ゴブリンとオークは大抵セット
「どうする?」
俺らは森の小さな洞窟に身を隠していた、日は沈みかけ早く騎士の元へと向かわなければ森を迷い背後からゴブリンの奇襲
だが目の前に、オークがいる。ゴブリンが茶色になり太った様な見た目の豚に似た顔のモンスター
太った腹を隠す様に粗末な薄い鉄板を鎧の様にきている上剣を持っている、それについて行くゴブリンの集団
一緒に居た騎士達はあっけなく蹴散らされあたりは血の海だった
「ここで撃てば敵と味方の視線を集めれるが…もう時間がないな…」
桐生は辺りを警戒しながらグロッグのサプレッサーを外す
「暗いし足場の悪い森で戦うのは無理だ。呉島、なんでもいいからショットガン寄越せ」
「あいよ」
右手に力を入れ黒く渦巻く何かに作りたいものを想像する、作るのは俺が最強だと思うショットガンAA12
それの本体とドラムマガジンを作り12ゲージ弾を適当に出す
「弾込めは自分でやって、俺ちゃん警戒しるから」
「やばいぞ!ここあいつらの寝ぐらだ!!」
いつの間にか戻ってきていた橘が近づく、顔には焦燥が見える
「落ち着け、今考えている」
「やば!こっち来てる」
オーク達はこちらに向かってきている、ここで待ち伏せしてもこんな狭いところじゃろくに動けないしゴブリンとオークの相手は無理だ
「橘、自分の剣になんかエンチャント付けとけ。ここで向かい打つ、どうせあいつを倒さなくちゃ帰れねぇんだ」
「は!?正気か?!あいつらの強さ見たか?!!騎士を簡単にやったんだぞ?!」
「落ち着けって、こっちには現代の武器があんだある程度距離を置けばあいつの攻撃は届かない。呉島、オークの相手を頼むもしもの時はアリサに殺らせろ」
「…ゴブリンの相手は頼んだぞ」
「安心しろ、いいか石を投げるからそっちを向いたら攻撃しろ」
ふぅと呼吸を整えUMPを構え直す、オークをにらみすえしっかりと標準を定める
桐生が投げた石は木に当たりコンという軽い音が響いた、その場から走り出し近くの木に隠れオークを撃つ
ガンガンと鉄板弾かれる、やっぱ45口径じゃ無理か
銃、特にハンドガンなどは映画やゲームなどで描かれるよりも弱い、45口径弾なんて鉄板を3㎜以上は貫けない
それならば肌が露出している頭か腕、足を狙うしかない
「ゲギャ!!」
いつの間にか近づいてきたゴブリンの棍棒が迫りUMPでそれを防ぎ地面に倒しナイフを右手で持ちゴブリンの首元へと落とす
「こっちだゴブリン!!」
桐生の怒声に惹きつけられたゴブリンは散弾で小さな顔や体に風穴が空いていく、偶に俺の隠れている木に当たるのだがその度に汗が引く感覚が来る
「グガァ!!!」
獣の咆哮が鼓膜を刺す、豚の顔の化け物は少し歪んだであろう鉄板と腹を揺らしこちらへと向かってくる
「ひっ(落ちつけ、腕を貸せ)
アリサの声が聞こえたかと思うと左腕が上がり正確に銃口がオークの顔を狙い銃が跳ね上がり廃筴されカランカランと小石に当たり転がる音が静かに聞こえるとドサッとオークの巨体は地面に倒れ込んだ
「いてぇ!!くそっ!!クソドラゴン!!!テメェ許さねえ!!!」
片手で撃った反動で左腕を痛みが襲う
(助けてやったのにその態度はなかろう、ほれ早く友を助けんか」
「くそっ!」
UMPを捨てホルスターにしまったグロッグを右手で引き抜くAA12の32発のドラムマガジンでも倒しきれないほどの数のゴブリン、桐生達に当たらないように慎重に狙い撃っていく
なんなんだよ!!急に異世界に来て鼻折られるわ腕が変な方向に曲がりそうになるわ、死にそうになるわ
今まで普通のオタク中学生が急に異世界で帝国を倒せだ?ふざけんな!!赤の他人になんで命をかけなきゃいけないんだ!!!こんな遅れた世界よりも普通の世界で何事もなく生きていきたいんだよこっちは!!!
恨みを込めた1発は頭に、命をかける恐怖は腕に、人や動物の命を奪う罪悪感は胴体に撃ち込まれていった
「くそっ、くそっ!!ふざけんな!!」
目に滲む涙を拭い弾の切れたグロッグを投げ捨て死んだゴブリンの棍棒を拾い上げ殴りかかる
今まで考えていなかった死という概念は少し死に近づくだけでその姿を表す、鎌を持った死神が背後にいる感覚
「呉島!!このまま逃げるぞ!!」
「わかった」
曇った視界を晴らすように目をこすり棍棒をゴブリンに投げつけ逃げ出す、撮ったままのアニメや特撮、好きな動画投稿者の新作にまだクリアしていないゲームそれが急に恋しくなった、親も心配しているだろうし
帰らなくては、必死に足を使い森を駈ける
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「すいません、帰らせてください」
騎士団長のランスロットにそう言うと申し訳なさそうに下を向いた、俺は城の一角にある騎士団長室に居た
「悪いがそれはできない、君たちの様な子供には荷が重いのは重々承知しているだが王国も危機にあるのだ
それに…」
ランスロットは少しの間黙ると口を開いた
「この世界と君たちの世界を繋ぐのは帝国にあるゲートを通らなくてはいけない、元々この召喚自体も昔の勇者様が用意してくれた転送用の魔法陣を使ったんだそれにその転送魔法は一度しか使えない」
「じゃあどうすればいいんですか!!!」
机を叩き問い出す。ふざけるな!こんなところに呼び出して元の世界に返さないとか!!
「帰る方法は2つある。まずはさっき言ったゲート、そしてドミナスと言われる帝国の魔法使いを倒すことだ。ドミナスは全ての属性魔法つまり火、風、水、土、闇、光、回復、死に長けた魔法使いで構成された魔法戦部隊、その上位と言われる1人のドミナスクイーンは時空魔法を扱えると言う杖を持っているその杖を手に入れれば君を返すことも容易いだろう、私が国王に伝え適当に死んだと言えば誰も帰ったとは思わない」
「わかりました…じゃあドミナスはどこにいるんですか?」
「1人で行く気か?無理だ、君のステータスはヴェノムドラゴン使っても上級冒険者にすら破れるぞ。それにドミナスクイーンを倒すには約束の鍵と言うドミナス達が持つ鍵を手にしなければドミナスクイーンの城には入れない」
「じゃあそのドミナスはどうすれば倒せますか?」
俺がそう聞くと一枚の紙を出した、そこに書かれた文字は読めないこの世界の文字だろうか
それに気づいたのかランスロッとは解説しだした
「ドミナスは帝国の要だ我らの王国にも脅威になる、まずは死属性のドミナスを倒すそこから他のドミナスを倒していく」