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最強チートの持ち腐れ  作者: 三波 秋弘
国を巡る旅
18/43

エルフの狩人、真の勇者の遺物

なんとか逃げ切った俺たちは静かな平地に着いたのだった、テントを張り俺はその中で寝ていたのだったが急に起こされみんなの元へと向かった

焚き火を囲んでいる皆の視線は一点の場所へと向けられていた。

金髪を揺らしこちらへ向かってくる女性、長い耳に目を惹かれ思わず息を呑む。ファンタジーおなじみの種族エルフ

「君が竜の勇者、呉島朔弥だな?」

「え、ええ。そうですけど…どちら様で?」

「名は開かせない。だが君の味方だ、腕を出してくれ」

必死に頭を働かしアニメや漫画、ラノベなどにこんな展開があったかを考える。思いついた可能性は2つ

このまま腕を治し仲間になるパターンと腕に呪いかけるタイプ、先の会話からして後者の可能性は低いならば治してもらうのが一番だ、腕を差し出すとやさしくエルフは握り背後からナイフを取り出した

まずいと思ったが一瞬の事で体が動かない、だがナイフは肩に一閃しただけで終わったやじりが落ちるのと同時に痛みが走る

「其の慈愛を彼に、ホーリーヒールー」

その詠唱が紡がれると同時に痛みが引き裂かれた肩が治っていく、完全に治ると彼女は何かを手渡した

それを見ると何の装飾も無い小さな鍵だった

「これはいつか君の役に立つだろう。後、先代の勇者からの伝言だ感情の赴くまま動け」

彼女はそう言うと跳躍し夜の森に消えた

何も言えずただ鍵を見つめているとケインが問いかけた

「呉島、さっきのエルフは?なぜお前の名前を知っている?」

「わからん、だけど何で昔の勇者が俺に?」

だが謎は深まるばかり、考えても仕方ないと思い麻袋から材料を取り出す

鍋に水を入れ小さなブロックを入れる、このブロックはこの世界のコンソメのようなもので3つ入りで銀貨1枚

それを溶かし切った材料をぶち込み適当にかき混ぜる、冒険者の大半がこれでパンを浸し食するらしい

「お、旅スープか」

「旅スープって言う名前なのか」

「ああ、旅の途中で作れるものだからな」

器に盛りつけ全員に配ると各々が硬い黒パンを浸し食べる。そのまま食うと歯が折れるぐらい硬いのだがそれなり柔らかくなったので食べれる

「しょぼいな、干し肉でも入れればマシなるか?」

「干し肉入れたらスープが消えてふやけた肉が出来るぞ」

駄弁りながら異世界での初の野営飯はそれなりな味だった



全員はテントに戻って寝ている、俺とケインが見張りをしているのだった

焚き火の明かりに照らされるのは少しだけで森は暗黒に支配されている、障害物は焚き火だけでケインとの心の距離がありなかなか気が休まらない

「あの、ケインさん」

「なんだ」

「前の勇者ってどんな人だったんですかね」

ケインは少し黙ると枝を焚べた、少し火が起き口を開いた

「勇者は4人召喚された、1人は最強の剣と剣技を携えて1人は無限の魔力と全ての魔法を扱い、1人は最強の弓を持ち素早く動きもう1人は武器は無いが物体や概念にスキルと魔法等の全てを創造できる」

最後だけただのチーレム物じゃん、小生にたようなスキル持ってんの?

「最初は4人で組んでいたんだが各地の魔王軍の進軍により分けられた、剣の勇者は王国と帝国の連合軍についていき魔法の勇者と弓の勇者は魔王軍の迎撃、創造の勇者についての文献は残ってない。」

「1つ気になったんですけど、帝国と魔王軍は手を組んでいるんですよね?」

「ああ、帝国が最後の最後で裏切ったからな」

「それなのになかなか攻撃しませんよね?俺らが来てそれなりに日が経ちましたけど進軍したとか聞きませんでしたし…」

ケインはあーというと少し黙りいい出しにくそうに上を向いた

「面倒くさいんだこれが。帝国は帝王がいるがお飾りでな、農林や軍隊とかを家臣がそれぞれを担当した

それがそのうち家臣に権力が回ってきて家臣の会議によって大抵のことが決まるんだが、魔王軍を追放するべき派と歓迎派、終戦するべき派と継続派。で少しでも動けば内戦や反逆が起きるだろうからなかなか動けないらしい」

「じゃあ王国はなんで動かないんですか?今なら攻め放題じゃないですか」

「いくら動けないからと言え帝国は反撃できるからな勇者を召喚して強くなってから攻めるらしい」

面倒くさいんだな、国の政治って。

「他に聞きたいことはあるか?」

「あ、村にいたモンスターと魔王軍の違いってなんすか?」

「そこらにいるのは無関係な奴、魔王軍は魔臓っ言う普通の生物には無い器官があってそれで魔力を作る。簡単な見分け方としては知能があるかどうかだな」

ガサガサと茂みから何か音が聞こえる、静かに肩にかけていたUMPを構える。

「何かいるのか?出てこい」

それに応える様に茂みから姿を現したのは先程のエルフ、だが先程の雰囲気とは違い殺気立っている手には弓と矢を持っている

「もうすぐここに山賊がくる、少し時間を稼いでくれ」

「は?!なんでお前がそれを知ってんだ?!お前グルじゃないのか?!」

ケインが声を荒げる、エルフも何も言わずに辺りを気にしている

「ケインさん、他の奴ら起こしてきてください。すぐに逃げれる様に荷物を積んで」

「ちっ、わかった」

ケインは嫌そうにテントへと向かった、するとまた茂みから音がする。数は5人程、エルフに目をやると弓を引き臨戦態勢だ

出てきた瞬間に撃つ、セーフティレバーをフルにしホロサイトを覗き込む

来るなら来い、出てきた瞬間蜂の巣になってお陀仏だぜ。などと悪態を付くと何かが飛んでくる、UMPで防ぐと、ぼとと言う音がした

石か?

その瞬間反射的に背後に連射する、倒れたのは1人の男

「ちっ、まずはガキをやれ!!エルフは手負いだ、数で押し切れ!!」

「かかってきやがれ、くそったれ」

口からこぼす愚痴、何かが変わっていく、俺の体の中が

茂みからから飛び出したのは矢、手が腰に付けたナイフを収めた鞘に伸びる稲妻の様な速さでナイフが矢を斬り伏せた

そこからは思考より先にナイフを持つ体が動く、小さい動きで矢を落としていく。地面に転がる石を蹴り上げると土が舞う

腰を落として地面を蹴る、飛び出した先は茂み。飛び出す際にUMPを捨てグロッグをもってそれを立て続けに正確に頭に弾丸を放つ

薬莢が落ちるのより早く顔にナイフが迫る、それを交わしナイフの主の足を回し蹴りの要領で足を払い押し倒し首にナイフを突き立てる

するとグランと視線が下を向く、この状態じゃ殺られ

「ぐはっ?!」

腹部に走る熱、痛み

力なく地面に崩れ落ちた俺の上に男が飛び乗る

「手間かけさせやがって」

男はナイフを俺の首元に近づける、それを必死に抵抗するが戦い慣れている男の力に勝てるはずもなく少しずつ押される

バァンと銃声が鳴り響く、ケインたちが放ったのだろう。それに気を取られた男の力に緩んだ今のうちだと地面に転がる石を拾い上げるそれを男の頭蓋骨に叩き込む

「ゲェ?!」

間抜けな声をあげた男に先程とは逆の状態で何度も石で頭蓋骨を殴る。ばき、ばきと言う音はぐちゃと言う音に変わった

「ふぅふぅ!!」

獣の様な呼吸が聞こえる、だがそれが自分の呼吸と気づくのに時間はかからなかった。

「くそが!かかってこい!!!ぶち殺す!!」

また何かが変わった、口から零れる怨嗟の声がまるで自分以外の誰かが何人もいる様に感じる

今年は一ヶ月に三回は投稿できるようにします

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