転移魔術の影響
「よっしゃあ、帰ってきたぞー!」
魔方陣を起動させた祝二は無事現代に転移を成功させた。
「いやぁ、長かった。10代の2年は長いぜ。まあ、無事に転移成功してよかったぜ」
転移成功でテンションが上がっている祝二は周囲のざわつきも耳に入らない。
「それにしても、ここは何処だ?ビルも多いし都会なのは分かるが・・・」
「ちょっとー!!アンタ何してるの!!こっちに来なさい」
不意に後ろから声を掛けられ引っ張られる。
「は?え?なに?」
祝二の困惑も他所に声の人物は周りの人だかりに声を張り上げる。
「みなさーん、映画研究会の撮影でしたー。びっくりさせてごめんなさーい」
祝二はそこで自身を引っ張る人物にやっと目を向ける。
それは年齢は自分と同じぐらい、艶のある長い黒髪を靡かせる女の子だった。
「ちょ、ちょっと俺を何処に連れて行くんだ?」
「いいから来なさい、詳しい話はそこで聞くわ」
そう言われては、土地勘の無い祝二は彼女に黙ってついて行くしかないのであった。
―――秋葉原 某ビル
「ここは?」
「秋葉原の私がお世話になっているお店よ―――」
彼女の言葉に祝二は周りを見渡した。そこは、家電部品が雑多に置かれた店の様だった。
「―――で、アンタ何者?」
そう問われた、祝二は彼女に向き直る。
「俺の名前は暁 祝二、言っても信じてもらえるかわかんないけどアヴァロンって呼ばれてる異世界に3年前に召喚されて、今さっきこっちに帰ってきたんだ」
「っはぁ~?そんなの信じられる訳ないじゃないの!そもそも私が聞きたいのはさっき聞いたことの無い様な音と一緒にアンタが現れた訳よ!」
「んなこと言われても、ありのままを伝えただけだぜ?あーでもすごい音は転移魔術が原因だな。一応次元を超えた訳だし?」
「はぁ、話が進まないから一旦異世界の件は保留にするわ。それで、転移魔術ねぇ、アンタが自ら魔術師を名乗ってくれるなら話が早いわ。魔素についてどう説明したかとおもっていたのよ。で、さっきの転移魔術とやらで、一番の問題、あたしが血相を変えて駆け付けたのは、今現在周囲の魔素が急に無くなったからよ」
「ん?ちょっと待って。
【解析】
本当だ発動しない。てことは、それも転移魔術のせいだわ、すまん」
「すまんじゃないわよ!!ただでさえ、魔素が少ないのに、この辺の魔素回復にどれだけかかると思ってんのよ!?」
「いや~まさか、こっちの世界がここまで魔素少ないと思ってなくて。転移術式も改良が必要だな。これじゃ、こっちから向こうに行くのが難しくなるもんな」
「なに、一人で納得してるの!後で魔術協会にしっかり説明してもらうからね!」
「やっぱりこっちにも魔術関連の組織はあるんだな。ところで、そろそろそっちの自己紹介してもらってもいいか?」