旅の用意と王国の外
まずは背後に回ることが重要だ、地面を蹴り間合いを詰める
「遅い!」
ケインは盾を前に突き出す、それに気を取られ体勢を崩したそれを逃すさずケインの剣での連撃
間一髪のところで避けれたものの背後に回ることは予想済み、かなり戦闘慣れしている盾の長所と短所を完全に見極めている
「呑んだくれのナンパ野郎じゃねぇか」
どうする、盾側に避けて攻撃か?それと剣を持つ腕にナイフを当てる
まぁどっちでもいい、とりあえず突っ込まなくては攻撃できない
(儂の出番はないのか?)
「無いに決まってんだろ、仲間を食われてたまるか」
アリサにそう伝えると何も言わず消えた
ケインに近づき砂を投げる、盾で防がれたがこっちも見えてないはず。盾の後ろに回りナイフを突き出す
しかし喉元にケインの剣が迫るが当たらず背後は見えてない事がわかり剣を持つ手の甲をナイフで叩き落とし背中に蹴りを入れる
体勢を崩したケインはとっさに盾で殴ろうとするも空を切りあっけなく地面へ倒れた
「俺の勝ちだ」
首元にナイフを当てると審判が叫んだ
「勝負あり!!!!勝者呉島!!!!」
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「ケインだ職業はガーディアン」
荷物をまとめ城の部屋に住むことになったケインは不機嫌そうに自己紹介した
「でこれからどうする?ダンジョンを攻略しながらレベルを上げるのは当然だが、城から移動じゃ時間がかかる。城を出るときに金をもらっても途中で尽きる」
リックが今後のことについて話し出した、どうするも何もドミナスぶっ殺して元の世界に帰るだがその事を知られてはいけない、騎士団長がこの事は国家機密だから御内密にと口止めされている
「ギルドでクエストを受ければいい、だが移動はどうする?野営設備を持って徒歩はきついぞ」
桐生は机に頬杖を付き言った
「この城に訓練用の馬が数十匹いる1匹ぐらい大丈夫だろ」
「そうなると、あとは野営の設備と武器と防具を整えればすぐにでも出れるな」
ちょっと待ってろと橘が立ち上がり部屋の外に出て行った
「まずどこに行く?ダンジョンに行くとしてもやっぱりここから近いほうがいい」
どこから出したのか机に地図を広げたリックは王国の場所を指した、近くには森、海、山少し遠いが谷や砂漠、雪山まである。どこにドミナスがいるか…
「森の方に行くか、クエストで金が貯まったら山とか海に行くか」
よくゲームでは山などは特殊な装備を揃える必要がある、消去法で森のダンジョン
こうして俺達の旅が始まったのだった
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俺らは王国の商店区、露店が立ち並ぶ表通りと商店がある裏通り
裏通りという名前でありながらも活気で溢れ店も多い、逆に表通りは詐欺まがいの露店があり冒険者と店の者の間で問題が起きるのは珍しくないらしい
ケインは騎士学校へと一度戻ってリックとエルザ、俺と桐生、橘だけだ
リックについて行くと小さな武具店へと着いた、中には鎧や剣などが所狭しと並んでいる
中に入ると木の落ち着いた匂いが立ち込める、ナイフや短剣が並んでいる所を見ていると気になるものがある
鉄の刃のナイフの中に少し銀の混じった紫のナイフ色も関係があるのだろうかとても強そうに見える
「それは魔鉄を使ったナイフだ、他の武器と違ってエンチャンターじゃなくても魔法をかけれる品だ」
「うわっ?!」
背後から急に話され驚き後ろを振り返る、声の主はあごひげを伸ばした男だった
「あ、おじさんどうも」
「おお、ダニエルさんとこの坊主じゃねぇか。どうした?」
リックが今までの事を話すと男はこちらを向いた
「そうか、あんた達が勇者か。俺はここの店主のエドワードだ、装備買うならここで購わねぇか?今なら安くするぜ?」
「いいんですか?」
エドワードは笑みを浮かべ頷いた
「ああ、勇者の装備を作った店って看板に載せれるからな。ああ、あんた職業は?」
シーカーですと言うと先ほどのナイフとフードの着いたマント、ズボンと黒の靴とベルトをどこからか取り出し俺へ渡した、着てみろと言われマントを羽織ると何か力が巡り目がよく見える薄暗い店内が明るく見える
「これは…?」
「シーカー用のマントだ魔鉄を使った留め具とスキルオーブを埋め込んだ鎧を使ってるからかなり視界が効く」
「スキルオーブ?なんですか、それ?」
「簡単に言うとスキルを習得できるオーブだかなり貴重だが下位のスキルオーブは安く売られるから楽に手に入れられたぜ」
エドワードは続々と装備を取り出し桐生たちに渡すと銀貨3枚だと言った
銀貨3枚がどれほどの価値かはわからないがリックの驚きからして安いのだろう、会計を済ませ野営の設備を販売する店へと向かった
「これと、これ。後はランタンと…あ、呉島そこの袋を3つとってくれ」
「これ?」
「ああ、それだ。袋は意外と使えるからな」
買ったのはランタン、マント、ポーチ、革袋の水筒、縄、テントと支柱。外へ出ると辺りは暗くなっていた
城へ帰ると騎士に案内されてついて行くと大きな応接間へと着いた、並べられた椅子に座ると1人の男が入ってきた
「先ほどのアンケートにより選出された冒険者が2人、どちらも能力的には大差がないので勇者様に決定していただきます」
渡されたのは2枚のギルドカード、1人は男のベイト・エイ、もう1人は
「レイナ?!」
レイナ・ウェイン、リックたちとこの王国に来た魔法使いだそうだが…しかしこんな偶然があるのか
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応接間で挨拶をすることになった、リックは用事があると言い残し騎士についていった
「レイナ・ウェインって言います、どうぞレイナと呼んでください」
レイナは青い髪をポニーテールで纏め赤と青のマント、小柄な体格と綺麗に整った目鼻立ちで一言で美人と断言できる顔だ
「あ、えっと、よろしくお願いします…」
リックやケインなどの男共には簡単に話せるが女子には話せない、これは一体…ただのコミュ障だよ!
なんて脳内で1人漫才を披露するとリックが帰ってきた
「お前ら、馬手に入れたぞ。馬車も用意できた、明日にでも出発するぞ」
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「じゃあ!!出発〜!!」
エルザが元気よく声を上げた、リックは手綱を握り馬を走らせた
今から向かうのは近くのアーク村。そこの村長が出したクエスト、村の作物を荒らすモンスターの討伐を受けた
ちなみにだが、ギルドには大きく分けて二種類ある。貴族や国に選ばれた冒険者が通う王宮ギルド、冒険者ならば誰でもクエストを受けれる一般ギルド
まぁギルドにも、商業ギルドに戦士ギルド、魔法使いギルドなどがあるがそこでクエストは受けれないあくまで自分を鍛え、スキルや技能を身につけるためのものだ
なんて考えていた俺は揺れる馬車から青い空を見ていた…