115 海上の戦い3
「兄さん!」
「アニキ、無事か!?」
「レオン兄……!」
先ほどの結界の衝撃に気付いたらしく、皆も船長室から出てきた。
「大丈夫だよ、結界の中にいるうちは問題ない」
「本当?」
「ああ」
今のところは、だけどね。
笑顔で答えれば安心した顔をする弟妹。
うん、絶対に俺がどうにかしてやるからな。
船の下では相変わらず海賊達が叫んでいるけれど、魔術師以外は無視しても大丈夫なはず。
とにかく異空間から抜け出す方法を見つけなくては。
「ところで脱出する手がかりはあった?」
「使えそうな魔道具をいくつか探してきたぞ」
「役に立ちそう?」
アリスとヴィーが持ってきたマジックバックを覗き込むと、予想以上にいろいろあった。
そういえば里を出る時に鍵の部屋にあった箱を入れたままだった……大爺様が溜め込んでいたからなぁ。有り難く使わせてもらおう。
「マジックバック以外にも、船長室の箱の中にも少しあったよ」
ふむふむ。救難信号の花火もあったのか。あとは羅針盤、ストームグラス、光魔灯、海図……はかなり古そうだ。ここでは意味がないだろうな。
マジックバックの中は、料理に使った火炎台と、天幕、ランタン、精霊の森でもらった石鹸、外套、ブーツとグローブ、剣・槍・弓が数本、簡易結界魔具、遮音魔具、水筒魔具、このイヤリングは通信具かな?
……あ、鑑定メガネもあったのか。防護服、変装魔導服、解呪の指輪、毒消し薬、回復薬、細かいのがいろいろ。
ーーこれらで脱出できると良いのだが……
「トール、賢者の本はどうだった?」
「うん……かなり古い本かもね。複写魔法とか、浮遊魔法とか、再生魔法とか、錬金村にはもうあった気がする。あとは〈未来は変えられる〉ってセリフが気になったくらい」
「……未来」
「未来は変えられる。己の行動、セリフひとつで幾通りもの未来が生まれる。自分の目指す未来は己の手でつかむのだーーだったかな」
「……幾通りもの未来か」
今後の方針を考えようとしたとき、船の結界に何かぶつかったような衝撃があった。
魔術師が攻撃してきたらしい。
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