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118 宵月の魔術師2

昨日の投稿予定だった117話、予約投稿したと思ってたら普通に投稿しちゃってました。

あれ?と思った方、すみません……

あと、エピソードタイトルに「1」をつけました。

『宵月の魔術師とは私のことだ。キミ達には感謝する。望みがあれば叶えてやるぞ』


空中に浮いている魔術師はそう言った後、呪文を唱えて自分に回復魔術をかけた。

土気色だった顔色は健康そうな小麦色になり、傷んでゴワゴワだった髪は艶が出てサラサラだ。

バサリと外套を翻すと纏っていた衣類は新品のようになり、頭や肩には装飾品まで着いている。


ーーボロボロの服を着て今にも倒れそうだったのに……


彼の出で立ちはまるで絵本に出てくる南国の王子様だ。

しかも意外と筋肉質だった。魔術師なのに。



「だったら、この異空間から出してくれ。元の世界に戻りたいぞ!」


ヴィーが叫んだ。

けれど、返事は……


『それだけは出来ない。なぜなら……』


言いかけた魔術師は海上へ冷たい視線を向けた。


『……ああ、話の前に海賊どもを一層しなければ。少し待っていてくれ」


魔術師に気を取られて気づかなかったが、海賊船が再びこちらへ向かって大砲を撃とうとしていた。

海に投げ出されていた船員たちも船に戻りつつある。


「さっき水浸しにしたのに!」


『砲弾が無事なら替えが効くだろうな。だが、撃つ前に壊してしまえば良い』


そう言って呪文を唱え、竜巻を放った。

竜巻は水を巻き上げて水柱のようになりながら海賊船に向かって行く。

だが、船に辿り着く直前で崩壊し消えてしまった。


『おのれ……対魔術の魔道具か。そんなものを隠し持っていたとは』


「じゃあ、ぼくがやる」


先程からの鬱憤を晴らすかのように、トールは特大の雷魔法を海賊船に落とした。

けれど、やはりそれも防がれてしまう。


二人の強烈な魔法を立て続けにくらったせいか、海賊船の結界は砕け散った。


今のうちにもう一撃……と思ったが、海賊船の結界が新しく構築される。


『やつらめ、魔道具をいくつも溜め込んでいやがったな』

「一緒に海賊船に乗ってたんでしょ? 見たことなかったの?」

『自由がなかったからな。宝物庫には近寄れなかった』


そうこうしているうちに砲弾が飛んできた。

小さく揺れる船と轟音。

アリスが小さな悲鳴を上げる。


砲弾の2発目も飛んできた。

海賊船は二艘あるから、まるで連射だ。


この船の結界は害あるものを弾き衝撃も抑えてくれるのだが、完全に消すわけではない。

完全に外部を遮断する結界だと波導が伝わらずに攻撃を無かったことにできるらしいが、この結界はどんな攻撃だったのかちゃんと伝わってくる。敵の正体が分かれば対応しやすくなるということだ。



続いて3発目も飛んできたが、今度は魔術師を狙ったようだ。

けれど彼は簡単に躱す。


『はっあのくらいで私に対抗できるとでも思ったか』


魔術師は再び呪文を唱える。


『魔術が届かないなら物理で攻撃すれば良いだけのこと』


海の中から数体の巨大イカが姿を現し、その太く長い触手で海賊船を覆っていく。

完全に覆い尽くし、まるでイカの一部になったようなそれは、ゆっくりと海の中へ引きずり込まれていった。


『魔道具が尽きるまで海の底に沈んでいるがいい』



ーー今のは、なんだ? 生き物を操った……?

いつも読んでいただきありがとうございます!

少しでも面白いと思いましたら、ブクマ登録や評価、リアクションなどよろしくお願いします。

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