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ジュエルソーサラー、転生宝石商  作者: 亜土しゅうや
水の街、宝石はここに
11/36

第11話 公爵様と図書館に。

 翌朝、

 気持ちの良い朝、

 久しく味わう元気いっぱいの朝。


 (おはよう、)


 起きて一番、その言葉が僕の頭に浮かぶ。

 ここにはいない、可愛い弟と妹の声が。


 「ああ、おはよう。」


 自然と口に出た。


 背伸びをして、顔を洗い、時間に合わせ部屋に持ち込まれた朝食を食べ、歯を磨き、服を着替え、身支度をする。


 「行ってきます。」


 前世では出来なかった、普通。

 それが今の僕には出来る。

 出来るという幸せ、平穏。


 さぁ行こう、図書館に。

 

ーーーーー


 「なんて大きさだ...。」


 国で3番目に大きい図書館だと聞いていたけど、この広さ大きさで3番目なのか!


 凄い、どんな本があるのだろう。

 早速入ってみよう。


 「...おや、君は...?」

 「へ?」


 入ろうとしたら知らない男性が僕を見て言う。

 

 「あの...何かご用でしょうか?」

 「...金色の髪、白い服、少女の様な顔立ちの少年...もしや君がエイト君かね?」

 「!...はい。僕はエイトです。」

 「そうか...私は“ミハイル・ハリス”。先日は娘のミリーと従者を助けてくれてありがとう。この恩は必ず返すと約束しよう。」

 「ハリス...娘のミリー..え?って事は公爵様ぁ!?」

 「はっはっは、年の割には落ち着いているがやはり子供だね。君も図書館に用があるのかい?」

 「は、はい。昨日この街に着いたばかりなので色々調べておきたいなと。」

 「なら丁度いい。私も次女のティナの件で来たのだ、よければ私が案内しよう。」

 「ええっ、公爵様が!?」

 「身内の命を救い、さらに手を差し伸べてくれた方をどうして放っておけるのか。愛娘の為もある、それに昼には屋敷へ来るのだ。ここで会ったのも何かの縁だろう。」

 「...わかりました、よろしくお願いします。」


 僕はミハイルさんに案内してもらう事にした。


 「いらっしゃいませ、公爵様。」

 「ああ、いつもの部屋を頼む。」

 「部屋?」

 「集めた本を読む為の部屋だよ。この方が落ち着けるからね、私もよく利用している。」

 

 ああ、個室とかそう言うのか。

 

 「へぇ、ありがとうございます。」

 「では案内しよう、まずはどこからいこうか。」

 「それじゃあ...、」


 集めた本は、

 この街に関する歴史やガイド、

 装飾品、

 鉱石や宝石、

 ファッション系、


 など、正直なところ、

 「...と言った本が。」

 「なら合わせてこれも見ておくと良い。」

 と本をどんどん渡されていくのだが...これが凄い。


 装飾品に合ったコーディネートや時期によって価格が落ち着く鉱石の種類、いつの年代から産出量が少ない宝石の情報など、多分僕一人じゃ気づくのに時間がかかっていただろう情報をミハイルさんはあれこれどうぞと持ってくる。


 「...なんか、色々すみません。」

 「いやいや、これくらい。ここにはよく通っているんだ、だから大体の本の場所はわかるのさ。」

 「凄い...。」

 「それに君も君だ。その宝石は見聞の補助機能でもあるのかい?」

 「!...はい、ダイオプサイトとナトロライトと言う宝石でございます。ダイオプサイトは知恵や叡智、ナトロライトは直感力、洞察力と言った言葉を持つ石なのです。」

 「ふむ、なら他に浮いている宝石も似た様な言葉を持つ石なのだろう?現に君は持ってきた本を既に4割読み切っている。どうだい、有用な情報はあったかね?」

 「はい!」


 山積みの本、

 輝く宝石の数々、

 見た瞬間内容がすぐ頭に入り一冊を読み終えるのにはそう時間が掛からなかった。


 ・この国は地理的には東方面、四季がある。

 ・地域によって出る魔物の種類。

 ・極めて数少ない魔物からドロップする宝石の

  情報。

 ・魔物が活発化しやすい地域や迷宮の場所。

 ・この世界での宝石の種類。

 ・宝石加工技術や応用。

 ・女性の水着写s...ゲフッ!?


 「...なんか混じっているのですが?」

 「ファッション知識だ。」

 

 不自然なくらいに真顔で言った!

 本当にそうか!?


 「でも凄いや、こんな加工技術もあるんだな...見たことない。」

 「ああ、そういえばエイトくん。私も知っておきたいのだがね、君の作る装飾品はどの様な物なのだろうか。」

 「加工済みのですか...例えばこう言う物が。」

 「...ふむ、ミリーが言っていた通りとても見事な物だ。少なくともこれ程素晴らしい腕の職人はこの国にいるかどうか...。しかし気をつけたまえ、これ程強い力を持つとなると下手に売るのは極めて危険なのはわかっているだろう。仮に店を持つとして、盗まれればどれ程の被害に繋がるか計り知れない。くれぐれも売る時は相手が信用出来るかどうかの調査や何かしらのセキュリティを張るんだ。一歩間違えれば君は死の商人となってしまう。」

 「!...肝に銘じます。」


 流石公爵様と言うべきか。

 この手の商売の危険性についてもわかっている。

 

 プレイヤーとしての僕もそうだった。

 僕は一部の宝石や加工品を売る事に条件を設けていた。

 あるレベル以上、

 あるクエストをクリア、

 あるモンスターを撃破、

 など、そのアイテムを使用するに相応しいかどうかを決めていた。


 中にはいた、ズルをして買おうとする奴も。

 その後直ぐアップデートが入り、そう言った輩はかなり減ったが。


 だがこれは現実。

 条件付けるシステム設定なんかない。

 売るか売らないか、決められるのは僕自身だ。


 そうしている間にも、時間は経つ。

 気がつけば、


 「...むっ!?」

 「どうしまし...たぁ!?」

 

 現在11時30分。

 約束の時間は12時。


 残り30分切った!!?


 「まずい、これはいかん!!そろそろ屋敷に戻らねば。急ぎ迎えの馬車を呼ぶよ、あーもしもしナーシャか、えーと....、」

 「あはは...。」


 なお一部の本は借りた。

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