んで「レオンハルトは魔法のほうが得意のようだからお前が面倒をみてやれ」と言った。

使えない奴だと見限られたのでなければ良いのだけれど……

ラウリにそう不安を漏らせば、ガハハと豪快に笑われた。

「隊長相手にあれだけ戦えるんだ、腕は悪くないさ。ただ、ちょいと行儀が良すぎたな」

「行儀ですか?」

「本気の戦いなら相手は命を狙ってくる。こっちもそのつもりで戦わないとやられるぞ。だが、お前さんは優しすぎる。いざというときに致命傷を負わせるような攻撃ができるか?」

「……それは⋯」


「そういうところだ。剣は直接、衝撃や感触が伝わってくるから、受けた攻撃だけでなく相手に与えたダメージも感じ取ってしまう。お前さんの心に負担がかかるのを危惧したんだろ。敵と剣を交えるのに躊躇したら負けるからな。」

「たしかに」

「だから優しいお前さんには剣より魔法のほうが向いていると判断したんだろうよ」

「でも、俺の魔力量はあまり多くなくて……」


「な〜に言ってんだ。昨日、魔法の翼で谷に降りてきたのを見ていた奴は多い。高度なワザだと分かるやつは分かるさ」

そう言われて俯いていた顔を上げた。

「デカイ魔法で圧倒するのもいいが、少ない魔力量で効果の高い魔法を展開するのは魔法戦の基本だ。お前さんは器用でコントロールも展開スピードも充分。あとは戦法ってやつを俺が教えてやる。期待してるぞ!」


ラウリに背中をバシンを叩かれて、俺は背筋を伸ばす。


その後はラウリに魔法戦について指導を受けた。

大爺様から教えられた高度魔法での戦略とはまた違っていて、誰でも使えるような技を工夫した戦法は興味深いものだった。




そして翌日、エルフの谷に来て3日目。

懐かしい人物が俺のところにやって来た。

名前を聞くまで存在を忘れていたくらいには懐かしい顔。


正直に言うと、俺はこいつが苦手だ。

いつも読んでいただきありがとうございます! ブックマーク登録や評価、リアクションなど頂けると執筆の励みになりますので、少しでも面白いと思ったらよろしくお願いします。


予約投稿するつもりだったのにうっかり普通に投稿してしまいました(涙)本日2回目の投稿ですが、1000PV突破記念ということで。ユニークアクセスは昨日投稿した短編にアッサリ抜かれてしまいましたが⋯⋯嬉しいやら悲しいやら。

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