第四話 友達×日常
さすがに連日投稿はきつかったのでこれからは週一投稿とかになると思います許して。
夕日に照らされる教室の中で、俺と八坂は二人きりで、見つめあっていた。
さあっと風が吹いて、彼女の髪が揺れる。
涼しい風は、直ぐに生ぬるくなり、肌にまとわりつくような空気となり、消える。
八坂は、どうして一人で楽器を吹いていたんだろう。
その理由を知るのは、もう少しあとの話。
【恥ずかしいところを見られちゃいました・・・】
「全然恥ずかしくなんてないだろ。あんな綺麗な音色は初めて聴いたよ」
学校の帰り道。
一人で楽器を吹いていた八坂を見つけた俺は、何も聞かずにただ一言。
「帰ろう」
とだけ言った。
八坂も何も書こうとせずに、笑顔で頷き、そして今に至る。
【そんなことないですよ。趣味でやっている程度ですし・・・】
どうやら、八坂は楽器を吹いているところを見られたのが相当恥ずかしかったらしい。
俺から言わせれば、楽器を吹いていた彼女はとても真剣で、しっかりとした意志を感じた。
何よりも、ほんの一時だけ、俺に色を思い出させてくれたんだ。
「趣味でやってるにしてもだ。本当にいい音だった」
彼女は俯く。
長い髪から覗く耳は真っ赤に染っていた。
褒められるのに弱いのか?
でも、俺の言葉は嘘じゃない。
本当にそう思っている。
だから、
「なぁ八坂」
彼女は顔を上げ、俺の目を見て首を傾げる。
「たまにでいいから、聴かせてくれないか」
俺はもっと彼女の音色を聴きたいと思っていた。
予想外の言葉が飛んできて思考が追いつかないのか、彼女はぽかーんとしていた。
少し間抜けな顔をしているが、可愛いな。
「えっと、八坂?」
声をかけると、はっと我に返ったのか慌ててスマホを取り出して、なにか文字を打ち始めた。
テロリン
「んぇ?」
ポケットのスマホが鳴り、手を伸ばす。
画面を見ると、八坂からのメッセージだった。
あ、もしかして紙に書くよりメッセージ打った方が早いのか?
まさか俺とIDを交換した理由って半分くらいこれなのか?
そんなことを尻目に考えながら、八坂から送られた文を読む。
【聴くって、何をですか?あ、あと今日はメモ帳忘れてしまったので、メッセージでお話させてください。】
あ、なるほど、メモを忘れてきたのね。
ところで、何をって・・・とぼけてるのかな?
「何って、さっきの音楽をさ」
【あれは本当にただ趣味でやってるだけで人に聴かせるようなものじゃないんですよ!私だって恥ずかしいんです!】
そんなに必死になられると、申し訳なく思ってきたな・・・
「いや、いいんだ。八坂が嫌なら全然いいよ」
仕方ない、諦めよう。
あれ?なんでそんな困った顔してるの?
【そんな風に言われたら断りにくいじゃないですかー・・・】
おう・・・八坂は自覚がないのかな?
つい最近同じような言い方をされた気がするんだが。
「だって嫌なんだろ?」
なんだか、困る八坂を見てると楽しくなってきた。
少し意地悪をしてやろう。
【・・・どうしてもっていうなら】
「え?」
【ほんとに、たまにでいいなら、いいですよ・・・?】
「・・・まじで?」
どうやら、俺の思っている以上に、八坂を困らせていたらしい。
八坂の目は決意に満ちていて、かなりの葛藤があった末の結論なんだろう。
今更意地悪したくなったとは言えないよな・・・
あーまあ、とにかく
「ありがとう・・・?」
複雑な気持ちでお礼を言う。
【そうと決まったら、早速いつにするか決めちゃいましょう】
「いつって?」
【週一でその日を決めちゃいましょう。その方が楽ですし、私もいつでも楽器を借りられる訳では無いので】
「自分の楽器じゃなかったのか?」
【そんな。吹奏楽部から貸してもらっているんです。部長さんとお友達なので、そのご好意で】
てことは、だ。
「家では吹かないのか?」
【家だとお母さんに怒られちゃいますから】
だよな。近所迷惑にもなるし。
【シオンさんは、毎週空いてる日とかありますか?】
毎週と言わず、俺は毎日空いてるぞ。
バイトもしてないしな。
「それは八坂に任せるよ。八坂がやりたい日に俺も聴きに行く」
【でしたら、毎週金曜日、放課後で大丈夫ですか?】
金曜の放課後な、うん、大丈夫。
「わかった。じゃあ、その、来週からよろしく・・・?」
つい最近友達としてよろしくと挨拶したばっかりなので、少し不思議な感じだ。
八坂は疑問形でよろしくと言った俺を面白がったのか、くすくすと息を漏らし微笑んでいた。
それから、八坂と色々な話をして、帰宅後。
俺は部屋に戻り、シャーペンを握っていた。
「・・・」
時計を見る。
まだ四時半。
時間を確認した後、手元に目を戻し、なんとなく楽器を吹いている八坂の姿、周りの光景を思い浮かべる。
それを紙にそのまま写すつもりで、ペンを走らせる。
あぁ、わかる。
色がわかる。
八坂の綺麗な黒髪や、窓から射す夕陽の光。
風に揺れるクリーム色のカーテン。
黒板の色、チョークの色、床板の色。
全部、全部が鮮明に俺の頭の中に刻み込まれている。
それを俺は、黒一色のペンで書く。
ただひたすらに、もう一度あの景色を見たいと。
夢中で書き続けた。
「お兄ちゃん」
妹に呼ばれるまで。
「・・・詩葉。部屋に入る時はノックをしろ」
「したよ。返事なかったから心配で入ってきたの」
集中してたせいか、ノックが聞こえなかった。
「それはすまん。んで、なんか用か?」
「ごはん!何回も呼んでました!」
「・・・すまん」
俺って集中すると周り見えなくなるのかな・・・?
ふと時計を見ると、午後六時半を回っていた。
色鮮やかな俺の想像は、灰色の現実を見せられ、色褪せていった。
ピピピピっピピピピ
バンッ
「うっせぇ・・・」
あー朝か・・・
まだ眠気で重い頭を無理やり起こし、身体を伸ばす。
額縁の風景画を見て、いつも通り灰色なことを確認して、今日もまた
「はぁ・・・」
ため息をつく。
寝巻きを脱ぎ捨て、制服に着替えて部屋を出る。
リビングではもう家族が揃って、俺が起きてくるのを待ってるだろうな。
「おはよー」
いつも通り、愛しい家族におはようを言いながらリビングへ。
「おは、お兄ちゃん」
「おはよう詩苑」
「やっと起きたのね、おはよう」
詩葉と両親の顔を見て、ようやくはっきりと目が覚める。
冷蔵庫から牛乳をとり、食器台からコップをとって食卓に座る。
今日の朝食は目玉焼きだった。
食後、学校に行く準備をしようと、リビングを出ようとした時。
「兄さん、学校行くの楽しい?」
と、妹が変なことを聞いてきた。
「何言ってんだ。あんな退屈なとこ楽しいわけないだろう」
嘘偽りない俺の意見を吐き出す。
その言葉を聞いた妹は、ぷふっと吹き出し、笑い声混じりにこう言った。
「あのさ、兄さん。今日土曜日だよ?」
・・・まじ?
スマホを取り出し、 日付を確認する。
ほんとだ、土曜日だ。
「土曜日なのに学校行こうとするなんて、バッカみたい。あははは!あいたっ!?」
うるさい妹に軽くデコピンをして黙らせ、ワイシャツのボタンを外しながら部屋に戻る。
昨日って金曜日だったのか。全く意識してなかった。
普段なら週2日という貴重な休日に胸を踊らせていたというのに。
着替えを終えて、昨日書いた黒一色の絵を見る。
そこには、シャーペンで描かれた細い線で表現された世界。
夕陽の差し込む教室で、八坂が一人楽器を吹いている。
色のない素朴な絵なのに、少し綺麗に思えた。
「あっはは。詩苑も可愛いとこあるじゃん」
「うるせえ、ほんとにうっかりだったんだ」
その日の午後。
俺は碧と休日を満喫しに、街へ出ていた。
俺達が住んでいる街から十駅ほど離れた場所。
そこは結構な都会で、平日休日問わず人が多く賑わっている場所だ。
そんな都会の駅前で、俺と碧は待ち合わせをしたわけだ。
とりあえず昼食を食べようという話になり、レストランを探す道すがら、碧に今朝あった話を聞かせると、ケラケラ笑いだしたのだ。
「まあ、うっかりは誰にでもあるよ。でもさ、普段から学校行きたくないって言ってる詩苑がそんなミスするなんて、笑える」
くそ、こんなに言われるなら言わなきゃよかったぜ。
「ハッ。そのうちお前がなにかミスした時盛大に笑ってやるよ」
「ハイハイ。その時はよろしく。それで?何食べる?」
「任せるよ。碧が食べたいものを食べる」
途端に、碧の顔がうへぇ、という感じで歪んだ。
「なんだ?」
「あのさ、詩苑。自分の言葉には責任を持とうよ」
・・・なんの事だ?
「すまんが、記憶にない」
頭をひねり、今までの自分の言葉を振り返るが、思い当たらない。
碧は、はぁー・・・と息を吐いて、言う。
「先月美術の時間に詩苑言ってたじゃん?」
「先月・・・?っあ」
・・・思い当たった。
それはもう、どストライクに思い当たった。
確か、人に対しておまかせとか言っておいて自分は文句ばかり垂れ流すのは何事じゃいボケ。
みたいなことを言ってた気がする。
「僕は困っちゃうなぁ。おまかせなんて言われて、どこに行けばいいかわからないよ。やっとの思いで決めたところが、詩苑は嫌だって言うかもしれないしさ」
揚げ足を取った途端に嫌味が止まらねえなこの親友。
「悪かったよ。じゃあウィックでいいか?」
「もちろん。詩苑が決めた場所ならどこでも」
結局お前もおまかせマンじゃねえか。
ちなみに、ウィックって言うのは、全国各地にあるハンバーガーチェーン店のウィクドナルドの略称だ。
ワンコインでバーガーセットが買えるので、財布にも優しい。
目的地が決まった俺達は、慣れない都会を物珍しい目で見回しながら歩みを進めた。
昼食をとった俺達は、街の大きなショッピングモールへ向かうべく、狭くも広い街中を歩く。
その途中、
「お?」
俺の目にとまったのは、道の端っこで灰色のシート、おそらくブルーシートだろう。
それを地面に敷いて、その上に小さい木の棚と画架、
棚の上には様々な風景画が置かれていて、ブルーシートの上に立つアートっぽい雰囲気の人が、道行く人に声をかけている様子だった。
「路上販売か?」
「へえ、今時売れるのかな」
碧と顔を見合わせ、何となく気になったので見ることにした。
「やあお兄さん方、なんか見ていくかい?」
「少し気になったので、絵を見せてもらってもいいですか?」
「おお、いいよ。気に入ったら買ってくれ」
「・・・へぇ」
「詩音はもう絵に夢中だね」
「その兄ちゃんは絵が好きなのか?」
「元々絵を書いてたので、多分懐かしいんだと思います。特に風景画とかは、思い入れが深いんだと思います」
棚に置かれた風景画は、とても丁寧に描かれていた。
アートっぽいお兄さんがなんか喋っているが、それは全部碧に任せて、俺は絵に没頭させてもらう。
灰色の濃淡で描かれたように見える絵は、碧にはどんな色に見えているんだろうか。
遠くに山が描かれているから、あの灰色は緑なのかな。
しっかりと遠近法が使われ、手前に見える木は迫力があった。
ふと、昨日書いた絵を思い出す。
色鮮やかな想像は、既に色褪せていて。
だけど、まだ微かに残る色の記憶、夕陽の色、カーテンの色、床板の色、そして八坂の色、そこに緑はなかったけれど、俺はなんとなく緑の色を想像した。
そして、その色を目の前の絵に当てはめる。
そうしたら、少しだけ、ほんの少しだけ、緑が見えた気がした。
授業と授業の合間、10分休み。
その僅かな時間で、俺達生徒は移動教室だったり体育のために体育館に移動して、体操服に着替えたりと、休憩と呼ぶにはいささか忙しい時間を過ごす。
そんな時間の中、俺と碧は週一回の美術授業のために、廊下を歩いていた。
「なんで美術って二時間ぶっ続けなんだ?」
「さあね。二単位だからじゃない?」
「それなら週二回でいいだろ。わざわざ二単位をまとめて一日にぶち込む必要あるか?」
「時間割決めてる人に殴り込みにでも行ったら?」
「遠慮しとく。停学くらっちまう」
「停学なかったら殴り込むんだね・・・」
そんなふうに、他愛もないアホな話をしながら歩いていた。
美術教室は俺達のいる3階ではなく、4階にある。
だから、一々めんどくさ階段を昇り降りしないとならない。
そんで、階段っていうのは人と出会う確率が高い場所なんだ。
まあつまり
「うわっ」
人とぶつかることもよくある。
「詩苑!?」
ドタ!バサバサバサ!
幸い、ぶつかったのは階段の一段目で、大きな怪我はない高さだ。
情けなく尻もちをついた俺は周りを見回す。
・・・なんか大量のプリントが散らばってるな。
どうやら、俺とぶつかった相手は大量のプリントを腕に抱えていたらしい。
多分先生とかに頼まれたんだろう。
というか、ぶつかった人は大丈夫なのか?
「詩苑大丈夫!?」
隣りにいた碧が階段を降りて駆け寄ってくる。
「ああ、大丈夫だ。ちょっとケツ打ったけど。てかぶつかった子は?」
「その子なら階段に」
「ん?」
俺とぶつかったであろう人は、階段の三段目あたりで唖然としていた。
突然の事で驚いたんだろう。
「びっくりしたよ、突然上からプリントの山が降ってきたんだから」
なるほど。
とりあえず状況は理解した。
俺が尻もちを着いてしまったのは、おそらく目の前の人がバランスを崩し、大量のプリントが崩れ落ちてしまって、それを俺がもろに受け止めちまったわけだ。
「ねえ詩苑、もしかしてあの人知り合い?」
「んぇ?なんで?」
「なんか、あの人すごい心配そうにしてるからさ」
あまり気にしていなかったが、碧に言われ、しっかりと階段に目を向ける。
「・・・あ」
八坂がいた。
ものすごくオドオドしてる。
ハッと我に返ったのか、目が合った瞬間、八坂はすごい速度で階段を降りて目の前にやってくる。
【ごめんなさい!怪我してませんか!?保健室に!】
ほんとに戸惑っているんだろう。
いつもより字が雑だ。
「あー、大丈夫だ。それより八坂も大丈夫か?」
【私は全然大丈夫です!プリント落としちゃっただけですし・・・】
「ならよかったよ。プリント拾うの手伝うから、とりあえず落ち着け」
俺がそう言うと、八坂はすーはーと深呼吸をした。
【落ち着きました】
早いな。
「ところで詩苑」
「なんだ?」
「早くしないと授業始まる・・・」
「・・・やべ」
それから大急ぎで散らばったプリントを集め、八坂に渡し、俺達は廊下を走るなと先生に注意されながらも授業開始にギリギリ間に合ったのだった。
「それでさ詩苑」
「なんだ。授業中だぞ」
美術の時間。
普段は俺が先に喋りはじめるところなんだが、今日は碧が先に口を開いた。
「さっきの女の子、知り合いのようだったけど」
こいつ、からかいに来てるな?
「ただの知り合い程度の仲だよ。前に林堂先生に手伝いを頼まれた時にちょっとな」
「へぇー?ほんとに?」
「ほんとだ。ただの友達だって」
「まあ詩苑だしねー」
おい。なんだその言い方。
「・・・さっさと作品作れよ。時間無くなるぞ」
「詩苑がそれ言う?世も末だね」
今日のお前めちゃくちゃうぜえな!?
「この俺が珍しくインスピレーションを湧かせて書いているというのに、碧くんはお喋りとは余裕なこったなぁ?」
なら俺だって煽ってやるさ。
「あー、僕はもう終わったから話してるんだけど?」
・・・あと一時間も残して終わったの?
でもな、そこまで時間をかけた訳でもない作品が良いものになるわけないんだ。
なんとなく勝負心に火がついた俺は、碧よりもいいものを描くために深呼吸をして落ち着く。
「・・・よし、ぜってーお前よりも良いもん描く」
と、俺が絵に集中する傍ら
「がんばれー」
碧は気の抜けた応援をしていたのであった。
最近、俺の身の回りにはとある変化が訪れた。
あまり描く気にならなかった絵を、少しづつ描きたいと思うようになったり、毎週金曜日に楽器の音色を聴いたり、一緒に帰る友達が出来たり。
それは、ある一日の非日常が、日常へと溶け込んでいくようで、学校終わりに八坂が俺の隣にいることは当然の事になった。
【そういえば、もうすぐ夏本番ですね】
「夏休みも近いな」
帰宅途中、八坂はいつものようにメモを書き、俺が言葉で返す。
それが俺の新しい日常になり、この日々を俺は楽しんでいた。
【夏休みの前には体育祭がありますけどね・・・】
「あー・・・あったなそんな行事」
うちの学校は、夏休みに入る直前の週に、例年体育祭を行う。
やる内容は基本的にどこの学校も変わらないと思うが、全体学校行事なんてものは、参加したいやつ、したくないやつで大きく士気が分かれるもので、この時期になるとクラス内での揉め事が必然的に多くなるものだ。
それは秋に行われる学校祭も同じで、毎年殴り合いの喧嘩になって停学をくらうアホな奴らもいるらしい。
「今年ってどんな競技やるんだろうな」
【クラス対抗の大縄跳びとリレー、あとはドッジボールにバレーボール。バスケにバドミントンだった気がします】
よく覚えてるな。
「大縄跳びとリレー以外は自由に仲間を集めてチームを組むんだったか?」
【そうですね。あと生徒会運営のおまけ競技とかかな・・・】
おまけ競技?なんじゃそりゃ。
【今年から生徒会が新しい競技を一つ追加して、それを生徒会が運営するんです。】
「そんなのがあるのか」
【林堂先生から聞いたことですけどね】
それってまだ公表されてない情報なんじゃないか。
秘密くらい守れよ先生。
「林堂先生って美術部の顧問意外になんかやってるのか?」
そういえば、俺のクラスの担任と美術部の顧問をしていること以外知らなかったので、八坂に聞いてみる。
【生徒会の顧問もしてますよ。あ、私生徒会で書記やってるので、今年はどんな競技になるかとか全部知ってます】
衝撃事実発覚。
俺の友達生徒会役員でバリバリ仕事してた。
「もう種目は決まってるのか」
【おまけ競技についてはさすがに教えられませんけどね】
まあさすがに秘密だろうな。
【でも、一部の人はとても困っちゃう競技かも・・・】
・・・なんで不安を煽る発言するの?
「どうせ自由参加の競技だろ?」
まあ、生徒会考案の競技なんてものは、基本的に自由に参加者を募るしょうもないものに違いない。
俺には無縁だな。
【各クラス二人ずつくじで決めてもらいますよ?】
・・・なるほど、そりゃ困る。
「それってもし当たりを引いてしまって、どうしても嫌だからって辞退できたりとか」
【ダメです】
・・・だよね。
そうして、俺は体育祭に一抹の不安を抱えることになりながら、その日は八坂と別れた。
横断歩道を渡りきり、ふとスマホを開いて日付を確認する。
不安で不安で仕方ない体育祭は、あと一ヶ月というところまで来ていた。
続
はいども鈴ほっぽです。
今回は第4話です。
テーマは詩苑くんに新しい友達の八坂ちゃんが出来てからの日常です。
そのおかげで会話が多い回になりましたが、詩苑の友達に対する姿勢や、碧くんが詩苑をどれだけ大切に思ってるかみたいなものを感じていただけたら幸いです。
さて次回は、高校をすごしてきた人類の七割が嫌う(適当)
年に一度の体育祭です。
と、したいところですが、その前に詩苑くんを八坂と一緒にお出かけさせたいなーと思ったので、次回は八坂ちゃんとのデート回になるかもしれませんね。
少しでも楽しみに思っていただけたら嬉しいです。
では今回はこの辺で、最後まで読んでいただきありがとうございました。




