表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オールラウンダーズ!! 転生したら幼女でした。家に居づらいのでおっさんと冒険に出ます(web版)  作者: サエトミユウ
王都学園編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

195/366

195話 これからも、今までどおりで〈ソード視点〉

ソード視点です。これにてこの章は終わります。

〈ソード〉

 インドラが、俺を止めた理由はわかっている。

 何より俺のためだ。

 俺がプリムローズを理由もなく殺したなら、俺は捕まるだろう。

 さすがにSランク冒険者の俺を処刑したりはしないだろうが、俺をいいようにする理由付けが貴族たちに出来る。

 罰として、拠点を含めて全財産没収。最悪、貴族どものカモにされ、王都のダンジョンにずっと籠もらされて延々と金稼ぎさせられるだろうな。

 インドラがそれを是としないのは明白だし、シャドを『味方』という名の下僕につけたインドラは、どんな手段を使っても俺を助けるだろう。


 ――そもそもインドラは、そういう面倒を避けるタイプじゃない。

 やりたいようにやり、敵対したら叩き潰す。

 俺にもやりたいようにやることを勧めてくるが、それは俺がすぐにくだらねーことを考え込むからだ。


 今回、インドラが『俺のやりたいこと』を止めたのは、考え込んだ俺の酒量が増えるからだろうな。

 俺が人死にに忌避感があるのをインドラは見抜いてる。


 別に俺だって、依頼を受けたら人だって殺すし、今まで人を殺したことがないわけじゃない。

 後悔だってしていない。でも、そのことに苛まれる。

 ――それでも俺は、インドラのためなら人殺しだってする。

 インドラに酷い仕打ちをしてきた連中を、皆殺しに出来る。

 でも、ソイツらは人殺しをしたわけじゃねーし、インドラに酷い仕打ちをした、ってだけで何の罪もねぇ。


 それでも俺は殺す。

 殺したことに後悔はしないが、罪のない連中を殺して、インドラみたいに平然としていられる俺じゃない。

 それを、インドラは知ってるから止めた。

 言葉だけじゃなくて、俺を一番に思ってくれてるのは、インドラだ。

 ――だからこそ俺は、本当はプリムローズを殺したかった。

 インドラの心の傷を浅く見積もっていた、過去の罪滅ぼしも兼ねて。


 インドラと並んで歩いていた俺は足を止め息を吐くと、インドラを見た。

「……さっきは悪かったな。窓を割ったのはお前だろうが、事情も聞かずに怒鳴っちまってよ」

 インドラも止まり、目をパチクリさせて俺を見る。

 その後、見事なふくれっ面になった。

「……なんだよ?」

 なんで謝ったのにふくれっ面するんだ?

 俺が戸惑って聞くと、インドラはプイと横を向いた。

「お前らしくない。お前は、そんなふうに私のやることに納得するようなやつじゃないだろう。私が悪くないのに拳固を落とすやつだろう。お前は、それでいいんだ! よけいなことを考えず、理不尽に私を怒っていればいいんだ!」


 え。俺の評価って、そんななの?

 ……確かに叱るけどよ、やりすぎだからだよ。

 俺が『手加減』ってモンを教えなけりゃ、誰がお前に教えるんだよ。


「……俺は、お前のために叱ってるんだぜ?」

 お前をそのまま放っておけないからだぜ? お前が闇に堕ちてほしくないからだよ。


 お前は襲ってくるやつを返り討ちにしたいんだろうが、手加減知らずのお前が惨殺して、もっと面倒なことに巻き込まれてお前を慕ってる連中までに波及したら、いくらお前だって後悔するだろう?

 お前が本気で怒っていて好きにしたいなら俺は止めないし後始末だけするけどよ、お前が面白半分でやらかしたことの代償で、万が一お前の大切なものが傷つけられたとき後悔して泣くような目に、お前を遭わせたくねーんだよ。


「わかってる! から、言わなくていいんだ! だいたい、お前がツッコミを入れなければ、私のボケが光らない! だから、お前だけが私を叱ることが出来るんだ! 〝部長〟は〝両さん〟を叱るものだし、〝ナミヘイ〟は、〝カツオ〟を叱るものなんだ! 見放されて叱られなくなったら、〝両さん〟や〝カツオ〟が悲しくてさみしい気持ちになるだろうが!」

 ふくれっ面で横を向いたままだ。


 …………何言ってんのかさっぱりわからねーけど…………。


 しばらくインドラを眺めたあと、脇に手を突っ込んで抱き上げた。

「なにをする!? 下ろせ!」

 珍しく、インドラが赤くなってバタバタ暴れた。

 俺に蹴りをかましてくる。

「暴れるなって。……んじゃ、これからもキッチリ指導していくからな。嫌ならそろそろ手加減を覚えろよ」

「いいから下ろせ!」

 バタバタ暴れるインドラは、小僧っぽさがあってかわいかった。


 長々と引き延ばしてすみませんでした。

 これにて学園編を終わります。


 この学園編、特にお待たせしていた後半に、インドラのいじられがめちゃくちゃ多かったのでした。インドラのいじられを好まれない読者様が多いようだったので、書き直しを決意した次第です。

 スカーレットの人気が上昇して良かった……。


 次から新章に移ります。拠点に帰りますよー!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

2021年9月10日 カドカワBOOKSより発売

オールラウンダーズ!! 2 転生したら幼女でした。家に居づらいのでおっさんと冒険に出ます


著者: サエトミユウ / イラスト:又市マタロー


+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ