表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/169

028 第十話 ラミアの森へ・想い人の痕跡を求めて 01


ラミアの森の探索一日目。


俺とアリサは、いよいよラミアの森の探索に入った。


とりあえずは討伐依頼のフォレストラビットを20羽ほど狩る。


これで本日のノルマは達成だ。





「この先よ!」



アリサはどう言う訳かラミアの祠の位置が分かるらしく、最短距離で向かっていく。



「あったわ、あそこよ!」



アリサの指さす方向には小さな湖があり、中央に島がある。


もちろん俺はこの湖は知っているし、中央に島があることも知っている。


しかしそこにラミアの祠があることは知らなかった。


なぜなら島に行く手段が無いからだ。


いや、手段がないというのは語弊を招く。


『知っているけど分からない』というのが本当のところだ。



挿絵(By みてみん)



「じゃあケンツさん、待っていてね」


「いやアリサ、おまえどうやってあの島に行くつもりだ?」



周囲は湖、つまり水。船もないのに……


まさか、もしや、ひょっとして……泳ぐのか?真冬なのに泳ぐのか!?


てことはアリサの裸が拝める?拝めちゃう!?



― ゴクリ……



俺は期待しながらアリサの動きを凝視する!


しかしアリサの行動は俺の期待を裏切った。



「どうやって?こうするのよ……飛空魔法スワローフライ(燕の飛翔)!」



アリサから一瞬ヒュッと風を感じたかと思うと、なんとアリサの身体がふわりと宙に浮きやがった!



「じゃあ、ちょっと行ってくる!」



こいつ、空まで飛べるのかよ!なんでもアリだな。


て、そうだった。そういやワイバーンも飛んで倒してたっけ。


呆気にとられる俺だがハッと気が付いた。



「まずい、アリサ戻れ!」


「え?」



俺はアリサを呼び戻そうとしたが、少し遅かったようだ。



― ベチャッ!



「ひゃぶっ!?」



― どっぽーん



アリサは湖を覆う結界にモロに激突!敢え無く冷たい水の湖へ墜落した。



「へくちゅっ!いたたたた……一体何なのよ、もう!」



ガタガタ震えながらアリサが湖から上がって来る。



「いや、悪かった、うっかりしてたわ。この湖の周りにも結界が張ってあるんだよ。高さは約千メートルってところかな」


「は、早く言ってよ、もう!もう!……へくちゅっ!へくちゅっ!」



アリサは可愛らしいクシャミを連発しながら俺を睨みやがった。


そんなコト言ったって知らねーよ、俺ちゃんと注意しようとしたじゃん。


それにしても惜しいな、もう少し薄手生地の服なら濡れ透けだったのに……


しかしまだチャンスはある!



「おいアリサ、風邪ひくから服を脱いで干した方がいいぞ。いま火をおこしてやっからな」



今度こそアリサの裸が拝める!そう期待して焚き木を拾い集めかけた。


しかしアリサはまたしても期待を裏切りやがった。



「必要ないわ、ホーリーピュアファイ(聖なる浄化)!」



キラキラと金色の粒子がアリサを包み、あっという間にアリサの着ている服が乾きやがった!


しかも洗濯でもしたかのように汚れも奇麗に落ちてやがる。



「な、なんだよそりゃ!何度も期待裏切りやがって!」



俺は抗議の目で睨みつけた。


一方アリサは汚物を見るような目で俺を見下した。



「で、今の魔法はなんだ?」


「これ?ただの浄化魔法ですよ。そんなことより参ったなぁ。流石に千メートルも高くは飛べないわ。結界もストライバー並に強固で私では壊せそうにないし……」



少し考えたあと、アリサは大きく息を吸い込み――



「ユーシスー!」



― ユーシスー! ユーシスー! ユーシスー!…… …



大声で想い人の名を叫んだ。声が島に当たって木霊こだまとなり響き渡る。


もし想い人が島にいれば何か反応があるはずだ。



……

……



しかし想い人からの反応は何も無い。



「ユーシスー!」



― ユーシスー! ユーシスー! ユーシスー!…… …



アリサは何度も何度も想い人の名を叫ぶ。


しかしやはり反応は無く静寂が広がるだけ。


アリサの顔は次第に青ざめ、可哀そうなくらいカタカタと震えだした。



「大丈夫、多分死んじゃいねーよ。もし想い人がここに飛ばされたとしても、それは少し前の話なんだろう?流石に移動してるって」


「うん……うん……うえあああん」



あーあ、泣き出しちまった。


気丈に振る舞っていたけど、実はいっぱいいっぱいなんだな。


俺はアリサの震えを止めてやろうと思い、肩を抱こうとした。



― スルリ



それを華麗に躱すアリサ。



「ケンツさん最低です!どさくさに紛れて何をするつもりなんですか!」



あんたホントにガード固いね……


つーか本気で警戒しないでくれる?地味に傷つくんだけど。


如何わしい事なんて考えてないから。真面目に慰めようとしただけだって……


そりゃ流れ次第で、オッパイの一揉みくらいしたかもしれないけどさ。


そうやってゴチャゴチャしているうちに、アリサはようやく落ち着きを取り戻した。




「ねえ、あの島にはどうやって行けばいいと思う?」


「ああ、それならラミアの森に点在するダンジョン(地下迷宮)の一つに転移装置があるそうだぜ」


「なんだ、行き方を知っているんじゃない!早く言ってよね!」


「それがなぁ、点在するダンジョンの場所は全部分かるけど、どれが転移装置のあるダンジョンかは分からねーんだよ。幾つかは入った事はあるんだが……」


「ほぼシラミツブシに当たるしかないわけ?」


「まあ、そう言うこったな」


「じゃあ早く案内してよ!」



よほど焦っているのだろう、アリサは必死の形相で俺を急かした。言葉もいつもと違って荒い。


無理もない、あの島にこいつの想い人が倒れているかもしれねーんだ。そりゃ焦り逸るよな。



「こっちだ」



俺は今いる場所から一番近いダンジョンへと案内した。



「ここが一番近いダンジョンだ。すぐ近くにもう一つある。どちらも規模は大きくはないが、それなりに魔物は出るぞ」



斜面に構えられている横穴式のダンジョンだ。



「わかった。じゃあちょっと行ってくる」



アリサは地上装備のまま、お構いなしにダンジョンに入って行こうとする!



「待て待て!流石に無謀だろう!」



アリサの無謀・無鉄砲ぶりに、俺は流石に慌てた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうに「いいね」機能が実装されました!
いいね」は評価には一切関係がなくランキング等には反映されませんが、
付けられると嬉しくてモチベアップするかもしれません。
良ければ宜しくお願いします♪



ティラム逃亡記

【追放した側のファンタジー・英雄ケンツの復活譚】と同一世界・同一時間軸の連載中姉妹作品。
【ティラム逃亡記側】では第七章で主人公ユーシスとヒロインアリサがケンツと遭遇します。
【追放した側のファンタジー・英雄ケンツの復活譚】の休稿日は、どうぞこちらの第七章をお楽しみください!

【ティラム逃亡記】
幼馴染が聖女に覚醒したので勇者にストーキングされてます。現在全力逃亡中!
https://ncode.syosetu.com/n6702fz/



小説家になろう 勝手にランキング
♡♡♡♡♡♡♡♡
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ