第10話 八式宝石魔法
「八式宝石魔法術式展開、ジュエルソーサラー!」
8色の宝石が八角系の魔法陣を展開。
「Jewel of Vlll、起動。」
僕は身につけているバッジをタッチ、
バッジから虹色の光の翼が一翼現れる。
「さぁ輝け、宝石よ!!」
全ステータス1.8倍、魔法無詠唱化、
状態異常無効化、与ダメージ1.8倍、
被ダメージ半減。
クリスタルとエーデル効果3倍化。
(Jewel Sorcererの時点で2倍、システム的には掛け算で計算されるので計6倍化。)
「あ...あれは...!」
「エイト...ちゃん...?」
『その力は...!?』
「輝きは一瞬、思い出は一生。すぐに終わらせ、貴方を救う!!」
僕が手をかざすと8つの宝石が輝き、
それぞれの色のレーザーを放つ!
『なっ!?』
エクアに全て被弾、
初撃だけは最低4発絶対命中効果がある。
『こ...この力は...!』
「っ!」
『速い!』
「ふんっ!!」
ゼロ距離でバーストストームを叩き込む。
吹っ飛ぶ瞬間にレーザーを撃ち込む。
『...!?か、体が...!!』
黒いモヤが一層濃くなる、操る力が揺らいだのか一層強くして無理矢理動かそうとしている様だ。
「誰が操っているのかは知らないけど僕は言ったよ、勝負は一瞬だって!!」
既にマリオネット・ダンスを解除可能値まで到達している、これで終わりだ!
「宝石よ、彼女を救え!!」
僕が指を鳴らすと8つの宝石が輝き、光が彼女を包む。
あらゆる呪いを解除する上級魔法プリフィケーション、そして傷ついた彼女を、この場の皆を完全に癒やせヒール石。
『...。』
エクアが宝石の力でゆっくりと降ろされる。
僕はJewel Sorcererを解除。
「...ふぅ。」
「エイトくん!!」
「うわぁ!?」
ライラさんが飛びついてきた。
「大丈夫、大丈夫!?」
「だ...大丈夫...です。」
めっちゃ強い力で抱きついてきた。
「ちょっとラーちゃん、エイトちゃん苦しそうよ?」
「へぇ!?あ、ごめん...なさい。」
「それにしてもエイトちゃん凄いわ、今のは?」
「げほっ、...宝石達の力を呼び覚ましただけですよ。」
「宝石が...ンフ、とにかく凄い事を目にしたのは確かだわ。でもこれって口外しない方が良いわよね?」
「そうしていただけると助かります。」
『...んん。』
「あ...!」
エクアが宙に浮き、起き上がる。
『...謝罪する、我は皆を傷つけた。取り返しのつかない事をしてしまった。』
「悪いのは貴方じゃない、マリオネット・ダンスは僕の知る中でも相当タチの悪い魔法だ。...そういえば迷宮化は?」
『ん...もう止まった、水路内の魔物も消えた。でも水路に我を操っていたと思う者はいない。』
「そうか...でも迷宮化が止まったのなら良かった。」
『...我はどうすればいい。』
「!」
『我は昔、この地の王に恩を返す為に今も水を浄化し管理をしている。...今の我にその資格はあるのだろうか。』
「...この街は水の都と呼ばれる程綺麗な水に恵まれた土地なの。それがアンタのおかげだって言うなら...いや、アンタの意思が何よりも優先されるべきだわ。アタイ達は今までアンタにお世話になっていたんだからね。」
「貴方様がいたからこの街は発展し、人は生きていられた。第一今回の事を貴方様のせいであると思う者はいない、気に病まれる必要はない!」
『しかし...、』
「エクアさん、貴方は今目の前で彼らは貴方に感謝している。人は意外とドライでね、本気で必要がないなら人だろうと物だろうとなんであろうとあっさり切り捨てるんだ。」
『...。』
「この街に来たばかりだけど僕は思うな、貴方はこの街に必要な存在だって。」
『...うん、わかった、今まで通りでいる。ありがとう、人間。名をなんという。』
「エイト、宝石商のエイトと申します。」
『エイト、貴方にこれを。』
エクアが何かを僕に手渡す。
それは5cmもあろうディバイン・アクアだ。
『これは私自身、いつでも力を貸せる。貴方に興味を持った、ありがとう、私の救世主。』
そう言ってエクアは消えた。
「...なんてこった、宝石の化身から最高位の宝石貰っちゃった。」
地下であるに関わらず、
ディバインの名を持つアクアマリンは何よりも輝いて見えた。
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それから僕はホテルに戻り体を休めていた。
あんな事があったんだ、エーデルやクリスタルで疲労回復は出来るけどこんな体がぐったりするとは思わなかった。
八式宝石魔法が現実ではここまで負担が大きいなんて...衰弱死の次は過労死か?やだやだ。
しかももうこんな時間、ナーシャさんに明日はお願いしますって言われていたのにもうその明日だ。
結局図書館も行ってないで...ああ。
すごい、ベッドに寝転がるだけでこの眠気。
苦しくない眠気はいつぶりだろうか?
...死んだ瞬間以来かな。
こうして転生した大宝石商の1日目は終わった。
その頃公爵邸には情報屋が送った手紙が届いた。