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105 弟妹の成長をかみしめる

「兄さんは本調子じゃないんだから座ってていいよ」


船の結界に巻き付いた巨大イカを見上げながら撃退方法を考えていると、トールに見ているように言われてしまった……たしかに昨日は船酔いで動けなかったけれど、今日はだいぶ回復した。長男が黙ってみているわけにはいかないだろう。


「俺も戦えるぞ?」

「ぼくとアリスで充分だよ。見てて」


そう言ってトールは、魔法で作った光の球を巨大イカの目にぶつけた。

イカは一瞬怯んだが再び触手を伸ばしてくる。


アリスはすかさず茨の蔓を伸ばして、迫ってくる触手を次々弾いた。


ーーえっ何その魔法!?


よく見てみると、薔薇の精霊からもらった服の胸元に魔法陣が浮かんでいて、アリスの目の前にも対になる魔法陣が浮かんでいた。蔓はそこから伸びているが、魔法の行使も蔓のコントロールも全てアリスの力でまかなえていた。なかなかやるなぁ。


ヴィーはアリスに防御膜を張っているが、蔓にも魔力を纏わせており、払った触手のダメージを増幅させているらしく巨大イカはお怒りだ。


ーーすごいじゃないか二人共! いつの間にこんな魔法を使いこなせるようになったんだ!


感心している俺の横で呪文を唱えるトール。

声が小さくて何の呪文か分からなかったけど、大杖を天に向けて掲げ「一閃雷光弾」と叫ぶと、空から稲妻がまっすぐ落ちてきて巨大イカの頭に直撃。


ーーおおーっ!! 兄ちゃん感動しちゃうよ。なんだよ皆、いつの間にかこんなに成長しちゃって……


ほろりと感動を噛み締めたいところだが、巨大イカが意識を失いながら船にのしかかってきた。

グラリと傾く船体。


ーーここは俺の出番だな。


俺は魔力をまとって跳躍し、結界の上に出るとイカの巨大な触手を2本ほど剣で切り落とした。

落下しながら風魔法で本体を海側に押しやり、切り落とした触手は結界の中に引っ張り込んで適当に切り分ける。


ドドドッと船上に落ちるイカの切り身達。


着地した俺は笑顔で顔を上げる。


「さて、イカ焼きパーティーでもしようか」


俺は今、弟妹の成長を祝いたい気分なのだ。

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