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何がおきた?

都市ゲラルドに来て三日がたった。

毎日何をしているかというと、もはや日課となったスキンシップ…もといおさわりタイムである。


「ふにゃあ~……お兄ちゃんの手がやっぱり気持ちいい~」

もはや俺はレダ専属の相手になってしまった。

お父さん達は…


「ど~お?あなたはここが弱いのよねぇ?」


「うはぁ!そこ、そこはかなりヤバイ‼︎」

夫婦でのスキンシップを交代で毎日飽きもせず続けていたのである。

幸い、前回みたいな[夜の営み]に性欲を発散させずにすむので、これは良い傾向かもしれない。


もしこれを他の猫族達に広めれば、少しは犯罪に手を染めたり殺し合いをしなくてすむのではなかろうかと俺は考え始めていた。

だが、今優先してやっておきたいのは自分のできる魔法の可能性をいくつか見つけておくこと。

確かお母さんが光と水の2属性で俺が土、水、風なら相性が良いらしいから、初歩的な魔法を習うなら本を読んでみよう。


できれば小さい子供向けに覚えられる魔法についての本がこの都市にあることを願いつつ、魔法を覚える本を買いに行こうかと考えている事を伝えると…


「じゃあ、レダが教えよーか?」

と、両目を輝かせながら言ってきた。

お父さん達も「何の話?」と聞いてきたので、レダが魔法の使い方を教えてくれるらしいと伝えると自分達もせっかくだから一緒に覚えたいと言ってきた。


レダも二人がやりたいと言ったのが嬉しかったのか、笑顔で「良いよ!」と言ってくれた。

早速みんなで支度をして練習しても迷惑にならない森へ行くことにした。


ついでにギルドへ寄って、何か依頼が貼られてないかチェックしていると竜族のおじさんが声をかけてきた。


「おうあんたらか、調子はどうだ?」


「ようギウル!何、森で家族とトレーニングするついでにモンスター討伐の依頼も見ていこうかと思ってな」


「なるほど、それは良い考えだな。この辺のモンスターは滅多に都市に近づいて来ることは少ないが、せいぜい出ても弱いやつばかりだからちょうど良い的にはなるだろう……とは言え、あんたらも油断しすぎないようにな?」


「分かってるさ」

そんな感じでお父さんと竜族のおじさん…[ギウル]さんが会話もそこそこに切り上げ、そのまますれ違っていく。

俺はその様子を見届けてから依頼のボードを眺めていると、気になる依頼が貼られていた。



緊急依頼![毒スライム10匹の討伐]…ランクは問わず!



「お父さん、この依頼って厳しいのかな?」


「毒スライムか、こいつは体当たりだけではなく毒液を遠くに飛ばす厄介な奴らしいな。

先日聞いたギウルからの話によると、ベテラン冒険者もスライムだからと油断した為死人が次々と出ているらしい。」

マジか…それは捨て置けないな。


こいつらを倒しておけば俺たちも別の依頼をこなしやすくはなるが、みんなはどう思うか…


「私やレダも受けて大丈夫よ?ね、あなた」


「ああもちろんだとも!ただ、もう少しこいつの情報が欲しいな……」

お父さんがそう呟いていると、ギルドの入り口から死にそうな顔の猫族女性冒険者に肩を貸した、同族の男性冒険者がフラフラになって入ってきた。


「た、頼む!誰か治療できる人を呼んでくれ…彼女が死んでしまう‼︎」

突然の状況に、ギルドのみんなが何事かと見始めた。ギルド職員は慌てて駆け寄り何があったかを尋ねてみると毒らしき濃い紫色の液体をかけられたのか、見るからに弱り果てている。


「毒スライム討伐の依頼で出てたんだが、彼女が奴に死角から毒液をかけられてしまったんだ!誰でもいいから毒消しできる者を呼んでくれ、頼む!」

スライムって、そんなに賢いモンスターだっただろうか?

大抵は防衛目的が主な気がするが、なんにしてもこの状態の冒険者をほっとくわけにはいかない。


収納魔法をポーチ越しに使って、見つけられるかどうか念じたらちょうど一つだけあった。

これを調合すればなんとかなるかも知れないので、レダにしばらく回復魔法をかけてもらうよう頼んだ。


「分かった!」


「頼む!ナルガスできるか?」


「やってみる!」

急いでポーチから調合セットを取り出し、作業に入る。

手順は薬草を回復薬に変えるのと同様、すりつぶしてお湯に入れかき混ぜてから冷ます。


これらの動作を、水魔法スキルを持つ俺とお父さんの火魔法、更に俺が風魔法を駆使して手早く完成させてから急いで女性冒険者に飲ませた。


すぐには効かないとは思うが、じきに落ち着くはず。

男性冒険者とギルドの職員が、動けないままの彼女を休ませる場所へと運んで行った。

俺達はレダを労ったあと、毒スライムへの対策を考える事にした。


「…なんか、思った以上に危ない相手みたいね。どうする?もう少し毒対策してからこの依頼を受けてみない?」


「そうだな、俺はあの冒険者の気持ちが落ち着き次第事情を聞いてみる。三人は雑貨屋で毒消し草の調達と、毒スライムの特徴を調べてみてくれ」


「「「分かった(わ)!」」」

そして俺達は一旦ギルドを出て、まずは雑貨屋にいって毒消し草があるか尋ねてみることにした。


「すまんのぅ、毒消し草はもう品切れなんじゃ」


「えっ⁉︎なんで?」

レダが大声で驚いてると、店主の犬族爺さんが重い口調で教えてくれた。


「実は一ヶ月前から毒スライム討伐に挑む冒険者が大勢買い占めておるのじゃよ。

なんでも、自然に生えている毒消し草をおかしなことに毒スライムが食べていると言うんじゃ!長いこと冒険者達の話を聞いてきたが、こんな事は初めてじゃて。」

その毒スライム達はどうやら、他人から見ても異常な変異固体なのかもしれないな。


となるともはや、スキルポイントを使って解毒魔法を獲得できるか調べてみるしかない。


良かったあったぞ![ケアルー]と言うのか、早速スキルポイントを使い取得した。

二人にも教えたら、早速取得してくれたみたいだしこれで誰がかかっても毒の回復はできる。

治癒魔法ができるのはレダとお母さんだけだ。

おそらく件の毒スライムが従来のモンスターとは比べ物にならないくらい賢い存在ならば、二人が狙われる可能性も考えなければならない。


後は、図書館か本屋みたいな所があるとありがたいな。


近辺を三人で歩いていると、ちょうど噴水の見える通りに立派な教会が見えた。

神父ならもしかしたら、毒スライムみたいな状態異常持ちモンスターの話とかも分かるかも知れない。


「おやおや、どうかされましたか?」


「はい……実は、普通の毒スライムに関する事を調べているんです。

今ギルドで貼り出されている毒スライム討伐の際に他の冒険者達が被害にあっていると聞いたものですが、毒スライムはそれが普通なのでしょうか?」


「…それは違います。一ヶ月前から貼られている例の毒スライムは、はっきり言って異常です!

本来の毒スライムは、襲ってくる相手や獲物を仕留めるときはゆっくり近づいて短い距離から毒液を相手にかけて弱らせてから、じっくり捕食するスライムです。

…が、聞けば遠くにいる相手を積極的に狙い、更に動きが素早く毒消し草を食うとのこと!」

おいおいマジかよ…モンスターの突然変異じゃないか?


それってこの都市の冒険者が減りかねない状況だぞ?


「そんな恐ろしい毒スライムがいるなんて……」

お母さんは驚きを隠せないでいるけど、どうしたものかな。森ごと焼き払うなんて愚策をしようとする連中も出てしまうかも知れないし。


「神様に相談してみようかなぁ?」

俺は思わず口に出した。


「お兄ちゃん、神様とお話してくれるの?」


「ああそのつもりだよ、久しぶりに話したいし」


「なんと!神様と話ができるとは……ではあなたが神官様が仰られていたナルガス様では⁉︎」


「えっ?は、はい……そうですけど?」


「良かった……神様は私たちを見捨ててはおられなかったんですね!」

あれれ?なんか大げさな話になってる?


「どうぞナルガス様、神様からの智恵をお聞きになってください」

神父さんは奥の幕に進むよう丁寧に促して来たのけれど、実際[神々の智恵]でも助言は得られるんだけどね。


とりあえず、久々に会話したいから行くだけなので深い会話はしない……はず。


「そうだレダ、良かったら神父さんと一緒にお母さんが魔法を身に付けられるよう教えておいてくれないかな?」


「はーい!後でお兄ちゃんにも教えるからね」


「ありがとうレダ」

早速祈りの間に入り、神様に祈りを捧げた。


------------------


「よお、なる……いやもうナルガスだったか。元気そうで何よりだな」


「はい、神様も元気そうで。今日はちょっと聞きたいことがあって……」


「わかっている……毒スライムの事だろ?あれの事でちょっと言いづらい事があってな。」


「どうかしたんですか?」


「実はその毒スライム達はな……みんな日本の転生者なんだよ。」


「な、なんですと⁉︎何故そんなことになってんですか‼︎」


「いやまあ、今回の転生は俺の意志とは関係なくどうもお前らの世界の神様が一方的に送ってきたみたいでな?」


「何だってそんなことを……」


「頼むから落ち着いて聞けよ?そいつらは生前まで人をなぶり殺しにした凶悪な犯罪者たちだ、

向こうの神が言うには、『こちらの世界で裁くよりも、そちらの世界で他人を虐殺できぬ弱者として生き悔い改めてもらいたい』だそうだ……って、んんん⁉︎」


「ふざけるなよ、何が悔い改めてだ……こっちの世界に来てまで冒険者のみんなを積極的に毒殺するような非道な連中を、俺は認めねぇ‼︎」

俺の体から真っ赤な怒りのオーラが立ち込め続けているのを見て神様はすかさず止めに入る。


「バカヤロウ‼︎」

ガツン‼︎っと大きい音であれど、ひどく鈍い音が神の間周辺に響き渡っていく。


「あいだ⁉︎」

神様からの重たいげんこつを頭のてっぺんからじかに受けて、その場をゴロゴロ転がる俺。


「何で殴るんですか⁉︎」


「お前の怒りからくる力は、お前が大事にしている家族までも死への道連れにしかねないものだからだ‼︎」


「⁉︎」


「……教会の昔話を、家族から聞かせてもらった事はあるだろ?お前がもし怒りのままに暴れると、この世界で語られている[鬼ねこ様]と呼ばれる奴と全く同じになっちまうんだ」


「ど、どうしてですか!転生者の俺と鬼ねこ様っていう存在と、なぜ関係があるんですか?」


「昔…お前と似たような奴がいてな、そいつは猫や犬等の動物が好きな奴だった。

だが、そいつが暮らしていた所でその時代にいた種族達が口々にこう言っていた。」



[あれは化け物だ早く殺せ‼︎]


[こんな怖いやつをおいてたら安心して眠れねぇ]


[強すぎるやつなんかいなくなれ!]


「……と、好きな種族達に言われ続けその種族達の身勝手さに怒りを覚えて皆殺しをしようとしたが、最後は全ての種族が力を合わせた結果そいつは封印された。

その時のやつはある一つのスキル熟練度がsssになっていた為に[鬼猫]へと変化を遂げてしまい、非常に恐れられて封印された。

これが[鬼ねこ様]の話の真実だ。」


「……嘘だろ?」

本当に信じられない話だ。好きな動物達に殺されそうになって、その上真実を隠されて今日まで誰にも知られずにいたって言うのかよ……余りにも酷い。


「本当の話だ。ついでに言うと、モンスターの行動はお前が生まれた時期……その日がちょうど奴が封印された日で魔王と呼ばれる存在となった。

同時に、元人間だったあいつとがお前もつ恨みの力が引かれあいはじめているんだ。」


「んな⁉︎」


「分かったか?お前の怒りが膨らむほどアイツの目覚めが早くなっちまう。

だから、強制的に転生されてきたバカどもではあるが殺さずにこらしめてやるくらいにしてやってくれ……怒りも裁きも俺が全て受け持つ。だから、この通りだ!」


「えっ!ちょっ……神様、頭を上げてくださいよ!そんなことされたら俺困ります‼︎」

なんと、神様が両手をついて頭を下げながら懇願してきた⁉︎


こんなの前代未聞だぞ?ともし他の者が見たら間違いなく言ってる光景だったろう。


「わ、分かりました!とりあえずこらしめるだけにはしますから顔を上げてください‼︎」


「……そうか、そう言ってもらえて良かった」

今にも泣きそうな顔をしている神様が俺の前にいる。


それ程までにその人への後悔が大きかったのだろうか、ここまで心を痛めている姿を見ていた俺は改めて心から決めることにした。


「はい、俺は怒りで我を忘れる事は絶対にしません!

あなたからもらったスキルと、俺に備わったスキルを用いて種族同士や猫族同士のいざこざを解決できるよう、できる限りやってみます。

その為にまず、転生した毒スライム達に対して何をすれば良いか教えてください」


「分かった…今から言うことをあとで家族達に伝えてくれ」


「はい!」


「まずは、やつらの居場所を掴んだら身を隠せるところを探し、移動できたら動かずそこにいろ。

そして天井に穴が開いた広域結界をそいつらに貼れ

その後で俺がそこにだけ大雨、もしくは雷を落とすからそいつらに落ちたのが見えたらすぐに穴を閉じろ!」


「おお!すごい方法ですね」


「それをやるには、お前達家族がやらなければ成功できない」


「分かりました、必ず伝えます!」


「……頼むぞ」


------------------


祈りから戻りレダ達のもとに戻ってみたら、なんかとんでもない展開になっていた!


「おお!ナルガス様‼︎」


「あっ!お兄ちゃん早く来て‼︎お母さんの魔法がいっぱい出てきてすごいの!」

レダと神父の話を聞くと、お母さんがどうやら魔法を使えるようになったみたいなのだが、水魔法はほぼ全てマスターしていて特に光属性の魔法がすごいらしい。


主に回復と結界術が凄まじい性能になっているらしく、結界においては神話級の強度を誇っていると特に神父さんが興奮しながら話していて、思わずこっちが引いてしまうほどの迫力だった。


「うはぁ、神様の言う通りこの家族だけでなんとかできそうだな。」


「なんと!神様は何を仰られていたのですか?」


「詳しく話すと長いから簡単に言うね?

1.俺達家族だけで連中の居場所を見つけて、やつらがいる周りを天井に穴が開いた広域結界で囲む。


2.そのあと神様がそこにだけ大雨もしくは雷を落としたあと連中を閉じ込める。


3.最後は結界の天井をも閉じてやつらを電気だらけで弱るまでこらしめる……だって」


「「「……えっ?」」」

まあそんな反応するのは当然だろうから補足の内容を伝えた。


その毒スライム10匹は俺のいた世界の犯罪者達であり、この世界でこらしめてもらうよう転生させたという事実を伝える。


「こらしめる……ねぇ、私たちからしてみればそんな連中は死んだ方が安全な気がするのだけれど、神様が決めたことなら従うしかないわね。」


「ねぇ、こらしめるってなに?」


「それはねレダ、悪い子の中には言葉で怒っても言うことを聞いてくれない子も多いの。

ぜんぜんやめてくれない相手にだけ、嫌だと感じる事や痛い事をその子達に少しして反省してもらうのよ?」


「そうなんだ!じゃあこらしめれば悪いことする人は悪さしなくなるなら、私いっぱいこらしめてあげる!」

満面の笑みで恐ろしいことを口走ってるよこのレダは⁉︎


お母さんもどうしたら良いか分からなくなってるし。


「レダ、こらしめるのはどうしてもって時だけにしとこうね?あまりやり過ぎちゃうと、鬼ねこ様が顔を出して来ちゃうからね?」

もちろんウソだ。


「お、鬼ねこ様来るのはヤダー!」


「ウフフ!よしよし」

お母さんに抱きつくレダと、それをあやすお母さん……和むなぁ。


「ナ、ナルガス様?そこで何故鬼ねこ様のお話……を?」

神父が疑問を言い終わる前に、俺は人差し指を口にそえてシーッと伝えてから俺達と神父様にだけ聞こえる声で話す。


「その辺の話は毒スライムの撃退が終わった後で話に来るよ。そのときは家族全員にも聞いてもらいたいから」

コクッとみんなが静かにうなずいた。


これを話すと、教会で語られている神話の真実に関わることだから転生者の事を知ってるものとだけ共有するほうが良い。


教会を後にした俺達は、お父さんと冒険者ギルドで合流した。そして今回は討伐ではなく撃退することと、念のためにスキルポイントを使って解毒魔法ケアルーをとることを勧めたのである。


「なるほどな、今回はこれ以上被害を出さないでもらえるよう、こらしめるだけにとどめるということか…分かった!その案に乗ろう」


「ありがとう、お父さん」

こうして、神様と俺達家族だけで行う撃退戦が行われることになった。


一番気がかりなのは、俺は毒耐性がすでに備わっているから連中の攻撃を受けても対して問題は無いが、家族は当たると危険が大きい事。

スキルと知恵の使い分けがこの作戦で強く求められることになるだろう。

明日の出発に備えて、今日は万全な状態で準備しておく。


できれば転生者達が素直に謝って改心してくれると良いんだが……

「地球から転生してきた毒スライム達を懲らしめてほしい……」

神様からの無茶なお願いを聞く事にしたナルガス達一家は、対策を準備し終えたので翌朝出発することとなった。


果たして件のスライム達は、素直に聞き入れてくれるのであろうか?



ちょくちょく改稿してばかりで、本当に申し訳ありません!

ですがこれも皆さんが無理なく読めるよう配慮したいと考えている故ですので、どうか温かい目で見守ってくださいね!

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