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ジュエルソーサラー、転生宝石商  作者: 亜土しゅうや
水の街、宝石はここに
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第5話 レッジ自警団

 「ついたわ、ここがアタイ達自警団のホームよ。」

 「はぁ、はぁ。」

 「あらどうしたの?風邪かしら。」

 「いやオーロラちゃんが急に担ぎ上げてここまで案内したからでしょ。」


 エイトです。

 

 町の事を知ろうと図書館を探す道中、この町の自警団の人達と出会いました。


 なんでも自警団員に自分に合うクリスタルを探している人がいると聞き、色々な事が知れると思い僕は自警団の本部に連れて行ってもらう事にした。


 公爵家から支援を受けてるだけあってか、そのホームとやらは結構大きな建物。てっきりちょっと荒々しい雰囲気の酒場かと思ったけど全くそんな感じはない。


 妹のラノベが異世界知識全てじゃないのが実感出来る。

 

 しかし僕はオーロラというオカマお姉さんに担ぎ上げられ本部まで運ばれて色々疲れたのだ。

 ちょっと扱い酷くない?悪気はないらしいけど。

 だめだだめだ、お客様に対して文句は考えてはいけない。


 「あらごめんなさいねぇ、急いじゃったから。」

 「いえいえ...僕はアイテムボックスを持ってますので商品についてはご心配なく。」

 「宝石じゃなくてボクを心配してるのよ...?」

 「じゃあ入りましょう、ようこそ[レッジ自警団]へ!」


 ガチャッ


 「戻ったわ!」

 「あら!オーロラちゃん、リンちゃんおかえり!」


 ドアの先には受付カウンター、ここだけの内装を見る限りでも

 カウンターにはきちっとしたスーツを着た女性。


 「ん?そっちの女の子は?」

 「男の子よ。」

 「ええっ!?」

 

 デジャブ。


 「僕はエイト、宝石商です。」

 「宝石商....貴方が?」

 「はい、こう見えて。」

 「アクロん。ラーちゃんにクリスタルを紹介したいの。あの子まだ自分に合うクリスタルを持っていなかったでしょ?町でこのエイト君に出会ったから、良い機会と思って案内したの。」

 「あらそうなの!初めましてエイト様、私はレッジ自警団事務員のアクロと申します。」

 「エイトです、よろしくお願いします。」

 「アクロん、ラーちゃん今どこ?」

 「修練場にいるわ、今日も張り切ってる。」

 「わかったわ。エイト君こっちよ。」


 へぇー修練場か、これだけ大きな自警団ならあってもおかしくないか。どんな感じだろうね、案外日本の稽古部屋みたいな所だったり?


 「ここよ。」


 本当に稽古部屋があった...。


 部屋の面積や天井は広くちゃんとした修練場。

 部屋には色んな人が武器を握り鍛えている。

 建物の外から見えた大きめの棟はここだったか。


 「この部屋だけでも人がいっぱいいるんですね。レッジ自警団はどれくらいの人がいるのでしょうか?」

 「330人よ。自警団としてはかなり多い方だと思うわ。」

 「私達は公爵様の支援を受けているからね、普通はここまで大きくないわ。御貴族様は本来傭兵を雇うから。」


 傭兵...どの国、どの町、どの主。決まった所に所属しない雇われ戦士。基本は金次第で動くので貴族は自警団よりこっちを選び雇う。


 「...あら?ラーちゃんいないわね。」

 「あ、オーロラの姐御!」

 「ただいま、ラーちゃんどこにいるか知らない?」

 「ライラさん?それなら“地下の方”にいるっすよ?」

 「あーそっちね!ありがと、邪魔したわ。」


 地下?


ーーーーーーーーーー


 「せいっ、はあああ!!!」


 斬っても、

 斬っても、

 納得を感じる刃の手ごたえを...感じない。


 灯はあるけど暗いから周囲が見えづらい、けど辺りは魔物の血で濡れていた。


 ここは地下水路。

 町の地下から溢れる水が通る。


 町に住む者皆に行き渡るよう広域に広がっているのだが、なんらかの原因で魔物が現れるようになった。


 だからいつも誰かがここで狩りをしている。

 いつも誰かが。

 生温かい魔物の血を浴びながら。


 水路の灯りが魔物の血を照らす。

 血濡れた私の手が赤く照る。


 ああキリもない、手ごたえも無い。


 誰か私を止めて。

 

 そう思いながらも、私は止まれな....

 

 「ギャアアアーーーーーーーッッ!!?」

 「!?」

 「あちゃー...。」



 ことは数分前。

 エイトが案内やってきたのは地下水路。


 「水路?」

 「そうよ。ここはこの町の生活用上水路。湖の水が流れているの。」

 「へぇ...でもこの町ってかなり大きですよね。それって湖の水位とか大丈夫なのですか?」


 滋賀県の琵琶湖びわこよりは小さく見えた。


 「それがね...何も問題が起きていないの。」

 「?」

 「以前、湖の中の調査が行われたのだけど特に何も見つからなかったの。川から湖に流れる水より町に供給されている水の方が多いのに何故か足りている。不思議よね。」

 「それは確かに不思議です。」

 「でも無限では無いはずよ。きっと何か秘密があるから今も小規模だけど調査が行われているの。」


 面白そうな話を聞いた。

 長時間遊泳ができるエーデルを持ってるから僕も何か調べてみようかな?海や湖の底ってゲームでは何かアイテムがあったりするからね。


 「それで、そのライラという方はどういった人なのでしょうか?」

 「...ああー...ラーちゃんは...そうね、仕事に真面目ではあるんだけども。」

 「?」

 「ちょっと...厄介で..あーいや、いい子なのよ?でもなんというか...。」

 「待ってリンちゃん、噂をすればよ。」


 オーロラさんが見る先には....血の飛んだ道。


 え、どゆこと?


 「エイト君、この水路はどういうわけか魔物が出るの。」

 「えっ?」

 「最近になってからなの、どこからか現れ水路内を彷徨うろつく。その為今町で討伐が行われているの。けど、ある程度期間が経つとまた結構な数が現れるからキリが無い。元々地下水路も警備エリアだからホームに入口があるの。」

 「水路には水を浄化するアイテムが設置されているから多少は血が飛んでもいいようになってるわ。あくまで多少は...だけど。」

 「ラーちゃんはここでよく魔物を狩っているからか、最近は暗い時間でも器用に動くのよね。多分スキルを身につけたわ。」


 ほほーそれはおそらく[暗視眼]だね。

 持ってるだけで夜間行動時間や範囲、機動性が格段に上がる。加えて真っ暗な洞窟内でも問題なく見える、探索系スキルの一種だ。


 「...ふふ....。」

 「ん?今の声は...。」

 「...オーロラちゃん。」

 「“また”だわね。」

 「?」

 「あはは...あっはははははは!!」

 

 血濡れた水路に女性の笑い声。

 え、この角を曲がった先には何が映ってるの?

 正直見たくない。


 でも進む。


 そこにいたのは魔物の生首やら死骸やらを辺りに散らし、体の殆どが魔物の血で濡れた...笑顔の女性。


 「...あはっ?」

 

 光る不気味な目がギロリとこちらを見る。

 血濡れた大鎌がキラリと光る。

 こんなのホラゲの比じゃない。

 思わず悲鳴をあげた。


 「....ライラ、浄化魔法を使った上で風呂入ってきなさい。」

 「はぁーーい。」


ーーーーーーーーーー


 しばらくして...。


 「では改めまして、僕は宝石商のエイトと申します。」

 「は...初めっ...まして...ららら..ライラで..すっ!」


 いやいやちょっと待って。

 しばらくする前とキャラが全く違うぞ!?


 before:ブラッディ イズ ヒャッハー

 after:怯える隠キャラ、大人しい子


 (エイトちゃん、ラーちゃんは血を浴びると何かのスイッチが入っちゃうのよ。)

 (そういうキャラ!?)


 「あー早速ご質問なのですが、ライラさんは自身に合うクリスタルがまだ見つかっていないとお聞きしております。」

 「は、はい!今...使っているのは...レンタルの汎用型...です!!」

 「ふむ...。」


 HPとMPが1.3倍の持久タイプ。

 レンタルで誰でも使える品としては結構いい方かな、

 でも。


 「これ自体の性能は汎用クリスタルの中でもそこそこ良い方、しかし所詮は汎用です。真に合うクリスタルと比べれば大したものではございません。」

 「そうなの...ですか?」

 「適合率が高ければ例え安物であっても自身の能力が2倍以上になる例がございます。」

 「!」


 正確には自身のステータス、その装備の得意属性、レベル、その他含めいわゆる“プレイスタイル”によってその辺が変わる。


 そりゃスタイルに合った能力が上がればより力は伸びるからね。


 「失礼ではございますが、ライラさんのステータスを拝見してもよろしいでしょうか?」

 「は、はい。ステータス...オープン!」


 ふむふむ..DEX〈器用性〉が高く、残りはSTR〈筋力〉とAGI〈敏捷性〉にほとんど振られている。


 一方で耐久性は紙、アタッカーあるある。

 まぁ装備でどうにかカバー出来るだろう。


 大鎌がメイン装備となると単純筋力だけじゃ扱えない。相手を的確な間合いで素早く刈り取るとなれば実際やろうものなら相当技術力がいる。


 しかしただ振り回せば仲間に当たる可能性も考えるとDEXが一番高いのはかなり良い。

 この武器を扱う上では理想的だ。


 「...エイトちゃん?」

 「ああ、失礼しました。ライラさんに合うクリスタルなのですが...ございますよ!」

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