全てがグレードアップ?
「…えっと、どちらさま?」
どうしても目の前に起きていることが信じられなくて、思わず初対面の対応をとってしまった俺。
「おいおいナルガス、お父さん達の顔をもう忘れたのか?」
「そうよ。お父さんもお母さんも普段通りでしょ?(髪をなびかせつつ)」
「お兄ちゃん!私はレダだよ!大丈夫?どこか悪いの?」
「…って分かるかー!変わりすぎでしょ‼︎」
「「「アハハハ‼︎」」」
いやいやそんな笑われましても、本当に別人としか言えないし。
「ウフフ、ごめんなさいナルガス。ただお母さんたちだってとても驚いてるのよ?」
「全くだ。まさか魔力を吸収していただけのあの渦でこうも変わるなんて、俺も想像できなかったぞ。」
「私も、何だか生まれ変わった気持ちなんだよ?お兄ちゃん!」
マジかよ、こんなことがあっていいのか?
百歩譲ってデブが直るのは良い。
だが何故見た目がこうも若返ったり、これほど美形になるのか想像できるはずがない。
「みんながこんなになるってことは、まさか……」
「試しに見てみる?」
レダがいたずらっぽい笑顔をしてお父さんたちと顔を合わせてからステータスを開いた!
ヴォン!
ラルガ レベル50
HP30000(↑) MP6000
スタミナ50000(↑)
攻撃力5000(↑) 防御力6000(↑)
素早さ30000(↑) 器用1000(↑)
習得スキル
回避S(↑) 解体S 罠師C 大剣D
逃走B(↑) 剥ぎ取りS 魔石喰らいS
ナイフB サーチC 炎魔法E
目利きB ステータス閲覧C(↑)
New威圧G New威圧耐性G
称号
無慈悲の狩人 素材回収の権化
脅威の索敵者 商人の目 解体の鬼
一人前魔法使い 回避マスター
敏腕走者 歩く情報解析
レアナ レベル48
HP40000(↑) MP12000
スタミナ60000(↑)
攻撃力10000(↑) 防御力10000(↑)
素早さ40000(↑) 器用900(↑)
オリジナルスキル
大地の囁きD
習得スキル
回避S(↑) 斧S
解体S 逃走C(↑)
剥ぎ取りS ナイフS
魔石喰らいS ステータス閲覧D(↑)
New威圧G New威圧耐性G
称号
鬼神斧使い 素材回収の権化
解体の鬼 無慈悲のナイフ使い
エスケープの達人 回避マスター
一級走者 情報解析のエリート
レダ レベル30
HP10000(↑) MP30000
スタミナ30000(↑)
攻撃力750(↑) 防御力30000(↑)
素早さ20000(↑) 器用500(↑)
オリジナルスキル
賢者の申し子D
習得スキル
爪攻撃F 逃走B(↑) 全属性魔法G
収納魔法D ナイフF NewサーチC
魔石喰らいS 鑑定G 治癒F
ステータス閲覧C(↑) オーラ視A
気配察知E New威圧G
New威圧耐性G
称号
敏腕走者 一流の賢者
いっぱしのナイフ使い 上級索敵者
半人前レンジャー
驚異の第三の目 歩く情報解析
「……………」
変わりすぎてもはや何も言えなくなった。
「お兄ちゃんが作ってくれた空間には、私たちの貯まった魔力がぎっしりつまりすぎててちょっと危ない感じなの。
だから、収納魔法に入れといたからね?確か中は時間が止まってるんだよね?」
「…!あ、ああそうだよ。」
「良かった!」
俺が言える話でもないけど、この家族もなかなかとんでもない存在だな。
「ところでナルガス、森で何か面白いものは見つかったか?」
「うん!でも、家の中だとちょっと狭いから一度外に出ても良い?解体がまだだから」
「ええ」
「おお!」
「はぁーい」
みんなが答えてくれたので、ただちに外に出てあの熊肉を出す。
デン!
「おお!アッシラーかぁ、これはうまそうなものを取ってきたなぁ。」
「本当ね!しかも血抜きまでしてくれてて助かるわ!」
「わーい!熊肉大好き!」
もはや2年前とは大違いの反応である。
「とりあえず、今夜はこの熊肉を食べてこのまま寝よう。
明日から西の国ゲラルド方面に行かないとね」
「「「賛成!」」」
こうして、みんなで食べ応えの良い熊肉を食べて、皆眠りについた。
翌朝
ギシ、ギシッ!…パンパンパン‼︎
「~~~っ!」
「~っ!」
う~ん、何やら朝から騒がしいなぁ……って、レダがベッドのそばに来て俺を揺すって起こそうとしている?
「お、おにいちゃ~ん!なんかお父さん達の部屋から二人の大声が聞こえてくるよぉ~⁉︎」
「…えっ?」
いや待てよ?二人もそしてレダも、体が活力に満ちている状態でグレードアップしている。
おまけに両親の容姿も若返っていて、やれる事と言えば……
「…まさか‼︎」
「えっ!お兄ちゃんどうしたの?ねぇ!」
俺は慌てて飛び起きた後、静かに二人の寝室の中を覗く。
後からきたレダも、俺に習ってこっそり一緒に見た。
「あん!ラルガ、激しい〜‼︎」
「レアナ…まだまだこんなもんじゃないぞ‼︎」
パンパンパンパンパン‼︎
うわっちゃあ~…わかっちゃいたけどお盛んだなぁ。
「ねぇお兄ちゃん、二人は何をしてるの?」
「あ、えと…その。俺達みたいに子供が産まれてくるのに必要なこと……かなぁ?」
多少言葉を濁したが、間違った事は言ってない。
決して、×××(自主規制)とか幼い女の子の前で言うべき話じゃないから!
「とりあえず、二人はまだ忙しそうだから先に着替えて食事の準備だけでもしとこう?レダ」
「???」
レダはまだよくわかってないような反応は見せるが、素直に言うことを聞いてくれて助かった。
部屋に戻り二人で着替える中、仕切り越しにレダが聞いてきた。
「お兄ちゃん」
「ん?どうした?」
ひょっこり顔を覗かせて、俺に聞いてくる。
「私たちも、いつかお父さんたちみたいな事をするのかなぁ?」
ボンッ!っと俺の顔は一気に赤くなって、鼻血がやや出掛けている。
「お、お兄ちゃん⁉︎」
「だだだ、大丈夫大丈夫!ちょっと顔が熱くなっただけだから。」
「えっ、うそかぜなの?」
彼女はしきりを超えて近づいてきて、勢い任せに俺のおでこをピッタリくっつけた。
顔近い、顔近い!顔近いぃ〜⁉︎
どうしよう、間近でレダの美顔を見たら理性が吹っ飛びそうなくらいたまらない‼︎
「熱はない…みたいだね。本当に大丈夫?」
「ああ、ありがとうレダ」
「うん!」
何とか理性を保てたけど、もしもレダがもう少し大きくなって大人っぽい色気を出してきたら、間違いなくお父さんみたいに抱きそうだ。
とりあえず食事の準備するために、二人で手分けして作業をしていたらようやくアツアツ夫婦がやって来た。
めっちゃ顔が火照ってる…
「あら!ありがとうナルガス、レダも準備してくれて助かるわ」
「二人ともありがとうな!」
「う、うん」
「おはよー!」
以前は俺が収納魔法から食材を出していたが、最近はレダも出してくれていて、今ではすっかり使いこなしている。
「そういえばナルガス、あなた西の国[ゲラルド]の町の名前は聞いた事はある?」
「ううん、ないよ」
「俺はあるぞ?」
「本当?おとうさん」
「ああ、[ルードス]って名前らしいんだが、何でも猫族以外の種族がまとまって暮らしているらしい。噂では、猫族が足を踏み入れたら二度と帰らんと聞いたが……」
マジか。確かに猫族に支配され、虐げられてきた分恨みは強く残っているのだろう。
今の俺たち家族の強さなら恐ろしいほどの強敵が出ないかぎりは、とりあえず大丈夫な気はするがなるべく穏便に解決していきたいものだな。
家族にはまだ内緒だが、あのとっておきの土産物を天使様は使いなさいと言ったんだから、その望みにかけてみよう。
「あなた、あまり乱暴な事は…」
「もちろん分かっている、ひとまずは会話が出来るかどうか確かめよう。」
「わたし、何かできることあるのかなぁ?」
レダは、戦う以外の方法が分からなくて戸惑っているみたいだな。
「大丈夫だよ、レダ。行けばきっと分かるから」
そう、神々の智恵で言われたんだからきっと大丈夫。
みんなで美味しいご飯を食べ終え、早速出発準備に入る。
西の国に行くには、その方角の森を突き進めば行けるだろう。
少なくとも、油断せずに向かえば俺たち家族は無敵だし。
森の中を、まるでジョギング気分でひょいひょいと軽く進んでいく俺たち。
レダなんか5歳だと言うのにうんと高く飛んじゃってスカートの下が見え…ゲフンゲフン‼︎
「ん?」
レダが不思議そうにこっちを見てきたので、冷静を装って声をかけてみる。
「レダ、あまり高く飛ぶと枝に顔をぶつけるよ?」
「だいじょーぶ!何ともないよー。」
今度は尻尾で枝に捕まってくるんと回転してから跳躍……それを得意気に繰り返していた。
冷や冷やさせてくれるよまったく。
結構な時間進んでいくと、おかしなものが地面に刺さっているようだ。杭みたいなものの上に、何か布らしきもので先端が包まれていた。
「??」
みんなが気になってそばに近づき、上をおおっている布をとってみた次の瞬間……
「「ヒッ‼︎」」
「「………⁉︎」」
布を取ったその中身は、なんと猫族の生首がてっぺんに刺さっていたのだ!
多分、これ以上入ってきたらこうなるという意思表示なんだと思う。
ここまでえげつない物を見せられたら、気分が悪くなって動けなくなるのは避けられない。
「ウッ!ゲホ、ゲホ‼︎」
「ウエーン!」
お母さんもレダも心が乱れてしまい、お父さんは二人のそばに寄り添っている。
俺は怒る気持ちを堪えつつ、サーチを発動し近くに誰かいないか警戒する。
その間、怒りを我慢しすぎか尻尾をすごい勢いで左右に振り回していた。
幸い、近くには連中が待ち伏せしている様子はない……
「みんな、大丈夫?」
俺の声は静かだが、怒りに満ちていた。
「大丈夫、とは言えんがなんとか動ける…」
「「うぅ………」」
この調子ではこれ以上進むのは良くないのかも知れないが、どうしたものか
「ナルガス、気を張り詰めすぎるな。」
「……分かった、お父さん」
「二人とも立てるか?行くぞ」
「「はい…」」
本当はこのまま強行して良いのか分からないが、こんな状態の二人だけ帰らせる訳には行かないとお父さんは判断したらしい。
気を取り直して進み続けていくと、見えない壁のようなものに当たってその先に行けなくなった。
これはまさか、結界ってやつなのか?結界魔法の解除なんて知らないしどうすれば良いんだろう。
「私に…任せて。」
レダが弱々しくそう言ってきたので、無理しない方がいいと言ってはみたが…
「大丈夫お兄ちゃん。いちおー私は賢者だし結界の解除くらいなら多分負担にはならないから、やらせて?」
「わ、分かった。」
「スゥー……ハッ!」
パリーン‼︎と、空気中に甲高い破裂音と同時に何かが崩れ落ちて行くのを感じた。
「すごいわ!レダ」
「うん…ありがとうお母さん。」
全く大したものだ、これは俺も簡単に追い抜かれそうな勢いで強くなってる。
正直うかうかしていられないし、後日から俺専用のトレーニングでも考えてみるか。
結界は消えたが、皆用心して前に進んでいくと少し先に小さな町が見えてきたが、あれが[ルードス]かもしれない。町の入り口に差し掛かろうとしたら、大勢の異種族達が立ち塞がるように集まってきた。
思わず俺たちも身構えていると、奥からリーダー格の犬族が姿を現してきた。
「ようこそ猫族ども…我が町に何のようだ?」
当然ではあるが、滅茶苦茶殺気を飛ばして来てるな。
まあ、いいことしたことがなかったんだということがこれを見て嫌でも分かってしまうのが内心辛い。
「待ってくれ、俺達は殺し合いに来たんじゃない。」
「ふん!騙されるか。猫族どもはそう言っておきながら、俺たちの町を幾度も潰しにきたんだ!そんな言葉を2度と信用する気はない‼︎」
「……同胞のしてきた罪は償いきれるものではないが、俺達は本当に話をしに来ただけなんだ。頼む、武器をおろして欲しい。」
ガチャ、ガチャ‼︎
そう言ってお父さんは武器を彼らの前に投げ捨てたので、俺たちも習ってお父さんの真似をする。
「……本当に敵意は無いようだな。良いだろう、聞いてやろうじゃないか」
(あ、あなた何か考えがあるの)
(いや、正直何も考えてなかった。どうしたものかな)
無いのかよ‼︎
仕方ない、出たとこ勝負だけどやってみるか。
(お父さん、僕に考えがあるんだけど良いかな?)
(な、何か良い方法があるのか?)
(とりあえずできることだけをしてみるよ。)
「…おい、いつまでひそひそ話をしてんだ?」
威圧が少し混じっているくらいの迫力で、犬族のリーダーは問い詰めてくる。
「ごめんなさい、こんなことを聞くのは良くないかも知れないんだけど誰か具合の悪い人が一人いるの?」
「…⁉︎何故そんな事が分かる!」
「実は僕、オーラ視というスキルを持ってるんだけど、それでみんなの体にまとう気配の色みたいなものが見えているんだよ。
ちなみに妹のレダも持ってる…ね、レダ?」
「う、うん!なんか村の奥の家からかな?すごく弱ってる感じの人がいるみたい」
「ち、長老様の様子が分かるのか⁉︎」
「う~ん…その長老様って人がどんな病気かまでは分からないけどね。だから、僕達が持ってる物の中に役に立つものがあるかもしれないんだけどどうする?」
「ッ!」
「…お兄ちゃん、なんか少しずつ色が縮んでるよ?」
「そんな馬鹿な⁉︎長老様がそうそういなくなってたまるか‼︎」
「うぅ!」
「ちょっと!娘に当たらないで‼︎」
「お母さん…」
「ぐっ!」
犬族のリーダーはどうして良いかわからず困惑している。
「まずは、息子が言うように様子を見せてもらいたい。うちの子供はそこいらの猫族よりもとびっきりすごいから」
お父さん、変にそこを強く推さないでよ恥ずかしい。
「分かった……今だけはその言葉を信じてやる!だがもしおかしな真似をしたら生きては返さんぞ」
「分かっている」
俺達が[ルードス]の長老宅を訪れる先には、果たしてどんな結末が待ち受けているのだろうか?
今後、この町民達との交流をどう関わっていくかの命運は俺らの行動で全てが決まることになるのだろう……
猫族以外が暮らす町、[ルードス]。
そこはかつて、ナルガス達の同族らによる行いの為に異種族達が身を固めながら暮らしている、質素な町だった。
犬族のリーダーは警戒を少しの間だけ取る事にし、ナルガス達の話に少しだけ耳を傾ける事にしたのである。
助言した天使が言う通りに、[例の物]をいつでも出せるよう密かに準備するナルガスであった……
読者の皆様方、少しずつ…少しずつ物語の調整をしておりますが、どうかご了承くださいませ(T ^ T)
願わくば一言でも構いませんので、感想かいいねのどちらかでもください。
そうしてもらえれば、もっと頑張れますから!




